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アマルガムの魔匠  作者: 字書き狸
帝都アルレウスを彷徨う幽霊

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第41話 報酬

「あ、そういえばレオン君の紹介がまだだったね」

ノーマンはエドガーの同期である青年の方を向く。


「改めまして、レオンです。軍部所属です。昨夜あった事に関して調書を取らせていただきに伺いました。よろしくお願いします」


「こちらも改めまして。エリアンです。立ち話もなんなんでこちらへどうぞ」


エリアンはノーマン一行を招き入れつつ用を頼む相手を探す。

「すまん、テオ…は、まだきついか。リネット、人数分お茶を入れてきてくれ」


「はぁーい」


「あ、ブランシュもついていってお茶とか食器の場所とか教えてもらってくれ」


「わかった」


リネットとブランシュが階段を上っていった。




「ブランシュ…?」

そのやり取りを聞いたノーマンとエドガーが硬直する。

「…。そういえばあのローブの子は昨日もいたね。新入り?」


「あぁ、先日ナウマリスでスカウトしたんだが…」

エリアンは何やら不穏な空気を感じ取る。

ノーマンは相変わらず胡散臭い笑顔だが、エドガーの表情は禍々しさが消え無表情になっている。


「もしかしてシルヴァレムの宗主の方かな?」

ノーマンはにこやかに切り出す。


「えっ」

レオンは少し戸惑った表情だ。


「あぁ、やっぱり知ってる人がいてもおかしくないか。偽名にしないとまずいな」

「ちょっと訳ありでしばらくうちで働いてもらう事にしたんだよ」

エリアンは周囲の反応を確かめるように続けた。

「…なんかまずかった?」




表情を失っていたエドガーに再び禍々しさが宿り目を見開く。


探し人が見つかったはいいが他の都市の要人とこの天災が一緒にいて何も起きないわけがない。

万が一負傷させては外交問題、下手をすると戦争にまでなりかねないんだぞ。

まさか誘拐とかはしてないだろうな?!?!

そして報告書にあった、アノマライトの魔獣を爆弾で撃退したという文章。

共生者を使ったな! 報告の内容によく分からない記載があったのが今繋がった。

おのれここでも虚偽報告をあげてきていやがったのかこいつは…!!!!


口を開かずともその目は雄弁に物語っている。


エドガーの方を見なかった事にして続けるエリアン。

「そういうわけなんで、この話はここだけの秘密にしてくれ」


「まぁそういう事なら。ほらエドガーくん。座って落ち着きなよ」

ノーマンは腰掛けながら殺意を垂れ流すエドガーにも座る事を勧める。


「まぁエドガーからだいたいの人物像は伺っていましたのでそこまで驚きはしませんが…。何かあっても擁護は出来ませんからね」

苦笑気味に言い、レオンも腰を落ち着けた。



     ◇



――給湯室。


「ここに予備の茶葉が入っています」


「そうか。分かった」


「では、お茶持っていきますねぇ」


「私が持っていこう。少しでも役に立ちたい」


「でも、ブランシュさんは…」


「…故郷の地位を気にしているのか? 私は今は一職員だ。気にしないでくれ」

少し困ったようにブランシュは笑った。


「…そうですか…。そうですよね。変な気を使ってしまってすいません」

少し困ったようにリネットは笑った。



     ◇



――作業場。


「なるほど。2発と間を空けて1発。私の認識と一致しますね。他のメンバーとも同じでした」

「狙撃音が無く、風を切るような音が聞こえた直後2名が倒れたので事態に気づき、氷壁を展開したのですが、最後間に合わなかったようです」

「あの場にはノーマンさんの依頼で居合わせたという事で間違いないでしょうか」


レオンはエリアンを見たあとにチラッとノーマンを見る。


「あぁ。間違いないよ。軍部から通達は受けてたみたいなんだけど手違いで俺のとこには届いてなかったんだよ。ごめんね」

いつもの悪気のない顔でニコリとする。


(なるほど、これは確かにノーマンもいた方が話が早いな)


レオンはエドガーと同期とはいえ、あくまでも軍部の人間だ。

折り合いが悪い学術院の、しかもそこそこ上の立場のノーマンが同行するのを了承した事に少し違和感を覚えていたが、かなり手間が省ける事に納得した。




調書作成が一通り終了した段階で、お茶をすすっていたノーマンが切り出す。


「さてさて、お待ちかねの報酬の話ですよー!」


(((なんかテンションが高いな…嫌な予感しかしない…)))


「いやぁ、皆様本当にお疲れ様でした。昨日の巡回は暗殺騒動があったとはいえ、巡回任務自体は恙無く終えたという事で、100%の報酬が出ます!!」


「「「…ッ!!!」」」


(((な、何ぃぃぃいいいいいいい!!!!!! 今日はいつもと違うぞ?!?!?!)))


「さらに港町の件ですが。住人の方や衛兵の方からも大変感謝されているという事で、なんと学術院側でも特別報酬を追加する事になりましたー!!!」


「「「…ッ!!!」」」

「おいおいおい、レオンには悪いがこれは暗殺事件よりもよっぽど重大事件じゃねぇか!!!!!」

「ついに…ついに今までの苦労が報われるときが…」

「リネット、ノーマン達に、いやノーマン様達にもっと良いお茶をお出ししろ!!!」


「そして港町の諸々の賠償を差し引いて、プラマイゼロでーす!!!!!」


「「「ぶち殺すぞ?」」」

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