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受付嬢の憂鬱【エル視点】
仕事斡旋所のギルドで今日も変わらず事務仕事で忙しい日々を送っている。
今日は生憎の大雨。
思わず溜息が出る。
「どうしたの、エル。溜息なんかついちゃって」
「なんでもないの」
「そう」
同僚に心配されながら、私は大量の書類の束に視線をやる。
再度、溜息を吐く。
「どうして、こうも鼠退治の仕事の要請ばかりくるのよ、もう」
住民は溝さらいと鼠退治の依頼を清潔で安全な暮らしのため冒険者たちに頼むが、冒険者たちは名誉を重んじるため、受けたがらない。
私たち受付嬢は住民と冒険者の喧嘩の仲裁に入ったり、住民と冒険者両方の愚痴や要望を聞いたりしているので、その精神はもはやボロボロだ。
仕事に優劣なんてつけられないのに。
私はそう思うが世間はそうでもないらしい。
「彼ならなんの不満も言わずに請け負ってくれるかな」
私は、今日も今日とでストイックに溝さらいをしている彼に思いを馳せる。
いつしか私はなんでも仕事を引き受ける彼に面倒事を押し付けたい気持ちがでてきた。
いけない、いけない、こんな考えはよくないわよね、うん。
でも、もし楽になるのなら、頃合いを見て彼に頼んでみるのも一案かな。




