第六話
蒼太「紡、とりあえずホームセンターに入ったけど、当然ここにもゾンビはいるよね?」
紡「開店していたなら、スタッフも客もいたでしょうから。」
蒼太「栞と上司だけで対処するのは厳しいかな。」
紡「片方は三日連続徹夜、もう片方は未解決のバグです。」
蒼太「仲間が必要になると思うので、タイトルは『店内の生存者は?』っていうのでどうだい?」
紡「仲間になってくれるとは限りませんよ。」
蒼太「生きていれば何とかなるでしょ。」
紡「ゾンビも生きているように動いていますが。」
蒼太「そっちは数えなくていい。」
薄暗い店内に、何かを引きずる音が響いていた。
レジの向こうを、制服姿のゾンビが横切る。
「店内にもバグが残っていますね」
栞は近くの案内板で入口を塞いだ。
「おい、もっと頑丈に固定しろ」
「でしたら手伝ってください」
上司が黙った。
そのとき、サービスカウンターの陰から若い男が顔を出した。
「こっちです! 早く!」
二人が駆け込むと、商品棚で囲まれた一角に五人の生存者がいた。
ホームセンターの女性スタッフが一人。若い男を含む客が四人。
「噛まれていませんか?」
スタッフの問いに、栞はうなずいた。
「感染はしていません。同行者には別の不具合がありますが」
「誰が不具合だ!」
「静かにしろ!」
五十代ほどの男が上司をにらんだ。
その隣では、小田と名乗った男が不満そうに腕を組んでいる。
「外から人を入れるべきじゃなかったんだ。ゾンビまで来たらどうする」
「助けるべきだろ」
若い男が言い返した。
スタッフが二人を制した。
「店内には、店長とスタッフ、それにお客様だったものが何人かいます。事務所や倉庫の鍵は店長が持っています」
「店長はどちらに?」
スタッフは工具売場を指さした。
その奥を、名札をつけたゾンビがゆっくり歩いていた。
栞の目が細くなる。
「管理者権限がウイルスに感染していますね」
「水瀬君」
「はい」
「何とかしろ」
栞は工具売場を見渡した。
「まず、必要なリソースを確認します」
その声が、わずかに速くなった。
蒼太「店長はバグってるみたいだけれど、しっかりしたスタッフがいるね。」
紡「管理者が機能停止しても、現場は動いています。」
蒼太「早速デバッグにかからないと。」
紡「まずは管理者権限の回収ですね。」
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