欠けし山
サニル達は先に行き、俺を休憩していた場所に残っていた
20分ほど過ぎてから複数の気配が近づいてきた
「あんたらは…」
「さっきはどうも…」
気配の正体はサニルを襲撃していた盗賊達だった
「落とし物でも届けに来てくれたのか?」
「違う、お前に用がある。俺たちの仲間にならないか?」
こいつらは俺を仲間に引き込むためについてきたのか…
「一つだけ聞きたい。何故、紋章を持っているのに盗賊なんてしてるんだ?」
「簡単だ。その方が稼げるからだ。」
「それもあるだろうが、違うな。ただ周りからもてはやされるからだろ。
馬鹿なハエどもに持ち上げられるのはさぞかし気持ちが良いだろうな。」
「コイツ…」「リーダー!こんな奴は!」
挑発に乗り、騒ぐ盗賊の部下達
「貴様…仲間になるつもりは無いのだな」
「すまんが先約がいるもんでな…」
唐突に盗賊の部下達が空に飛ばされる
「リーダー!助けてくれ!」
「クソ!一体何が起こってる!」
敵が混乱しているうちにリーダーと呼ばれている者に接近し、手を掴む
「生きてたらどっかの国に自主でもするんだな」
掴んでいたやつを木に向かって投げる。
空に飛ばされていた奴らの多くも地面に叩きつけられ、気絶しているようだ
「アルく〜ん!無事かい?」
「ああ!問題ない!」
風に飛ばされなかった盗賊達は散り散りに逃げていった
「奴らの後ろに回り込んでいたのか」
「少し遠回りをしたけどね。」
サニル達は盗賊達の後ろをとり、紋章の力を使って制圧したようだ
「護衛の方は何だか息切れしてるみたいだけど」
「いえ…私たちは……大丈…ぶ」
「あー…風の紋章を使った私の走りについて来たからね」
風の魔法を使った動きはかなり俊敏だと聞いた
それについていけるのはすごいな。かなり置いていかれてはいたが
「それでこれからどうする?また休憩するか?」
「いや、彼女達が動けるようになったらすぐ出発しよう」
「…護衛の人達の不運さには同情してきたよ」
サニルは話した通り、護衛が動けるようになってすぐに出発した
進んでいくと少しずつ緑が消えていき、岩と砂の世界になっていた
どうやらとっくにサルアモ地方に入っていたようだ
岩と砂の場所とはいえ少ないながらも木のようなものは所々あるようだ
「それにしてもこんな砂だらけの場所、エルフは大丈夫なのか?」
「まぁ魔力の濃さには違和感があるが、そう問題ではないね」
エルフは魔力が満ちた場所でないと生きられないと聞いたが嘘だったのか
「でもハイナとハイネは辛そうだな。」
「戦闘訓練はしているが、環境の変化は流石に辛いみたいだね」
「お二人が…異常なんですよ…」
辛そうな二人のため少し腰を下ろし、休憩する
「それにしても案外魔物が出ないな」
「かつて暴食が出現したからね。魔物が生まれるほどの魔力が残っていないのだろう」
「暴食が…もしかしてあっちに見える半分欠けている巨大な山は…」
「あれがヨルデ山です。山というより巨大な岩ですけどね」
ハイネがヨルデ山と呼ぶ場所には抉られたかのように半分欠けている山がある
「あそこがヨルデ山か…」
「そして私達が目指す亜人集落でもある」
そういえば集落について全く聞いていなかった
「亜人集落か…一体どんな場所なんだ?」
「言葉通りの無法地帯です。ヨルデ山は半分無くなったけどそれでも多くの鉱石が採れる
鉱脈でもある。そこを亜人達が占拠し、鉱石を他の国と取引に使っているそうです。でも…」
ハイナは少し言葉を詰まらせる
「…亜人は今でも差別が激しく、避難所のように扱われている場所でもありますが…
誘拐され、奴隷として鉱脈で働かされるのがほとんどですね。他では……」
「なるほど、ありがとう。ハイナ」
言いずらそうな話だったため切り上げるために割り込んで礼を言う
「たとえ私達エルフでもお構いなしで奴らは襲ってくるだろうね。
あそこでは強さこそが正義だからね。」
「気をつけておこう」
俺たちは休憩を終え、再度歩き始めるのだった
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