第6話【調査結果】
サイレントの調査開始から1週間が経ったある日、ルーシャが俺の部屋を尋ねてきた。
「ヴェル」
「おはよールーシャ」
「おはよう、サイレントの調査結果が出たよ」
「早いね、んでどーだった?」
「面白いよ」
「何がだよ」
「とりあえずこっち来て、みんなが待ってる」
俺はルーシャにつれられ食卓に向かった。
そこには父、母、執事長(BOSS)、の3人とひとり見知らぬ顔の男が立ってた。
てかなんだか懐かしい格好をしてる。
「お待たせしました、父様そちらの方は?」
「紹介しよう、サイレント幹部のワシュー・レンだ」
「紹介に預かりました、ワシュー・レンです。珍しい名前だと思いますが、私は東の島国の一族です。長く本陸とは鎖国状態にあるので私みたいな渡航人は珍しいのです。」
「東の島国ですか、地図で見たことあります。初めまして、ヴェルディン・レイバルトです。」
にしても東の島国に日本人みたいな名前の一族か。
なんか妙にできすぎてる気もするが…まぁいいか。
「自己紹介は終わりかな、それではレン調査結果をヴェルに教えてやってくれ」
「かしこまりました、それではヴェル様お聞きください。まず最初に疑われてた近衛騎士団団長アラン・リンドウですが結果は黒です。貴族撤廃派と繋がってるのは間違いないですが、今回不正工作を行ったのは別の人物です」
「別の人物……誰ですか?」
「マレリア・ルサバルディです」
「マレリア……あの小等部責任者と名乗ってた人か」
「はい、小等部責任者のマレリア・ルサバルディが今回の犯人です。サイレントが拘束し尋問したところ貴族撤廃派幹部からの指示で動いたと自白しました」
「その貴族撤廃派幹部がアラン?」
「可能性は高いかと」
やっぱりアラン・リンドウは貴族撤廃派か…。
近衛騎士団団長が黒だとすると近衛騎士団内部にも貴族撤廃派は潜んでると考えた方がいいな。
にしてもあの小等部責任者が俺をはめやがったのか。
あの時の白々しい演技がムカついてきたぜ。
「父様、今後の対策はどうしましょうか?」
「それなんだがもうヴェルがレイバルト家とバレてる以上身分を隠す必要がない。だがこのまま学院に通うのは危険だと判断した」
「レイサル国立学院には通うなと?」
「まぁ話を聞きなさい。教師としてルーシャは潜入して内部からヴェルの脅威になるものを排除、そしてヴェルには新しい護衛をつける」
「新しい護衛ですか」
「あぁ子供じゃない大人だがサイレントの秘術で見た目を6歳まで戻してる。昔からサイレントで教育されてきたエリートだから安心しなさい」
「サイレントの秘術ですか、6歳に戻るということは戦闘能力も落ちるのでは?」
「筋力は落ちるが魔力総量は落ちない。それに瞬時に大人に戻れる仕組みだからいざという時にも大丈夫だ」
「かしこまりました、その方はどちらに」
「入りなさい」
声を出した父の合図とともに食卓の扉が開く。
「失礼します。サイレント幹部のイロハ・ユーリです」
俺は思わず目を奪われた。
綺麗な長い黒髪、黒い瞳、綺麗な眉に色白な肌、大きな胸に細いくびれ。
こんなにも美しい大人の女性を見たのは初めてだ。
俺が目を奪われてたのを察したのか横からルーシャが……
「ヴェル?なに見惚れてるの?」
「ち、違うよルー……うううわぁ!!!」
ルーシャの顔が怖い!なんで!めっちゃ怒ってる……
俺なんかしちゃったのかな。
「こんにちはイロハ・ユーリさん、ヴェルディン・レイバルトです。学院ではお世話になります」
「こちらこそよろしくお願い致します。ですがひとつ訂正させていただくと学院内だけではございませんよ。日頃からヴェルディン様のお側で護衛いたします。」
すると間髪入れずにルーシャが……
「はぁー?ユーリの力を借りずとも私だけで十分なんですけど?」
「あらあらルーシャ・ラデンさんじゃありませんか、影が薄くて気づきませんでしたわ」
「あらそうなのー?サイレント幹部なのにー?同じサイレント幹部の私に気づかないほど目が悪いのかなー?」
「いえいえヴェルディン様の熱い眼差しが眩しくてつい…私のことを大切に見られてたので…」
「その黒い髪が珍しかっただけじゃないかなー?」
「あらそんなに美しくて?それにあなたには無いものね、この大きな胸が」
「私には無くていいんだよ!このデカパイババァ!」
「あんだとこれぃ!!!」
「やんのかこれぃ!!!」
「「「やめなさい!」」」
執事長(BOSS)の鋭い声で2人の口喧嘩は終わった。
と、同時にふたりは横並びで正座させられてた。
呆れた顔で見てたレンがため息をついた。
「お見苦しい姿をお見せしました。あの2人はサイレント幹部の中でも問題児なのです。」
「仲が悪いのでしょうか?」
「仲は悪くないと思いますが顔を合わせる度にマウントの取り合い、最後にはあーやってライ様がお止めになられるのです」
「で、これからはふたりが僕の護衛で行動を共にするわけだ」
「……そうなりますね」
「えぇ……えぇーーー……」
気づけば父も母も部屋を出てた。
もしかすると2人からすれば見慣れた光景だったのかもしれない。
にしても今後は俺の隣に白髪ショートでお人形さんみたいなボーイッシュメイドのルーシャと黒髪ロングでボンキュッボンスレンダーな女優顔負けの美人さんユーリがいるわけだ。
なんだこのハーレム展開……。
「と、とりあえずユーリ今後ともよろしく。ルーシャにも伝えてるけど僕は敬語とか苦手だからさ、気楽に話してくれると嬉しいな」
「気楽にですか?」
「うん!ルーシャは僕のことヴェルって呼んでくれてるよ」
「かしこまりました。ではヴェル、今後ともお願いしますね」
「それとふたりは仲良くね」
「それはしらがババァ次第です」
「デカパイババァ次第です」
うわぁ…すっごいいがみ合ってる。
これから大丈夫なのかよ……。




