宇宙工場サブファイロット 06章 コモンプログラム2
「・・・そうだな。あいつは、ちょっとめずらしいよ。正直、誤作動が起こってロボット内であいつの声を聞いた時、やな奴と一緒になったなって思ったんだ。設計室の男かって。」
「ええー? じゃあ、僕のこともそう思ってた?」
ナットの真面目な声に、ボルトは体を起こし、長い髪をかき上げた。
「うーん、お前の事はそうは思わなかったな。第一、どこの幼年実習生かと思ったし。」
ふと失言に気づいて、あわてて髪を振り、
「いや、そう言う意味じゃないんだ。ごめん。だってほら、ロボット間の特殊通信だと人間の声はひどく割れて聞こえるだろ? ナットの声って、特に子供っぽく聞こえるから。」
「そうかなあ。僕の声、そんなに子供っぽい? そんな事一度も言われたことないけど。ボルトは耳が良すぎてきっと変に聞こえるんだよ。ねえパド、どう思う?」
二人のやり取りを微笑んで聞いていたパドは、口を尖らせて振り向いたナットに肩をすくめてみせた。ぽんと彼の頭に手を置くと、
「お前の言うとおりだよ、ナット。ボルトの耳がちょっと特別なんだろう。お前の声は別に子どもっぽくないぜ。」
とたんにナットは安心したように顔いっぱいに笑みを浮かべ、
「ほーら」
と、ボルトにあごを突き出してみせた。
「そんな顔しなくたっていいだろ。」
「だって、子供扱いするんだもの。」
ナットがぷうと頬を膨らす。パドは思わず吹き出してから、ふと、ロボットが誤作動を起こしたとき、三人は一緒にいたんじゃなかったのかと尋ねた。
「ううん。僕たちみんな、違うロボットの中にいたんだ。ロボットに『乗って』いたのとは違うよ。搭載型のコックピットに乗っていた仲間はみんな、捕まって宇宙船に詰められちゃったからね。」
「ややこしい事を言うな、もう少し分かるように説明してくれよ。」
そこで、ボルトが話を引き継いだ。搭載型とは、人間が搭乗して操縦するタイプのロボットで、むしろ数は少なくめずらしい。そのコックピットで取り付け作業をしていた仲間は引きずり出されたが、自分たちはロボット内部の奥深くにいたので、狂ったロボットに見つからずに済んだのだと説明した。そして、ふと、
「そういえばナット、お前はどうしてロボットの深層部にいたんだ?」
「僕? 僕は胸部パルスユニットの組み立てをやってて、その時電子スパナを落としちゃったんだ。パーツの間を下りて探してたら、組み立てが終わったと勘違いした誰かが、外から胸部パネルを閉めちゃったんだよ。そしたら騒ぎが外で起こり始めて。」
「ふーん、じゃ、ちょうどロボットが暴れ出した時だったんだな。でも、組み立て? あの夜はイエローフラッグスだったろ。」
「何だ、そのイエローフラッグスって。」
次回更新は7月下旬の予定です。




