第17話 魔法への憧れ、同時に蘇った感情
暗闇の中、わたしは踏み場を間違わないように足元を注意しつつ慎重に足を進める。
一方、普段ドレスを纏わない、普通の男装のような格好をしているアンジェリカ様はキッパリと地面を歩いた。
今は舞台が開幕前、アンジェリカ様は普通の席の切符を二つ購入してれた。
今死ぬほど驚いたのが、アンジェリカ様は高級の席を予約していないことだ。
「あ、あのお。この席で座るの……本当によろしいですか?」
「ん?何がですか?」
「平民と一緒に座るのは…」
「ああ、なるほどですわね」
アンジェリカ様は観客の席に腰をかけて、わたしにも座るようにと合図した。
「実は私、高級の席があまり好みではありませんの。それに、民と一緒に座った方が、王女としての責務を全うできる気がします」
アンジェリカ様はフードを開いて、結んだ自分の黄金の髪を晒す。
王女が堂々と民の間に居座って、わたしの心には習慣できる気がしない。
わたしはアンジェリカ様の傍に腰をかけた。
そして、間もない魔術ショーの舞台が開幕した。
魔術ショーでは様々な魔術を使いこなし、いろんなトリックがあった。
わたしは魔術ショーに閃いて、思わず胸の音を高鳴らせた。
鳥を扱う魔法も、炎の魔法も、などなど、全て完璧に使いこなした。
わたしは思わず目を丸めた。
魔法にはこのような使い方があるとは…いや、むしろこれは懐かしさかな?
何か、どこかで、このキラキラとした魔法で憧れを持つようになった。
そうか…、この瞬間記憶が蘇った。昔に埋もれたことのあるこの感情も蘇った。
何もかも、全て思い出した。魔法使いになりたい理由もーーーそれはこのようなキラキラとした魔法を使いたいからだ。
「ふふ」と薄笑いするアンジェリカ様。わたしはつい調子に乗って、言葉を返す。
「な、なんですか!?」
「いいえ、表情がすごいなーと思いました」
一言で、たった一言で返す言葉もなかった。わたしは顔を俯かせて、自分の赤らめた表情を隠す。
アンジェリカ様がどんな目的で誘ったのかはわかるまいが、内心では感謝の言葉を伝えたいと思う。
後で伝えよう。
気づいたら、魔術ショーは最後の公演まで迎えた。リストでは水の魔法らしいけど、今後どうなるのか、楽しみだ。
「はーい、ちゅうーもく!これより、水と氷の魔法をお見せします〜!」
舞台上である青髪の男が現れた、今回は何のイベントだろう。大きな声で注目を集めた。
「ん?」
「あれ、どうかしましたか?」
観客からは盛大な拍手があっても、何故かアンジェリカ様だけ拍手しない。
アンジェリカ様はワクワクするわたしの手を掴んで、
「逃げましょう」と強く言っていた。
「え、どうかしたのですか?」
「早く!」
「でも、ショーが!」
「いいから、早く!」
青髪の男は詠唱を始めーーーーいや、無詠唱で水や氷の魔法を駆使する。
!!!
気づいたら、他の観客者は氷づけになった。
「くっ!」
「な、何!?」
わたしとアンジェリカ様の足まで凍らせ、わたしは驚愕して、身体中を動かせない。わたしは舞台の方をみて、先ほど魔法を駆使した男は気色悪い笑みを浮かべた。
「ど〜こに行くのかな?俺の『玩具』たち」
凍らせる魔法のせいか、残った観客者は大騒ぎになって、慌てて公演の場を離れていた。しかし、観客者がそうする前に、男はまた無詠唱魔術を放ち、逃げようとする観客者を氷づける。
「ねえ、俺は君たちのことを言うんだよ」
男は舞台からわたしとアンジェリカ様の方へと指を指している。先ほどまで暑かった空気が一気に寒気でいっぱいになり、状況を把握できないままわたしは怯える顔をした。
「くっ!あなたは誰ですか!?」
「最初に聞くのがあれかい?」
アンジェリカ様は自分の足元に炎の魔法を使って、氷づけから解いた。
しかし、アンジェリカ様はこの異様な事態に即座に把握して、男を尋問しようとしている。
一方、男はウキウキしたような顔を隠せず、「チェンジ」という言葉を呟いた。
そして、光が彼を浴びるように、水や氷が男を包んだ。男は水と氷を合体して、禍々しく、狼人間のような姿になった。
「いいだろう。では、自己紹介をしよう。俺は、魔法戦隊スタームーンのブルーだ」




