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猫山さんをわからせたい!  作者: ウチぬっこ
第二章 猫山さんと、新しい新人

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17/22

第17話 シャロさんの観察日記

私は最近、日記を書き始めました。


 理由は、私が働いているお店に、とても気になる二人がいるからです。


 近藤さんと、猫山さんです。


 二人は、もしかすると付き合っているのかもしれません。


 そう思ったきっかけは、先日のお休みの話でした。


 猫山さんが近藤さんに向かって、楽しそうに「デート、楽しみにしてますね!」と言っていたのです。


 あれは、どう考えても普通のお出かけではありません。


 ……いえ、もしかすると、本当にただのお出かけなのかもしれません。


 でも、気になります。


 とっても気になります!


 というわけで、今日はお二人に、それとなく聞いてみることにしました。


***


「近藤さん、ちょっといいですか?」


「ん? どうした、シャロさん」


 仕事の合間、私は近藤さんに声をかけました。


「この前のお休み、何をしていたんですか?」


「え? 普通に映画を見に行ったけど」


「映画ですか! いいですね。誰と行ったんですか?」


「……猫山さんと」


 近藤さんは、ほんの少しだけ答えるのをためらいました。


 やっぱり!


 私は心の中で、思わずガッツポーズをしました。


「猫山さんと二人で、ですか?」


「まあ、そうだけど……」


「映画のあとは、どこかに行ったんですか?」


「ゲームセンターに寄ったかな」


「ゲームセンター! それで、それで、楽しかったですか?」


「そりゃあ、普通に楽しかったよ」


 近藤さんはそう言って、少し困ったように笑いました。


 でも、私にはわかります。


 この反応は、何かあります!


「近藤さんは、猫山さんと一緒にいると楽しいんですね」


「……まあ、猫山さんとは一緒にいて気楽だしな」


 近藤さんは、さらっと答えました。


 その言葉に、私は思わず目を輝かせます。


「それって、猫山さんのことが好きってことですか?」


「なっ……! どうしてそうなるんだよ」


「えー? だって、お休みの日に二人で映画を見に行って、ゲームセンターにも行ったんですよね?」


「それは……俺から誘ったんだけど、せっかく出かけたんだから、いろいろ楽しもうと思ってさ」


「ふふっ。そうなんですか?」


 近藤さんは、照れくさそうに視線をそらしました。


 はっきり否定してくれませんでした。


 ……これは、かなり怪しいです!


「シャロさん、仕事に戻ろうか」


「あっ、はい! お仕事もちゃんと頑張ります!」


 私は元気よく返事をしました。


 もちろん、仕事は大切です。


 でも、お二人の関係も気になります。


 これは、引き続き観察する必要がありそうです。


***


 そして休憩時間。


 今度は猫山さんに話を聞いてみることにしました。


「猫山さん、今ちょっといいですか?」


「はい、シャロさん。どうしました?」


 猫山さんは、いつものように余裕たっぷりの笑みを浮かべています。


 よし。


 ここは思い切って聞いてみましょう。


「この前のお休み、近藤さんと映画を見に行ったんですよね?」


「……えっ?」


 猫山さんの笑顔が、一瞬だけ固まりました。


 あっ。


 これは、何かあります!


「な、なんで知ってるんですか!?」


「近藤さんから聞きました!」


「近藤先輩から!?」


 猫山さんは驚いたあと、すぐに咳払いをしました。


「べ、別に隠すようなことじゃないですよ? ただ映画を見に行っただけですから」


「そうなんですね。映画のあとは、ゲームセンターにも行ったんですよね?」


「そ、そうですけど……。それがどうかしました?」


 猫山さんは平静を装っていますが、頬がほんのり赤くなっています。


 これは、ますます怪しいです!


「猫山さんは、近藤さんのことが好きなんですか?」


「なっ……!?」


 猫山さんの顔が、一気に赤くなりました。


「な、何を言ってるんですか!? そんなわけないじゃないですか!」


「そうなんですか?」


「そうです! 私はただ、近藤先輩をからかって遊んでいるだけですから!」


 猫山さんは胸を張って言い切りました。


 けれど、その視線はどこか落ち着きません。


「……本当ですか?」


「ほ、本当です!」


「ふふっ。わかりました!」


 私は笑顔でうなずきました。


 もちろん、完全には信じていません。


 だって、近藤さんの話をしているときの猫山さんは、いつもより少しだけ様子が違うのです。


 普段は余裕たっぷりなのに、近藤さんのことになると、急に慌てたり、顔を赤くしたり。


 きっと、本人もまだ自分の気持ちに気づいていないのかもしれません。


***


 その日の帰り道。


 私は、今日の出来事を日記に書きました。


 近藤さんは、猫山さんと二人で映画を見に行った。


 映画のあとには、ゲームセンターにも寄った。


 近藤さんは、猫山さんと一緒にいると楽しいと言っていた。


 そして、猫山さんは近藤さんのことを好きなのかと聞くと、顔を真っ赤にして否定した。


 ……うん。


 やっぱり、お二人はお互いを意識していると思います!


 ただ、まだ素直になれていないだけなのかもしれません。


「よーし!」


 私は日記を閉じ、両手をぎゅっと握りました。


 お二人がもっと仲良くなれるように、私も何かお手伝いできたらいいな。


 もちろん、無理にくっつけようなんて思っていません。


 ただ、ほんの少しだけ背中を押してあげるんです。


 ……きっと、それくらいなら大丈夫ですよね?


 私はまだ知りませんでした。


 そのお手伝いが、二人にとって思いもよらない騒動の始まりになることを。

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