「トラック」「ドラゴン」「ラーメン」
【ラーメンはどこで食ってもうまい】
俺の名前は佐藤大輔。三十二歳、独身。職業はトラック運転手。趣味は深夜アニメとラーメン食べ歩き。そんな平凡な俺の人生が、まさか異世界でラーメン屋を開くことになるなんて、誰が想像しただろうか。
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あの日も俺は、長距離運転の帰りだった。疲れで目がかすみ、信号を見落としそうになった。
――ガンッ!
鈍い音とともに視界が真っ白になる。俺はハンドルに額をぶつけ、最後に思ったのは「今月のラーメンスタンプカード、あと一杯で無料だったのに」だった。
次に目を開けたとき、そこは草原。目の前に巨大なドラゴンがいた。
「貴様、異界の運び屋か?」
ドラゴンは低い声で言った。
「いや、ただのトラック運転手ですけど?」
「ならば、我が背に乗り、運命を運べ」
なんでこういう異世界って、唐突に就職面接が始まるんだ。
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ドラゴンに無理やり背中へ乗せられ、どこかの城下町に降ろされた俺。
街の人々はドラゴンを見て逃げ惑うが、俺だけは呑気にこう言った。
「腹減ったな……ラーメン食いたい」
その一言が、ドラゴンの耳に妙に引っかかったらしい。
「ラーメン? それは魔法の食べ物か?」
「いや、日本の国民食だけど?」
「作ってみせよ!」
ドラゴンに睨まれ、俺は仕方なく街の市場へ。小麦粉や肉や野菜を買い込み、即席で屋台を組み立てた。トラックの荷台が丸ごと転移していたのは幸いだった。
「いらっしゃい! 異世界ラーメン佐藤屋オープンだ!」
最初の客は、よりによってそのドラゴン。
湯気の立つ丼を恐る恐る口にしたドラゴンは、次の瞬間、涙を流しながら叫んだ。
「こ、これは……我が千年の孤独を癒す味ぇぇぇ!」
ドラゴンが感動のあまり号泣し、街中が大混乱。だが、その一件が口コミとなり、俺のラーメン屋は異世界中で大人気となった。
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やがて国王から呼び出しが来た。
「異界の者よ、貴様のラーメンを王城で披露せよ」
だが、宮廷魔術師たちは「ラーメンは邪教の料理! 人心を惑わす!」と猛反発。何をどう間違えたのか、俺は「料理バトル裁判」に巻き込まれてしまった。
対戦相手は魔術師長が誇る“呪いのシチュー”。鍋の中で目玉がぐるぐる回っている。完全にホラー。
俺はシンプルに豚骨ラーメンを仕込んだ。麺をすする音が王城に響き渡ると、王様は思わず丼を抱えてむさぼり食い、こう叫んだ。
「余はラーメンの虜じゃ!」
その瞬間、裁判は俺の勝利。国は「ラーメン祭り」を制定し、俺は「麺王」の称号を得ることになった。
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気がつけば俺は、ドラゴンを配送車代わりにして食材を運び、王都で大繁盛するラーメン屋の親父になっていた。
「なあ、ドラゴン」
「なんだ、麺王よ」
「結局、俺……異世界でラーメン屋やってんのって、転生した意味あるのかな?」
「あるとも。我は今、替え玉三杯目だ」
「お前が太るだけじゃねえか!」
こうして今日も、ドラゴンのすすり音と共に異世界の夜は更けていくのであった。
連載作品は0時更新。シリーズ『連載中』より、ご一読ください。
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