表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/15

鼠退治の依頼と準備

直接カクヨムから持ってきているので、読みづらかったらすいません。

ここまで読んでくださりありがとうございます。


 あれから半年、俺は早朝に剣術の基礎を叩き込み、溝さらいをする日課を繰り返すことでほかの冒険者と比べて引けを取らないほどの肉体を手に入れた。


 パブにて。


 「あの、リョウさん」


 俺はビールで一息ついて、目線をエルさんに移す。


 「お疲れのところ申し訳ありませんが、近ごろ、ラットが大量発生しているので討伐してくださいませんか。報酬は100匹で1000Gです」


 「ラット?」

 「はい、通常の鼠よりも大きな個体で下水道や民家に出入りしているとのことで住民から不満が来ているのですよ」


 「おい、あの溝さらい、エルさんからじきじきに依頼を受けているぜ、うらやましー!」という野次馬の声が後ろから聞こえた。


  俺は無視する。


 「それで、レベルは?」


 「あの……失礼ですが0です。ですがその脅威はその数にあります」


 「ふむ」


 「受けてくださいますか?」


 「受けたいのはやまやまなんですが、生憎、装備を買う金がないんですよね」


 「そうですか、突然、声をおかけしてすいません」


 周りの冒険者がエルさんを悲しませるなと俺を睨みつける。


 睨みつけるくらいなら、お前ら自分で引き受けろよと俺は思ったが、視線に耐えかねて俺は彼女を呼び止めた。


 「わかりました、何か手を考えておきます」


 俺は引き受けてしまった。


 困っている美女は放ってはおけないのだ。


 「ありがとうございます!」


そういってお辞儀をしたエルさんからほのかな石鹸のいい香りがした。


 後ろから冒険者の殺気を感じる。


 エルさんを独り占めしやがってということか、一体どうしろっていうんだよ、おい。

 

 俺は嘆息する。


  あの後、溝さらいを終えて俺は宿屋のベッドの上で考える。


 「貯金なんて最初にもらった500Gしかないぞ」


 しかも、その500Gもどうしても腹がすいたときに、おやつを食ったせいで残りの金は、たったの100G。


 「これで、一体どうやって鼠退治するかだな」


 武器、防具、各種アイテムを買うには、少なすぎる。


 数分悩んで、結論を出す。


 「どっかの本で見たことあったな…………まぁやるだけやってみるか。薬草収集で毒草を入手して串焼き肉の屋台の余りもので殺鼠団子を作ってみよう」


 ギルドにて。


 「薬草収集を受けたいですか。あの、鼠退治のほうは」


 「そのあとで引き受けます」


 「わかりました」 


 「それで、その決められた薬草を手に入れるのがこの仕事ですよね」


 「はい、あぁ価値の高い薬草をみつけても、むやみに取らないでくださいね」


 「はい、それはわかっていますけど、毒草とかって持って帰っても大丈夫ですか?」

 「確認してみますね」


 数分後。


 「確認が取れました。持って帰っても大丈夫です。具体的に持って行っていいのは、一部分に毒があるとかそういうものではなくて、全ての部分に毒が含まれている価格が1㎏あたり3G未満の毒草、グリネクサ、ゴルドンフィール草、ビリバルディ草の三種類だけですよ。この三種類は雑草のように生えてくるのでもらっても構わないそうです」


 「わかりました、特に持ち帰る量の制限は?」


 「一般人の目に触れない場所であれば、いくらでもどうぞ」


 「わかりました、ありがとうございます」


 「いえいえ。薬草収集頑張ってくださいね」


 「はい、行ってきます」


 「行ってらっしゃい」


 笑顔で俺に小さく手を振るエルさん、仕事のやる気が自然とわいてくる。


 指定された山へと向かうとうっそうとした雑草が生い茂る場所にたどり着く。


 俺は、渡された薬草の図と毒草のイラストを頼りに、雑草を引き抜きながら、薬草を丁寧に抜いていく。

 

 結構な労働だ。


 下請けも楽じゃないなと痛感する。


 剣の修業と溝さらいもやっていたから薬草収集を始めて3時間くらいであたりが真っ暗になる。


 こんなもんでいいだろうと作業を終了する。

 

 俺はギルドで薬草を渡し、宿屋に持ち帰った毒草を2㎏程宿屋の店主に一言ことわって、宿屋の裏の庭で毒草の入った袋にドクロマークを書いた紙を貼って置いておく。


 報酬の15Gをポケットに入れると俺の腹の虫が鳴き出す。

 

 「腹減ったなぁ」

 

 夜11時、 串焼き肉屋台にて。

 

 「串焼き肉2本くれ」

 

 「あいよ」

 

 頬張った瞬間に肉汁が迸る絶品の串焼肉を食べ終えて、本題に入る。

 

 「なぁ店主、店の売り残りや余った肉は捨てちまうのか?」

 

 「そうだ。なんだ、ほしいのか?」

 

 「いや、無理にとは言わないが……肉のこびりついた骨でもいいんだ」

 

 

 「犬の餌にでもするのか」

 

 「まぁそんなところだ」

 

 「いいぜ、あんたのおかげでうちや近所の奴らの溝はきれいになったからな。好きなだけ持っていくといい」

 

 「ありがとう」

 

 「また食べにこいよ、兄ちゃん」

 

 こうして余り物の肉や骨を頂いた俺は、それを毒草の入った袋の隣において、宿屋に戻って眠る。


 翌日の早朝4時。

 

 俺は、冒険者セットのナイフで骨から肉を削いでいきほかの余った肉と合わせて、肉団子を作る。

 

 その後、いらなくなったすり鉢を宿屋で働くキッチンの優しいおばさんからもらってすり鉢の中に毒草を入れてすりこぎですりつぶす。

 

 そうするとつぶれた毒草からエキスが出てくるので、それを肉団子と混ぜる。

 

 もちろん革の手袋はしている。

 

 安全第一。

 

 「こんなもんか」

  

 俺はお手製殺鼠団子を冒険者セットのバックパックに入れる。


 早朝5時30分。

 

 ちなみに時計は宿屋の古時計しかない。

 

 下水道にて俺は殺鼠団子を100個程設置する。

 

 「頼むから、効いてくれよ」

 

 こうして俺は、溝さらいの次に鼠退治をやっている。


 鍛錬と溝さらいを終えてベッドに入り思わず俺は嘆息する。

 

 「…………よくよく考えてみると、思い描いていた冒険者生活とはかけ離れているな。一体なにをやっているんだ、俺は」

  

 だが、それが一番現実的で安全な冒険者生活だと自分に言い聞かせる。

 

 いつか、勇者になることを夢見て。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ