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異世界では王女、元の世界では普通に死んだ男  作者: 仲河樹
第二章 魔女が隠していること

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第11話 異国の文字

光が浅い所だった。ジメジメした空気が廊下全体を覆って、静寂過ぎるのだった。

所々地面には水たまりがあり、私はドレスが汚れないように回避しつつ護衛…騎士ロバニの手を掴んだ。


「大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫です」


今回の目的は勇者を召喚するための魔法陣の調査だ。

それが故に、私とロバニの他に国王がいて、国の大魔法使い二人まで呼んでいた。

そして最後には父の専用の護衛騎士、ベルベット・クリーマー侯爵。

一行は合計六人いる。

正直、廊下は悪臭を生み出す程汚い所だ。


私たち一行は前進して、ある召喚の場に到着した。そこでは推定七つの柱が連なって、それぞれ星の模様が刻まれた。石畳を踏んで、ようやくバランスを取れた。

部屋の最奥に魔法陣の模様が描かれ、そっちまで歩いた。そして、この閑静なる部屋ではただならぬ魔力量を感じる。


「一見からすれば、三日月の模様ですわね」

「はい」

「召喚魔法の儀式がここで行われるのは間違いないかと」

「そう…」


もし私の考えが当たりだったら、召喚魔法の儀式の際に事件やら何やら起きているはずだ。そしてそれはシズクとも関連している。

それが故に私たちは大魔法使い二人まで連れている。調査がスムーズに実行するためだ。


召喚魔法は複雑で、図形が図形に重なってできている。その他に、三日月の模様まで載せられて、知識不足の私には到底理解できまい。


「ショウマ殿、エリナリーゼ殿、よろしくお願いします」

二人の魔法使いに指示して、二人の魔法使いは調査をし始めた。


◇◇◇


いきなり呼び出され、何かと思いきや魔法陣の調査か。ここ二ヶ月間、内政官が何やらまた妙なものを召喚していたらしいと、民の間では騒いでいる。


しかしあたしはここに来たのはあくまで国王陛下や王女様に呼び出され、仕事を全うしなさいという命令を受けたので、事件の詳細はあまり詳しくない。私は一つ目の柱を確認して、描かれる星の模様を確認する。


「ここは何の異変は無い」と呟く。

一つ目の柱、二つ目の柱、連続で七つまで確認したが、何処か異変を感じれない。

異変どころか、全て完璧な状態にある。星の模様にも傷すらない。

「ショウマ」

「はい?」

「そっちの魔法陣はどう?」

「特に異常なし…ですかね。ただ…近くの書物を確認する必要があるかと」

彼が指した書架を見て、書物が沢山並んでいた。およそ二十冊程度ある本の前に私は一冊の本を手に取る。大雑把に読んで、やはり異変は無いと。

「私も手伝います」


それを言ったのは第一王女のアンジェリカ・ビン・カワリズミだ。

彼女は本を手に取って、一枚ずつ読んでいる。

「あのぉ、大変恐縮ですが、王女様にはそこまでやる必要は無いかと」

「私は見てるだけじゃ居られないと思っただけです。なので、少しだけ手伝わせて下さい」


王女は声を絞るまで話した。そういえば、彼女は民の間で評判が良いらしい。

どうしてなのかあまり分からないのだが、少なからず心構えが強い。

「は、はああ―――」

しかし、これは私の仕事だ。私も仕事をしなくちゃならない

私が次から次へと書物を確認する。

―――

「エリナリーゼさん、ちょっとこちらへ」


作業への集中を破ったのはショウマだった。彼は二十冊のうち一冊を手にとって、私を呼びかけた。

どうやら何か見つかったみたいだ。

近くに寄ってきた私。

「このページ破れています」

「あ、本当だ」

これは何の本だろうと表紙のタイトルを読んだ。

「カワリズミ王国の歴史学……教科書なの?」

「ええ、ただ、数ページが破れています」


どうしてこんなところに歴史学の教科書があるのだろう?と私はついつい指を顎に添えて、首を傾げる。もし普通の教科書とあれば、破る必要なんてないのに。


◇◇◇


(本が破れている、か)

私は目を一瞥し、大魔法使いの二人に見やった。どうやら、何かを見つけたみたいだ。

「何、この文字?」

「さあ、知りませんね」

文字?

いったい、何を話しているのだろう?

私は二人の方へと訪問することにした。同時に父やベルベット侯爵まで集まっている。

「何か見つかったかね?」

「はっ、こちらをご覧ください」


二人の魔法使いは直ぐにこうべを下げて、国王に手元の本を渡す。

父はその本を確認し、驚いた顔を隠せない。

「ページが破っているな」

「それだけではありません、何か異国の文字が記されています。恐らく、今回の事件と何か関わっているのかと」

「異国の文字?」


ショウマ殿の言葉に私は父から本を手に取る。先からわけわからない話が進んで、まるで仲間はずれみたいじゃないか、と思いつつ、本を開いた。その途端に、私は掲載されているページを見て、驚愕する。


異国のページが記されているページでは赤いインクで記されて、不気味そうに書かれている。だが、それより私を驚かせたのが掲載される言葉は――先から言われている異国の言語は日本語だ。


(お前を殺す、必ず殺してやる。シズクも、アンジェリカも、アレシアも、ホノカモ全員!!)


―――何故、こうなっている?

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