165 「木挽町のあだ討ち」
こんにちは。
今回は本のご紹介です。
とはいえ、まさに今上映中の映画の原作本です。
映画、私も封切りすぐの頃に早速観に行きましてね。本当によかったので、やっぱり原作も読んでおこうと手にとりまして。
〇「木挽町のあだ討ち」
永井紗耶子・著 / 新潮社(2023)
読んでみてまず「おっ」と思ったのが、構成の妙。
江戸時代、江戸は木挽町の森田座という芝居小屋の前で起きたひとつの仇討ち事件。その年、睦月の晦日に起こった仇討ちは、見目麗しい前髪の若衆・菊之助が町の博徒・作兵衛との一騎打ちの果て、遂に首級をあげ、仇を討ち取って完結した……はず、でした。
それから二年後。物語はその菊之助の身内だという武士が江戸にやってきて、仇討ち事件を知る町の人々から「聞き込み」をしている、という体で進んでいきます。
まずは森田座の木戸芸者、一八。それから、森田座で殺陣の指南をしている元武士の与三郎、ほか数名。
それぞれが一章ずつ割り当てられる形で、ひとりずつ、事件をどのように見ていたかの証言とともに、かれらの人生の来し方を語りだします。そうするうち、次第に明らかになってくるこの「仇討ち」の謎。
やがて真実が明らかになるとき、「ああ、これはミステリーなんだ! 江戸ミステリー!」と感心してしまうことしきりです。
映画の方では、みんなの証言を聞いてゆく武士の男を一人のキャラクターとして柄本佑さんが飄々と演じておられて大変魅力的でしたが、こちらでは彼は人々の話を聞いている立場なので、ほぼ台詞などもありません。
小説と映画、両者の表現の違いがまた興味深かったです。
映画も非常に魅力的、小説もまた素晴らしい!
大変読みやすいのに、江戸の文化がありありと目の前に見えてくるような、非常によく取材された描写も光っています。
学校図書館にある意味は十分あるのではないか……と思いました。よろしかったらご検討ください。
ではでは、今回はこのあたりで。





