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異世界転移で防御型弓使いを選ぶぜ  作者: シンノスケ一二三
第四章「分体集め」

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第四章「分体集め」2

次の日、マモルとセリアは帝都ブレインクリーンを旅立つ。


しかし、その前に鎧の購入を忘れてはいけない。


マモルはさらに防御を重ね、防御に寄せた戦闘スタイルを身に付けたかった。


魔鋭討伐の恩賞がまだ十分に残っているため、防具屋で1番良い<エタニティアーマー>を購入した。


エタニティアーマーは頭部以外を包み込む一般的な板金鎧の見た目だが、永久(エタニティ)と名が付くように劣化しない便利な鎧だ。


(これで俺も少しは冒険者らしくなっただろう)

マモルは自信を持って目的地に向かった。


2人は何もない荒野をひたすら歩いて行く。


ガニエフは南西の山の麓に小屋を建てて生活しているらしい。


しかし、マモルは昨日の夜から脚の魔鋭ランナーのことばかり考えていた。


(奴はなぜ俺達を追ってきたのだろう・・・)


ランナーは競技場にわざわざ飛び込んできた。


それに人を食うためならば、観客席に登った方が食える数は多い。


走るものを追う習性でもあるのだろうか?


(もう済んだこと。考えても意味はないが・・・)

マモルはランナーの行動が不自然に思えて仕方がなかった。


「あっ!」

急にセリアが声を上げた。


50メートルほど先に人喰い虎がいる。

大型だが、元の世界にも存在するサイズだろう。


「ほう・・・」

マモルは驚いた。


恐れているわけではない。

それほどにマモルは修羅場を経験してきている。


今の自分なら勝てると確信した。

素質というものはそれほど頼もしいチカラだった。


しかし、にじり寄る虎に対して先に動いたのはセリアだった。


いつのまにか剣を抜き、小型の盾も装備している。


(任せてみるのも良いかもしれない)

共にキリングハートを倒すのであれば、実力を知っておくのも大切だ。


だが、セリアの細い首が虎の顎の餌食になってしまうのではないかと、マモルは気が気ではなかった。


人喰い虎が焦れて突進してくる。


対してセリアは左手の盾を前に、剣の切先を下段やや後方に構えていた。


そして、飛びかかった虎の攻撃をまず盾で防いで、斬り上げによって虎の頭を両断した。


剣について素人のマモルの目から見ても、見事と言う他ない。

まさに剣士の素質だった。


「大したものだな」

突然、後ろにいた浴衣の老人が今の戦闘を観ていたらしく話しかけてきた。


老人とはいっても、かなり鍛えているらしく着物の上から見ても筋骨隆々なのがわかり、マモルよりも背丈がある。


「誰だ?」

マモルは聞いた。


しかし老人は答えない。

「良ければ俺のボディガードをしないか?魔物との戦いがひと段落したみたいだが、今度は各地でイレギュラーなどという連中が暴れだしているらしい」


(イレギュラー・・・!?)

マモルのことである。


どうやらマモルやブモンと同じように、魔王が面白半分で送り込んだ異世界転移者が複数存在しているらしい。


「我々は急いでいるので」

セリアは軽く頭を下げて遠慮した。


すると老人は急に真顔になって速足でマモルたちを通り過ぎ、先を歩いていった。


まるでお前たちと関わっている時間はないと言わんばかりの態度である。


「何なんだあいつは・・・」


「私たちも行きましょう」

セリアに促され、マモルも先へ進んだ。


しばらくすると崖を背にした小屋が見えた。


(あれのようだが)


小屋の前では木製のテーブルを挟んで2人が椅子に座っている。


近づいてみると赤色の服とチューリップハットを被った女性と、さっきの老人が何かを話していた。


老人の方は必死な態度で頭を何度も下げている。


「そこを何とか頼みます」


「私達にとって大切な物です。1つたりともお譲りすることはできません」

女性はきっぱりと断った。


「何か?」

真横で見ていたマモルとセリアに気がついた女性は首を傾げる。


「あんた、ガニエフさんか?」


「いいえ。ガニエフは死にました」

女性はさらりと答えた。


老人もマモル達の方を見て、すぐに姿勢を正し虚空を見つめしまった。


無視の体である。


「おい爺さん、すねんなよ」

あまりの態度にマモルは怒った。


「死んだとはどういうことだ?」

埒がないのでマモルも老人を無視して話を進めた。


「魔物に殺されました」


「そうか・・・」


分体を取り返そうとするキリングハートの部下に殺されたのだろう。


「貴方達も分体を譲れと言うんですね?」


(この爺さんもそう言ったのか)

マモルも譲ってもらうつもりだったが、先客が断られているため別の方向で話を進めることにした。


「いや、その分体自体が欲しいわけではない」


「貴方、教団の関係者じゃないですよね?」


(何を言っているこの女は・・・)

マモルには意味がわからない。


「教団とは今流行りの勇者信仰のことよ」

唖然としているマモルにセリアは耳打ちした。


勇者信仰。

今昔、勇者の人気は凄まじく、すでに神の域にまで達している。

界隈では勇者は死んでおらず、また死んでいたとしても必ず復活して世界を救ってくれるとその界隈で信じられていた。


「俺達は教団の者ではない。死の魔鋭を探している」


「なぜ?」


「倒すためだよ」


女性は唖然とした。

魔鋭とは昔、世界を恐怖のどん底に陥れた魔物のトップ2。

それの打倒を個人で行おうとしているのだ。


「奴を表の世界に引き摺り出す」

マモルは真面目に言った。

魔王が姿を消して落ち着いたと考えられている今、その行為は藪蛇にもほどがある。


しかし女性はその発言に勇者の片鱗を見た。


「とりあえず、中で話しましょう」

女性は立ち上がり、小屋に向かって手を広げた。


「このジジイはどうする?」


老人はこの場の人間を居ないものとして扱い、一点を見つめている。

それほど自分にとって無価値とでも言いたいのだろうか?


「放っておきましょう」

女性も呆れて小屋に入っていった。

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