表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
41/42

最終話・奏視点:「隣にいる理由」


 玲さんは、

 相変わらず距離が近い。


 急に「かわいい」と言うし。


 急に触れるし。


 人前でも普通に手を繋ぐ。


 最初の頃は、

 その全部に慣れなかった。


 心臓がうるさくて。


 何を考えているのか分からなくて。


 振り回されてばかりだった。


 でも。


 気付けば、

 それが当たり前になっていた。


 ◇


「奏。」


 名前を呼ばれる。


 振り返ると、

 玲さんが笑っている。


 その顔を見るだけで、

 少し安心する自分がいた。


 仕事帰り。


 一緒に飲むコーヒー。


 並んで歩く夜道。


 何気ない会話。


 そういう小さな時間が、

 いつの間にか特別になっていた。


 ◇


 玲さんは、

 多分これからも変わらない。


 急に距離が近いし。


 さらっと恥ずかしいことを言うし。


 きっとこれから先も、

 その度に振り回される。


 でも。


 もう嫌じゃない。


 むしろ。


 そんな時間が、

 好きだと思う。


 ◇


 昔の自分は、

 恋愛にこんなふうに安心する日が来るなんて思っていなかった。


 誰かといることで、

 落ち着くことなんてないと思っていた。


 でも玲さんは違う。


 一緒にいると、

 ちゃんと息ができる。


 無理しなくていい。


 黙っていても苦しくない。


 そんな人だった。


 ◇


 玲さんが隣にいる。


 それだけで、

 世界が少し柔らかく見える。


 冬の帰り道も。


 春の夜風も。


 夏の花火も。


 秋の静かな公園も。


 全部。


 一人で見ていた時より、

 ずっと綺麗だった。


 ◇


「……奏?」


 考え込んでいたらしい。


 玲さんが少し不思議そうにこちらを見る。


「なんでもないです」


「ほんと?」


「はい。」


 そう答えると、

 玲さんは小さく笑った。


 それから自然に、

 手を繋ぐ。


 もう、

 前みたいに驚かない。


 その温度が、

 ちゃんと落ち着く。


 ◇


 玲さんの隣が、

 今の自分の居場所なんだと思う。


 たぶんこれから先も。


 何気ない日々の中で、

 何回でも。


 そう思う。

読んでいただきありがとうございます!

毎日12時に投稿予定です५✍⋆*

続きが気になったら評価やブックマークをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ