第十三話
蒼太「紡、そろそろ栞を寝かせてやってもよくないか?」
紡「同意します。三日連続徹夜に加えて、駅から脱出し、店長を捕獲し、ホームセンターのインフラまで整えました。」
蒼太「でも、すでに来てしまったものは仕方ないね。」
紡「玄関先にいるのが宅配便なら、明日にしてもらえるのですが。」
蒼太「今回は『たくさんの来訪者』で。」
紡「たくさん、という人数にもよりますよ。」
蒼太「十九人。」
紡「栞の睡眠を妨げるには十分すぎます。」
正面入口の外に、十九人の生存者が集まっていた。
大人に交じって、数人の子どももいる。
栞は二重扉の外側だけを開けた。
「順番に検査区画へ入ってください。両方の扉へ同時に接触しないようお願いします」
噛み傷の有無を一人ずつ確認する。
腕から血を流した男性もいたが、逃げる途中で転倒した傷だった。
最後の一人が内側へ入ると、栞は扉を施錠した。
「十九名、感染は確認されませんでした」
集団の中には、園芸用の手袋をつけた中年男性と、ジャージ姿の高校生が二人いた。二人は同じ部活の朝練へ向かう途中だったという。
「近くの中学校が避難所になっています」
生存者の一人が言った。
「そこへ向かっていたんですが、大通りにゾンビが多くて……」
女性スタッフが水と保存食を配る。
店内は一気に狭くなった。
反栞派だった男が、集まった人々を見渡した。
「今までの六人ならともかく、二十五人がここで暮らすのは無理がある。避難所が機能しているなら、そちらへ向かうべきだ」
栞も貯水量を確認した。
「一時的な受け入れは可能です。ただし、現在の生活環境は長期滞在二十五名を想定していません」
そのとき、監視モニターが再び鳴った。
駐車場の奥から、多数の人影が近づいている。
今度は、誰も走っていなかった。
「先ほどの集団を追跡してきたバグのようです」
栞は眠そうな目で、立ち上がった。
蒼太「これで寝る人の数は増えたね。」
紡「栞の寝床は、まだありません。」
蒼太「優先順位、おかしくない?」
紡「本人以外はそう思っています。」
ご意見やご感想、評価をいただけると執筆の励みになります!画面下の「☆☆☆☆☆」から、作品への応援(ポイント評価)やブックマークをぜひよろしくお願いします!
【完結まで毎日0時10分に更新します(ストック執筆済み)】




