表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/5

第二話 初めての出会い

山を下って何日が経ったのか。

東に歩いているが、未だ村はない。


「いやぁ、困ったな」


そんなことを呟きながら歩いていると、前方の静寂を破って、鋭い金属音と複数の足音が聞こえてきた。


シンは音のする方へと歩を進める。

木々が開けた先、すぐに大きな村に到着した。


「飯屋どこですか?」


知らない人には丁寧にと教えられた。道行く人に聞くと、すぐに場所を教えてくれた。

やっとまともな飯にありつける。浮き足立ちながら歩いていると、目的の店の前で、白い鎧に金の縁がついた騎士たちと出会う。


「おい、ここにタロスという大男が来ただろう? 隠してないで今すぐ出せ!!」


店主の胸ぐらを掴み上げているのは、騎士の隊長だった。

他の四名が、店内の机や椅子を乱暴に荒らしている。


シンは、ゆっくりと近付くと剣を抜いた。


その冷徹な殺気に気付き、隊長は店主を放り出して槍を構える。

相手の方が大きく、リーチも長い。


鋭い突きが放たれる。


しかしそれは、シンが嫌というほど経験してきたヒスイの突きとは程遠く、止まって見えた。


一瞬で間合いを詰める。

シンは、ただ剣を振り下ろした。


ガキィィィン、と硬質な音が響き、槍が中ほどから両断される。

勢いを失った隊長は、そのまま地面に尻餅をついた。


呆然と見上げる隊長の目に、シンの瞳が『辰砂の赤』へと変貌しているのが映る。

冷酷な、大地の底のような赤。

しかし、すぐに目はいつもの黒へと戻った。


「隊長!! よくも隊長を!!」


正気を取り戻した他の兵たちが一斉に突っ込んでくる。

シンは冷静だった。剣を構え直すまでもなく、足元に落ちていたゴツゴツした石ころを拾い上げる。


一閃。


放たれた石は、恐ろしい精度で鎧の隙間へと滑り込み、兵士たちはまともな悲鳴すら上げられずに仰向けに倒れた。


「化け物か……」


「退け!! 一旦引くぞ!!」


隊長が形相を変えて叫ぶと、兵達は這うようにして引いていった。


シンは剣をサヤに収め、店主に歩み寄る。


「大丈夫ですか?」


「はい……」


その時、大男がどこからともなく現れた。


「いや、凄い御仁だ。 見事としか言いようのない武だな。 しかしこの目は誤魔化せれんぞ。 ヒスイ様に武を習ったな」


「誰ですか?」


「あぁ、失敬。 俺の名はタロス。 ちょっとしたお尋ね者だ」


「そうか。 なら助けなければよかった」


「おいおい、なぜその様な……」


「お前が罪を犯し隠れていたから店主が被害に遭った。 お前が悪い」


「そうか……確かにそう言われたらそうだな。 よし店主、食い物と酒をくれ。 さぁ座ってくださいな」


「……」


「俺なりの店主への贖罪だ。 付き合ってくれよ、まだ名も聞いてない」


その時シンの腹の音が鳴った。


「お、腹は素直だな。 とって食ったりはしん」


そこへ店主がお酒とお茶を用意してくれた。


「彼は我々の為に罪を犯してくれたのです」


「え?」


「ここの村長は地方の役人でした。 しかし左遷になりこの村に来たのですが税の徴収が酷くて、それを助けてくれたのがこちらのタロスさんなんです」


「そうだったのか」


「まぁいいってことよ。 それにあいつは見下すのが好きそうだからな、高いところに磔にしてやった」


笑いながら酒を飲み店主が持ってきた肉をシンに渡す。


「食えよ、生きなければ意味ないだろ?」


シンはハッとした。


その言葉はヒスイもよく口にしていたのである。


肉を食い二人はすこし話をした。


そしてタロスが店に金を渡すと店を出る。


「泊まるところはどこにするんだ?」


「山の中で眠る」


「それはまずい、名前はなんだ?」


「シンもいう」


「シン、あんたは俺と同じお尋ね者になった。 いい場所知ってるぜ」


そういうと大股で歩きながらタロスは先導した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ