第6話 妹の隠し事
「何で私の日記を密かに読むの?」
と、苦笑しながら尋問する妹。
その表情は笑うのを見せかけてから、笑顔を無くす。
日記が読まれるのをそんなに不満なのだろうか?嫌、日記を書くのは妹だし、あの子は読まれても良いと昔は云った事がある。故に、俺は眼の前のシズク―――否、シズクの皮を被ったこの誰かさんのことを調査しなくてはならない。
とりあえず、俺はこの不利な場から逃れる必要がある。
「嫌、別にいいじゃん。確かに読むのは失礼だと思うけど、シズクは昔読んでも大丈夫と云った記憶があるから――」
「あるって言っても、こんな堂々とした動き、怪しまれるのも当然だと思うけど…」
「それは……」まあ、確かにこのような堂々とした動きには怪しまれるのも、不思議じゃない。
実際、俺もこういうスパイがやりそうなことに特訓など受けたことはないからだ。この世界でも、あっちの世界でも。むしろ、国の姫君として生活を送りすぎたのかもしれない。
シズクは呆れた息を吐き、こう告げる。
「まあ、読みたければ、普通に読めば?お兄はもうアンデッドみたいなものになったし、あっちの世界で役に立つか知らないけど」
「まあ、そうだな……うん?待て、シズク。さっき何を言ってるんだ?」
自然に口からそれを発するシズク。微かに怪しげな話だ。故に、俺は追求することにした。
異世界、まさかこれは異世界の存在を知っている証なのかもしれない。
「え、何?」
俺はついシズクの肩を掴んだ。
「さっき、あっちの世界と言ったな。まさかお前………」
「お兄、何を言ってるかさっぱりだけど」
妹を見据えて、俺は内心で確信を得たい。
「お兄は未練があったから、天国にいけないんじゃないの?」
――
――
え?
突然彼女が口にした言葉で戸惑い始めた。
「てん…ごく?」
俺が現実を見えてないか、或いは現実を見られないか、そのどちらかで頭…いや、魂が困惑しているかもしれない。
シズクは無理やり俺の手を離して
「お兄、今日変だよ」
「あ、ああ…多分な」
「あっちの世界でちゃんと休憩できるの?大変だね、死んでも働かされるなんて」
冗句でもいうつもりか否かはさておき、俺は確かに、ここ間休憩不足なのかも。
内政官の調査やらで頭が悩まされるし、いざこっちの世界で独自でシズクの事を調査しないといけない。
俺は息を吸って、魂を落ち着かせる。これ以上考えても埒が明かない。
それによって、俺は一旦謝罪して、テレビを見続ける事にした。
◇◇◇
『これでいいのかしら?』
『いいのいいの、お兄にはお兄でいて欲しいから』
私は魔法であの者と話をした。頭に響く声から察するにこの者はまだ追及されたくないっぽい。
よって、私も協力せざるを得ない。私はつい先まで読まれた日記を隠して、こっそりテレビを見ている兄の姿を覗き見する。
『これは全て、貴女のお兄さんのためです』
『わかっている』
私は魔法を途切らせ、魔法の通信を切った。




