番外編:旅立ちを知らぬ者
ベル視点
時間は少し戻り、アルが力に目覚めた夜
俺は、ファルの痕跡が無かったため、一度みんなでを別れた場所まで戻ってきた。
少し遠いところから、走る音がする。警戒しつつ、待っていると
それは父とファルだった
「父さん!ファルは…!ファ、ファル!」
「ああ、大丈夫。怪我をしているが、無事だ。」
「よかった。じゃあ、アルに紋章の力で合図を出そう。夜なら見落とす事は無いだろう。それに…」
「ベル、家に帰ろう。」「でも、アルが!」「まずファルを家に届けたい。」「じゃあ、俺だけで…」
「ベル!」父の声が暗い森に響く。父は表情を崩し、歯を食いしばっている。
「父さん…アルは…」「帰ってから話す。」自分の心臓が騒がしくなるなか、父に従い、
家に帰った。
父はファルをベットまで運んだが、ずっと黙っている。早くこの心臓を落ち着かせたい。
「父さん…アルは。」そんな訳が無い。アルは魔力がないが強い。一匹程度の魔物なら負けないはずだ
「あなた、あの子は?」黙る父に、母も聞く
父は硬く閉じていた口を開けた。
「アルは…ファルを守るため3匹の魔物と戦い…命に引き換え、守りきった。」
「なぁ、父さん、嘘だよな。アルが、アルが…」信じられなかった。
母の方を見た。今まで見たことないほどに、声も出ないほど泣き崩れていた。
「…俺がいながらすまない。俺は…アルを助けられなかった。」
父は歯を噛み締め、話す。
「父さんは悪くないよ。ファルは生きているからね。でも、そうか。アルは」
嫌でも理解できてきた。次の瞬間には、涙が溢れていた。
「アルは…死んだのか。」俺たちはアルの最後の誕生日を祝うこともできなかった。
その夜から、家には長く暗い沈黙が続いた。
「アル…これでよかったよな」父の小さな独り言は誰にも届かなかった。
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