第8話 謎だらけの魔法使いとの出会い
「あなたは…だ、誰?」
私は思わず地面に倒れて、女の前につくばっていた。
女からは香ばしい花の匂いのようなものを漂わせて、相手を酔わせるようなものだった。
女は派手な外套を身につけて、宝石まみれだ。
眼に映っている彼女はどこか寂しそうな表情を浮かんで
「私は……ソリハ」
自己紹介をした。
誰も居ないこの場所は閑静し過ぎた。相手は杖らしきものを握って、こちらを襲撃するような姿勢だった。
逃げるようと思っても、何故か足から力は抜けていた。
「貴女、シズクで間違いありませんね」
「そ、それがどうしたんですか?」
「貴女のお兄さんはまだ生きています。違う世界で」
それはどういう事なのか、唐突し過ぎた話で頭が混乱していた。
一応尋問してみるのもありなのかもしれない。
「違う世界?お兄は天国に行かなかったの?貴女はどうしてそれを知ってるの?」
女は私に杖の先端を向かせた。
「貴女には質問する権利はありません。ただ、一つだけ言えるのは貴女のお兄さんは天国に行っておらず、異世界に行きました、とだけ言いましょうか」
女は無表情のまま、手にある杖を私の双眸に押し寄せた。
幸い、その杖は直接当たらなかった。まるで脅迫を送るような感じだ。
まずい、状況がイマイチだ。
お兄が生きている?そんな戯けた話をするなんて、私は目の前の女が既に頭をバグらせたと思った。
しかし、女の表情は変わらない。
『ソリハ』と名乗った女は杖を私の横に向かせ
―――!!
つい先まで私の傍には茂が生えていたものの、今は一瞬で焼かれた。
驚愕した私は事情をますます理解できない。
まるで心を読み取られるように、ソリハは説明してくれた。
「今のは魔法です。貴女には使命を与えます。異世界でお兄さんの居所を探って、影からできるだけ守るようにお願いしたいのです」
「守る?どうやって?」
異世界、もし相手の話が事実であれば、この世界に蘇った兄は誰なの?
嫌、あれは多分本物お兄かもしれない。そう信じたい。
「この世界での貴女のお兄さんは貴女を気にかけ過ぎて、向こうの世界で幸せになれないんです。まず、貴女のお兄さんがこちらの世界に戻れないようにしておいて下さい」
また心を読まれた。本当に相手の目的が何か、気になる。
「断ると言ったら?」
「拒否権はありません」
拒否権が無い。本当にどうやって兄の居所を探れは良いのやら、想像すればするほど、分からなくなった。
「でも安心しなさい、私も協力してあげるから」
こちらが懸念したものまでお見通しか。この女、やはり只者ではないはず。
「じゃ、一つだけお願いでますか?」
「何、言ってみなさい」
向こうの世界にいるお兄。多分、より正確的に言いたいなら、最近流行り物の異世界転生なのかもしれない。
であれば、私には力は必要となる。
「―――魔法を教えて下さい」




