ハローライセ/異世界転生安定所3
――そこから俺は、努力した。
まず、入学した王立魔法学園で、貧しい身分だけど聖女というお約束のヒロイン[マリア]と接触。
なぜか貧しい出なのに[お菓子作りが得意]という[謎設定のマリア]のお菓子を絶賛。
ひたすらおべっかと、金に物を言わせてのプレゼント攻勢で、貧乏マリアのハートをガッチリキャッチ。
マリアを[忠実なわんこ]に、仕立て上げた。
すると、本来はマリアを取り巻くはずの[サブキャラ・イケメンず]たちが、アレリーナの取り巻きに変身。
まぁ、根がオッサンなので、これは嬉しくないが……
(しかし、なぜ高価なお菓子をマリアが作れるのか? 不思議すぎる……)
この世界では[パンが無ければ、お菓子を食べればいいじゃない]が常識なのだろうか?
――次に手を出したのが、お約束のリバーシ。
とはいっても、都合よく存在した[メンコのような遊具]を、ただ白黒に塗って、適当に線を引いた板に乗せて、ルールを説明しただけ。
[アレリバーシ]と名付けたそれは、爆発的に学園中に広がる。
やがて学園外でも流行り、王国中に一大ムーブメントを起こした。
凄い発明だと賞賛され、一気に有名人となった。
――アレリーナさらに、魔法を使っての発明を思いつく。
アレリーナの魔法は、何かを[ちょっと固くする魔法]という、とても使えない魔法だった。
具体的には、コップの水にとろみをつけたり出来る、そんなダメ魔法だ。
魔法体系的には、無属性魔法。
悪役令嬢にありがちな、魔法はポンコツという設定だ。
だがアレリーナは、それを逆手にとった。
まずは生卵を、温泉卵にした。
これも大流行。
さらに豆腐を、高野豆腐にした。
この世界に豆腐があったことには驚愕したが、とにかく、高野豆腐も大流行。
――次々に驚異の発明をする、聖女のような慈愛に満ちた性格の才女、アレリーナ。
しかも、美貌の公爵令嬢で、第一王子の婚約者。
もはや、無敵だった。
以降、アレリーナは、なにをやっても、褒められた。
些細なことでも、皆が口をそろえて「さすがはアレリーナ様だよー」と賞賛する。
日々「さすがはアレリーナ様だよー」と連呼される。
次第に「さすがー」が、合言葉となり、終いには、なぜか業界用語風に「ガースー」と連呼された。
[ガースー・アレリーナ様]が、アレリーナの二つ名となった。
初めは、この賞賛に酔った。
が、気持ち良いのはわずかな間だけで、すぐに[味がしなくなったガムを噛む]ような、恐ろしいほどの味気無さを、日々、感じるようになった。
――全てが順調。 全てが肯定。 全てが賞賛――
努力なんて、不必要。
(――俺が欲しかったのは、こんな人生だったのか?)
ただ褒められて生きることって、こんなに退屈だったのか?
これは本当に、幸せなのだろうか?
(いやいやいやっ、なに贅沢言ってるんだっ。これで良いんだよっ! 酷い前世を思い出せっ)
全てが上手くいかなかった人生より、全てが上手くいく人生の方が、良いに決まってる。
――これで良いんだ。これで――
これで――
こうして、とうとう、舞踏会の日の夜を迎えた……
―――――――
――――
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【なぜか学園内にあるダンスホール】
♪~~♪♪~~♪
音楽の流れるホールの天井には、無駄にデカいシャンデリアが吊り下がっている。
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