「電気」「ロボット」「バカな城」
【バカな城のロボット】
丘の上に、奇妙な城が建っている。
石造りの外観なのに、壁のあちこちから電気の青白い光が漏れ、夜になると雷雲のようにバチバチと音を立てる。
村人たちはそこを「バカな城」と呼んでいた。
理由は簡単。主である発明家・城嶋博士が、天才かつ筋金入りの変人だからだ。
ある日、村の少年ケイは、勇気を振り絞ってその城を訪れた。
扉を叩くと、中から金属音とともに返事がする。
「やあ、待っていたよ!」
現れたのは背丈二メートルのロボットだった。
丸い胴体に細い手足、胸には「J・B-1」と刻まれている。
「ぼ、ぼくはケイ。博士に会いに……」
ロボットは目を緑に光らせて首を傾げる。
「博士は実験中。かわりに案内する。ボクはジョービー」
中へ足を踏み入れると、天井から垂れる電線が蜘蛛の巣のように絡み、壁面のパネルが規則正しく明滅していた。
奥の大広間には、雷を溜める巨大な装置が鎮座している。
「博士は、この城ごと空へ飛ばす実験をしてる」ジョービーが言った。
「えっ、空へ?」
「そう。世界初の“空飛ぶ城”だってさ。バカだよね」
ちょうどその時、奥の扉が開き、白衣に髪を逆立てた博士が現れた。
「おお、見学者とは珍しい! 君、電気は好きか?」
博士の目は少年の好奇心を一瞬で見抜いたようだった。
「好きです! ぼく、将来ロボットを作りたいんです」
博士は満面の笑みを浮かべた。
「いいぞ! バカみたいな夢こそ未来を作る。さあ、発射の瞬間を見届けたまえ!」
轟音とともに城全体が震えた。
稲妻が走り、窓の外の空が青白く光る。
――ゴゴゴゴ……。
地面が離れ、城はゆっくりと宙に浮かび上がった。
ケイは息を呑んだ。
村人が笑いながら「バカな城」と呼んだ場所は、いまや雷雲の中を昇る巨大な飛行船だ。
「さあ、ジョービー、君の出番だ」
博士が叫ぶ。
ロボットは胸を開き、制御盤を叩いた。
電気の火花が散り、城は夜空を舞い上がる。
ケイの心は歓喜に震えた。
――バカと呼ばれた夢こそが、世界を動かす。
青い稲妻が遠ざかる村を照らす中、少年は強く拳を握った。
「ぼくも、絶対に作る。ロボットと、バカな未来を!」
連載作品は0時更新。シリーズ『連載中』より、ご一読ください。
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