第14.5話 魔女ソリハの胡散臭い話
俺、富岡俊輔は富岡シズクの兄にして、カワリズミの王女でもあった。なぜ王女なのかと戸惑ってしまうが、俺は元の世界で死を迎え、この世にお姫様として彷徨った。
いわば、お姫様の身分を持つ赤子に転生して、生まれ変わったというのだ。それから数年が経て、新しい世界にも弟と妹まで誕生した。
最初はシズクの存在はもう会えないかと思いきや、十六歳か十七歳になった際に俺は屍として元の世界に戻れた。
やはり俺は、元の世界の妹のことを放って置けないと思い、色々とシズクの面倒を見やった。もちろん、新たな世界でお姫様としての責務は忘れていない。
ただ、何故か俺には荷が重過ぎた。俺は数日も帰宅していなかったシズクの部屋を探り、散らかすまでシズクの日記を探りを入れた。
だが、やはり見つかっていない。俺はこめかみを抱えて、妹がすでに対策を練ったことに気づいた。
「やっぱりあれも、これも気になるな〜」
魔女ソリハの話からして、俺はシズクと喧嘩していたらしい。何で喧嘩しているのかも、わからない。
一部の記憶をなくしたせいだろうか?
俺が胡座ポーズで床に座って、腕を組んで考え始める。
「おーい、魔女殿」
『何かお困りですかね?』
魂には些か焼かられるような苦痛を感じるが、今はしょうがない。
「俺にシズクと会わせろ。シズクはお前と一緒にいるんだろ?」
『何故、そう言い切れるのですか?』
魔女は質問で返すが、やはり相手は惚けるつもりでいられるようだ。
魔女ソリハが前の学園に出会ったソリハとは無関係だったら、唯一命令を下せるこの人しかいないと思った。
「お前、シズクに何をした?」
『野蛮人ですね。何故わたしがやったのを疑っているのですか?』
「そもそも怪しいだろうが、突然公園で話しかけていて、あれこれと指図して…」
恐らく、厄介なのがこの魔女そのもの。彼女は他人の魂でテレパシーのようなもので話しかけるだけで、魂の存在が削られる。
俺は正直、指図されるのは御免だ。俺はシズクの調査であの日本語のメモを見つけ出した。そして、ソリハがいかがわしい存在であることも。
『感が鋭くなってきましたね。前は雑にやっていたというのに』
「この前は魔法戦隊スタームーンがやってくると言ったな。あれはどういう存在なのか、少なくとも知っている」
『ふむふむ、いいですね。魔法戦隊とは何か、ご存じで?』
「少なくとも、野蛮人で、テロリズムを犯行する連中だ。名乗る度に必ず妙なポーズをしているとか歴史学の教科書で読んだことがある」
俺はできる限りの知識を凝縮させて、口で話している。そもそも、調査中に『魔法戦隊スタームーン』が現れるのを調査制限になるのが異様だ。
こいつから直々情報を吐き出すしかない。
『まさに、野蛮人ですね』
「うるせえ、茶化すのはここまでだ」
暫く魔女は沈黙した。なんの言葉も返されなかった。まさかあいつ、消えたりしないよな!?
『消えたりしませんよ。では、向こうの世界で会わせてみましょうか。富岡俊輔…いや、アンジェリカ・ビン・カワリズミ王女』
「はあ、それならオッケーだ」
『但し…』
「はああっ!?まだあるのかよ」
俺は眉の皺を寄せて、荒っぽい話し方を始める。またこのものの指図を受けるのかよ。ちくしょうと内心で愚痴を叩いた。
『あなたが自然に会えるために、まず向こうの世界のソリハの問題を片付けなさい。あの子は虐められたんですから、扱うのは丁重に。そして片付いたら、全てお話ししましょう』




