↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/3

昨日、東京行ってきてん。

月曜日。


「……朝か。」


目覚ましの音で目が覚めた。


昨日は朝6時に起きて、東京へ向かった。


新大阪から新幹線に乗り、東京駅に到着。そこから山手線に乗って、スカイツリーや浅草へ行った。


さらに京急で横浜へ向かい、崎陽軒のシウマイを食べてから鎌倉へ。


鎌倉では江ノ電にも乗り、最後は東京駅から寝台特急サンライズに乗った。


思い返してみれば、なかなか濃い一日だったと思う。


「……で、今日は学校か。」


昨日の夜、サンライズの個室で過ごしていた自分が、今はいつもの部屋で目覚めている。


なんだか不思議な気分だ。


昨日は東京にいた。


それなのに、今日はいつも通り学校へ行く。


旅行の翌日だからといって、学校が休みになるわけではない。


当たり前のことだが、少しだけ残念な気もする。


「もう一日くらい休みがあってもいいのにな……。」


そんなことを考えながら、布団から出た。


顔を洗い、着替える。


朝ごはんを食べ、学校へ行く準備を済ませる。


カバンの中身を確認し、忘れ物がないか確かめた。


「よし。」


玄関で靴を履き、家を出る。


外はいつも通りの景色だった。


見慣れた住宅街。


いつも歩いている道。


昨日の東京とは、まるで違う。


昨日は知らない街を歩き回り、初めて見る景色を楽しんでいた。


それが今日は、家から学校までの道を歩いている。


「昨日、東京にいたんだよな……。」


つい、そんなことを考えてしまう。


たった一日で、ずいぶん遠くまで行ったものだ。


歩きながら、昨日のことを思い出す。


新幹線の車窓から見えた富士山。


東京駅の大きな駅舎。


山手線から見た街並み。


スカイツリーの高さ。


京急の速さ。


そして、江ノ電の車窓から見えた海。


どれも楽しかった。


「また行きたいな……。」


まだ帰ってきたばかりなのに、もう次の旅のことを考えている。


自分でも少し気が早いと思う。


でも、行きたい場所はまだまだある。


乗ってみたい列車も、降りてみたい駅も、歩いてみたい街もたくさんある。


そう考えると、楽しみは尽きない。


そんなことを考えているうちに、学校が見えてきた。


「よし、今日も一日頑張りますか。」


僕は学校へ向かった。


⸻


学校に着くと、いつものように教室へ入る。


「おはよー。」


「おはよう。」


友達と挨拶を交わし、自分の席に座る。


教室はいつも通りだった。


誰かが友達と話していて、誰かが宿題を確認している。


別の友達は、机に突っ伏して眠そうにしていた。


月曜日の朝。


みんな、まだ少し眠そうだ。


昨日、自分が東京へ行っていたことなんて、誰も知らない。


まあ、当たり前だ。


わざわざ言わなければ、分かるはずもない。


僕はカバンを机の横に掛けた。


中には、昨日、東京駅で買ったお土産が入っている。


友達に渡そうと思って買ったものだ。


「……いつ渡そうかな。」


自分から旅行の話をするのも、なんだか少し恥ずかしい。


別に自慢したいわけではない。


ただ行きたかったから行った。


それだけだ。


とはいえ、お土産を買ってきたのだから、渡さないわけにもいかない。


「まあ、あとでいいか。」


そう考えていると、友達が話しかけてきた。


「なあ。」


「ん?」


「昨日、何してたん?」


「昨日?」


「日曜日。」


僕は少し考えてから答えた。


「東京行ってきてん。」


「…………は?」


友達の動きが止まった。


「え?」


「東京。」


「いや、聞こえたけど。」


「うん。」


「東京って、あの東京?」


「ほかにどの東京があるねん。」


思わず笑ってしまった。


友達はまだ信じられないという顔をしている。


「なんで東京?」


「行きたかったから。」


「いやいやいや。ちょっと待って。」


友達が手を上げた。


「昨日の日曜日に?」


「そう。」


「一人で?」


「そう。」


「日帰り?」


「そう。」


「……新幹線?」


「新幹線。」


しばらく沈黙が流れた。


そして友達が一言。


「お前、行動力おかしくない?」


「そうかな。」


「普通、そんな簡単に東京行かへんやろ。」


「そう?」


「そうやって!」


朝から二人して笑ってしまった。


確かに、急に東京へ行くと聞けば驚くのかもしれない。


金曜日に思いついて、親に相談して、日曜日に出発した。


自分としては、やりたいことをやっただけなのだが。


「で、東京で何したん?」


友達が聞いてくる。


「東京駅を見て、山手線乗って、スカイツリー行って、浅草行って……。」


「ちょっと待て。」


「ん?」


「もう情報が多い。」


「まだあるで。」


「まだあるん!?」


僕は思わず吹き出した。


「京急にも乗ったし、横浜も行った。」


「東京だけちゃうんかい!」


「近かったから。」


「その理由で横浜まで行くな!」


「いや、行ける距離やったし。」


「そういう問題ちゃうねん!」


会話を聞いていた近くの友達も、こちらを向いた。


「何の話?」


「こいつ、昨日東京行ってきたらしい。」


「……は?」


また同じ反応だった。


「え、ほんまに?」


「ほんま。」


「日帰り?」


「うん。」


「一人で?」


「うん。」


「お前ら、なんでそんな簡単に東京行けるん……?」


「俺に聞かれても。」


僕は笑った。


どうやら、朝から旅行の話で盛り上がることになりそうだ。


⸻


しばらくすると、朝のホームルームが始まった。


先生が教室に入ってくる。


「はい、席につけー。」


みんなが席に戻る。


日直の号令があり、先生から連絡事項が伝えられる。


提出物の話や、今週の予定。


どれもいつも通りだ。


僕も連絡帳を開き、必要なことを書き込んだ。


昨日は東京駅で時刻表を確認したり、次に乗る列車を調べたりしていた。


今日は学校の予定を確認している。


同じように予定を確認しているのに、内容が違いすぎる。


そんなことを考えていると、ホームルームが終わった。


一時間目の準備をする。


教科書とノートを机の上に出す。


そして授業が始まった。


⸻


一時間目。


黒板に文字が書かれ、先生の説明が続く。


いつもの授業。


いつもの教室。


いつもの月曜日。


……なのだが。


「昨日は新幹線に乗ってたのに、今日は数学か……。」


ふと、そんなことを考えてしまった。


昨日は新大阪から新幹線に乗り、窓の外を眺めていた。


今日は教室で黒板を眺めている。


ずいぶんな違いだ。


もちろん、授業を受けないわけにはいかない。


僕はノートを取りながら、先生の話を聞いた。


しかし、頭の片隅には昨日の景色が残っている。


東京駅の大きな駅舎。


山手線の車窓から見えた街並み。


スカイツリー。


浅草の雷門。


京急の車両。


鎌倉の街並み。


江ノ電の車窓から見えた海。


そして、サンライズの個室。


どれも楽しかった。


「……また乗りたいな。」


そう思ったところで、先生に当てられた。


「じゃあ、この問題を解いてみろ。」


「……え?」


しまった。


話を聞いていたつもりだったが、途中から意識が別のところへ行っていたらしい。


慌てて黒板を見る。


周りの友達がこちらを見ている。


「……えーっと。」


なんとか問題を解き、席に座った。


危なかった。


旅の余韻に浸るのもいいが、授業中はちゃんと授業に集中しなければならない。


……分かってはいる。


分かってはいるのだが。


昨日のことが頭から離れないのも、仕方がないと思う。


⸻


休み時間。


さっきの友達が、また僕の席へやってきた。


「なあ、さっきの続き。」


「まだあるん?」


「あるに決まってるやろ!」


「なんでやねん。」


「東京まで行ったんやろ? もっと詳しく教えてや。」


どうやら、かなり興味を持ってくれたらしい。


「何から聞きたいん?」


「まず、何時に出たん?」


「朝早く。」


「何時?」


「6時くらいに起きた。」


「早っ!」


「新幹線は新大阪から乗ったで。」


「新大阪までどうやって行ったん?」


「普通に電車。」


「そこから新幹線か……。」


友達は何かを考えている。


「東京まで何時間くらい?」


「新幹線で2時間半くらいかな。」


「そんなもんなんや。」


「うん。」


「もっと遠いと思ってた。」


「まあ、乗ったら意外とすぐやで。」


もちろん、乗るまでにはお金もかかるし、予定も考えなければならない。


でも、実際に行ってみると、思っていたよりも身近に感じられる場所もある。


少なくとも、僕にとって東京は、画面の向こうにあるだけの街ではなくなった。


「で、何が一番よかった?」


友達に聞かれ、少し考える。


東京駅もよかった。


スカイツリーもすごかった。


江ノ電も楽しかった。


新幹線だって、サンライズだって、乗っていて楽しかった。


一つだけ選ぶのは難しい。


「……全部かな。」


「答えになってないやん。」


「いや、ほんまに。」


「じゃあ、もう一回行くなら?」


「また考える。」


「もう次のこと考えてるんかい!」


笑い声が上がった。


どうやら、僕が次の旅を考えるのは、いつものことになりそうだ。


⸻


二時間目、三時間目と授業が進む。


授業を受けて、ノートを取って、休み時間には友達と話す。


いつもの学校生活だ。


ただ、今日はいつもより旅行の話をする回数が多い。


別の友達からも聞かれた。


「昨日、東京行ったってほんま?」


「ほんまやで。」


「すごいな。何しに行ったん?」


「観光。」


「それだけ?」


「それだけ。」


「もっと目的とかあるんかと思った。」


確かに、旅行に行くとなれば、目的を決めておく人もいるだろう。


有名な観光地へ行く。


おいしいものを食べる。


買い物をする。


それも旅行の楽しみ方だ。


でも、僕の場合は少し違う。


もちろん、行ってみたい場所はある。


ただ、予定を全部決めて、その通りに動かなければならないとは思っていない。


気になる場所があれば、寄ってみる。


乗ってみたい列車があれば、乗ってみる。


その場で行き先を増やすことだってある。


今回の鎌倉だって、そうだった。


東京から横浜へ行き、そこから鎌倉へ向かった。


そして江ノ電に乗った。


予定通りに進むことだけが、旅ではない。


「まあ、楽しかったらええやん。」


僕がそう言うと、友達は笑った。


「それはそうやな。」


その言葉を聞いて、僕も笑った。


⸻


昼休み。


授業が終わり、ようやく昼ごはんの時間になった。


僕は昼ごはんを食べながら、友達と話していた。


話題は、もちろん昨日の旅行だ。


「そうや、これ。」


僕はカバンからお土産を取り出した。


「東京土産。」


「え、俺に?」


「うん。」


「ありがとう!」


別の友達にも渡す。


「こっちも。」


「おお、ありがとう!」


お土産を渡すと、また東京の話になった。


「ほんまに行ったんやな……。」


「だから朝からずっと言ってるやん。」


「いや、まだちょっと信じられへん。」


「なんでやねん。」


「だって、昨日普通に家におったと思ってたし。」


それはそうだ。


僕だって、友達が突然東京へ行ってきたと言ったら、同じように驚くかもしれない。


「写真見せてや。」


「いいで。」


スマホを取り出し、昨日の写真を見せる。


最初は東京駅。


「うわ、でかっ!」


次はスカイツリー。


「高っ! これ、下から撮ったん?」


「そう。」


「全部入ってるやん。」


続いて雷門。


「ここ、テレビで見たことある!」


「浅草やで。」


「ほんまに行ったんやなあ。」


京急の車両を見せると、友達が首をかしげた。


「これ、何の電車?」


「京急。」


「京急って何?」


「東京とか神奈川のほうを走ってる電車。」


「へえー。」


「めっちゃ速かったで。」


「電車の話になったら急に詳しくなるやん。」


「そら、好きやからな。」


最後に江ノ電の写真を見せる。


線路のすぐそばに住宅が並び、その向こうには海が広がっている。


「これ、ええな。」


友達が写真をじっと見る。


「なんか、のんびりしてそう。」


「実際、楽しかったで。」


「俺も行ってみたいな。」


その言葉を聞いて、少し嬉しくなった。


自分が楽しかった場所に、誰かが興味を持ってくれる。


それだけでも、旅の思い出を話した意味があったと思う。


「いつか行ってみたら?」


「いつかって、いつやねん。」


「知らんがな。」


二人で笑った。


そのあとも、写真を見せながら旅行の話を続けた。


東京駅の大きさ。


スカイツリーから見える景色。


京急の速さ。


横浜で食べたシウマイ。


鎌倉の街並み。


そして江ノ電。


写真を見返していると、昨日のことが少しずつ鮮明によみがえってくる。


友達に話しているうちに、自分でもまた旅に出たくなってきた。


「……また行きたいな。」


思わず口に出た。


「いや、昨日行ったばっかりやん!」


友達がすかさず突っ込む。


「それはそう。」


僕は笑った。


⸻


午後の授業も、いつも通りに進んだ。


先生の話を聞き、ノートを取り、問題を解く。


特別なことは何もない。


昨日のように、知らない街を歩くこともない。


新幹線に乗ることもない。


寝台列車の個室で過ごすこともない。


ただ、学校で一日を過ごしているだけだ。


でも、それが悪いわけではない。


旅に出れば、楽しいことがある。


知らない場所へ行けば、新しい発見がある。


しかし、家に帰ってきて、いつもの生活に戻る時間も必要だ。


昨日の旅があったからこそ、今日はいつもの教室が少し違って見える。


そんな気がした。


そして、放課後。


最後のチャイムが鳴った。


「終わったー!」


教室のあちこちから声が上がる。


僕も教科書を片づけ、カバンを持った。


「なあ。」


帰る準備をしていると、友達が話しかけてきた。


「ん?」


「次はどこ行くん?」


「まだ決めてないって。」


「絶対またどっか行くやろ。」


「まあ、行きたい場所があったらな。」


「今度は大阪とか?」


「大阪ならいつでも行けるやん。」


「じゃあ、もっと遠いところ。」


「それはこれから考える。」


友達は笑った。


「ほんま、旅好きやな。」


「うん。」


僕は素直に答えた。


旅が好きだ。


電車に乗るのが好きだ。


知らない駅に降りるのも好きだ。


知らない街を歩いて、見たことのない景色に出会うのも好きだ。


だから、またどこかへ行きたい。


それだけは間違いなかった。


⸻


学校を出て、家までの道を歩く。


朝と同じ道。


いつもの住宅街。


いつもの景色。


家に帰れば、いつもの日常が待っている。


昨日の東京旅行は、もう終わった。


でも、楽しかった思い出は、まだ頭の中に残っている。


家に着き、部屋へ戻る。


カバンを置いて、スマホを取り出した。


昨日撮った写真を、もう一度見返す。


東京駅。


スカイツリー。


雷門。


京急。


横浜。


鎌倉。


江ノ電。


そして、サンライズ。


一枚ずつ見ていると、昨日のことが鮮明によみがえってくる。


「……楽しかったな。」


思わず、声に出していた。


また東京へ行くのもいい。


でも、次は別の場所でもいい。


まだ行ったことのない街。


乗ったことのない列車。


知らない駅。


そう考えると、行きたい場所はいくらでも出てくる。


僕はスマホで地図を開いた。


日本地図を眺める。


あの街も気になる。


この路線にも乗ってみたい。


ここには何があるんだろう。


気がつけば、次の旅のことを考えていた。


昨日、東京から帰ってきたばかりなのに。


「……ほんま、懲りへんな。」


自分で自分に呆れながら、笑った。


でも、きっとまた旅に出る。


行きたいと思った場所があれば、行ける方法を考える。


お金を貯めて、予定を立てて、必要なら親に相談する。


そして、準備ができたら出発する。


昨日の東京旅行も、そうやって始まった。


だから、次の旅もきっと同じだ。


まだ行き先は決まっていない。


いつ行くのかも分からない。


それでも、地図を見ているだけで、少しわくわくしてくる。


「……次は、どこへ行こうかな。」


そうつぶやき、僕はもう一度、日本地図を眺めた。


旅は終わった。


でも、次の旅は、もう始まりかけているのかもしれない。


⸻


第2話を読んでいただき、ありがとうございます!


今回は第1話の東京旅行から一転して、学校生活がメインのお話でした。


昨日は東京で新幹線に乗り、山手線に乗り、スカイツリーや浅草、横浜、鎌倉を巡っていた主人公。


しかし、翌日にはいつも通り学校へ。


そして友達に一言。


「昨日、東京行ってきてん。」


……いや、急すぎるやろ!笑


もし自分の友達が、日曜日に突然東京へ行ってきたと言ったら、皆さんはどんな反応をするでしょうか?


主人公にとっては、行きたいと思ったから行っただけ。


でも、周りからすれば驚くような出来事なのかもしれません。


そんな何気ない会話を通して、主人公の行動力や旅好きな性格を描いてみました。


また、旅先で撮った写真を友達に見せたり、お土産を渡したりする場面も入れています。


旅の楽しさは、現地で過ごしている時間だけではありません。


帰ってから写真を見返したり、誰かに思い出を話したりする時間も、旅の楽しみの一つだと思います。


そして、主人公は東京から帰ってきたばかりなのに、もう次の旅を考え始めています。


果たして、次はどこへ向かうのでしょうか?


これからも、主人公の自由気ままな旅を見守っていただけるとうれしいです!


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


次回もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。