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宇宙工場サブファイロット 07章 囚われの制作者4

「ISシリーズって、生活支援型ロボットだったのか。なんでI222みたいなミニシリーズじゃないんだ。」

 現れたロボットに、スペアが思わず声を上げた。

 この工場で生産されるミニロボットは、その多くがロボットらしい形をしているが、生活支援型ロボットは秘書などの特別な用途と需要のため、人間の女性をかたどったようなおかしなデザインをしている。

ヒールを履いたようなデザインのレッグを動かし、するすると進み出てきたIS354に対して、意外にもパドが鋭く口火を切った。

「何も隠さずに聞かれたことを答えろ。答えられない場合は、誰が答えないよう命令したのかそれを答えろ。分かったかロボット。」

「かしこまりました、パド。」

 ロボットは素直にうなずく。その優美な動きと微笑むような顔パーツの動きに、彼は思わず身震いして顔をしかめた。スペアが、白いすらりとしたロボットに尋ねた。


「IS354、俺は人工衛星の破壊を免れた建物について知りたい。R4は、自分では答えられないから、お前に尋ねるよう言っている。お前はこれに答えられるか? IS354。」

「はい、スペア様。私の所属は、管理センター・人工衛星管理部・特殊エリア班ですが、現在管理部には生存を確認できる人間がおりません。さらに管理センター、大統領府、そのどちらにも生存を確認できる人間がいないため、最高優先順位はスペア様にもあります。ご質問にお答えいたします。」

「じゃ聞くけど、人工衛星に残っている施設のうち、俺が特に聞きたいのは――、周りのエネルギーラインがみんなそこを通っている、先が尖った塔みたいな建物なんだ。塔の上の方には輪のようなものが二つ付いていて、恐らく空気や水、食料なんかがそこに運ばれている。塔の高さは25ミナン前後で、その前はちょっと広場みたいに開けている。これで分かるか?」

 IS354は、目のライトを点滅させたりはしなかった。瞼のようなパーツがつけられているので、それをぱちぱちと閉じたり開いたりしている。そして、すらすらとなめらかな発声で答えた。


「ご質問の建物は、人工衛星内、特殊エリアA1地区にあるプリズン・タワーのことと思われます。条件に該当する建物は、この1件のみです。」

「プリズン・タワー?」

「はい。ステーション裁判で特殊最高刑が決定した者を、収監しておくための施設です。」

 三人は目を丸くして、お互いの顔を見合わせた。ナットがすぐに問いただす。

「ステーション裁判の最高刑って、他のステーションへの追放のはずでしょ?」

 女性型のロボットは、再び微笑むような表情を作った。それを見たパドは再びぞっとした。話には聞いていたが、戦闘ロボット工場のこの宇宙ステーションで、こんな気持ちの悪い人型のロボットを見るとは夢にも思わなかったのだ。

「ナット様。お言葉ですが、最高刑は死刑です。特殊最高刑はその上になりまして、宇宙ステーションから離れた人工衛星に、永遠に監禁いたします。収監者が死亡した場合は、刑が終了いたしますが。」

 ロボットはにっこりと、親しげな笑顔のようなものを作った。パドは思わずロボットを睨みつけたが、相手はパドの表情に何の反応も示さない。


 スペアたちはというと、あまりの衝撃に、ただ呆然としていた。ナットは無意識にスペアの腕をつかみ、ボルトは髪をかき上げるのも忘れて、こぼれた髪の間からロボットを眺めている。スペアがようやく、かすれた声を出した。

「死刑だって――? それは、それは後で聞く。じゃあ聞くが、お前たちは――、お前たちといっても戦闘ロボットたちのことだが、人工衛星に俺たちの仲間が監禁されているのを知っていて、それでも衛星を破壊しようとしたっていうのか?」

「それはあり得ない。たとえ死刑の判決が出たとしても、ロボットがロボット制作者を傷つける事はない。」

 ボルトが素早くつぶやく。IS354はその小さな声を聞き取って、彼女の方に優美に首を傾けた。

「ボルト様。最高刑が確定しましたら、ご命令があれば、私どもはロボット制作者の体を破壊もいたします。ですが、そのような命令はありませんでした。私どもは人工衛星を破壊しなくてはいけないので、破壊しましたが、プリズン・タワー内の人間に被害が及ばないようその周囲、また、監禁者が生きていくのに必要なエネルギー・空気・水・食料など供給施設と、そのパイプラインもすべて攻撃対象から外しました。ですから、人工衛星のA1エリアは、すべて破壊を免れていると思いますが? スペア様。」

 よどみなく美しい声で答える白いロボットに、スペアたちはしばらく返事も出来ずにいた。



次回更新は10月下旬の予定です。

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