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第一話 旅立ち
「シン、お前そろそろ山を降りて世界にでなさい」
庵の前に広がっている畑の草むしりをしているシンに向かってヒスイは告げた。
「え? 突然どうして?」
「お前は下界ではもうすぐ成人になる。 まだ若い世界を見て仕事を探し、妻でも娶りなさい」
シンにはそんな考えはなかった。
ここで共に畑を耕し、武術を極める事が楽しかったからだ。
たまに近くの村から手に入る書物も読んでいる。
幸せだった。
「剣をやろう。 それと金だ」
有無を言わせずに次々と荷物を渡される。
川に行き体を洗うと新しい服に着替えた。
「よし、これで少しはマシになっただろう。 いいか世界は広い、シンには全てをとは言わないが出来るだけ贔屓なしに見て欲しい」
「……わかった。 じいちゃん、一人で大丈夫?」
「まだ俺は若いぞ、気をつけて行けよ」
シンは頷くと庵を後にした。




