宇宙工場サブファイロット 05章 探索機の去来3
「スペア、ボルト、パド。聞こえる?」
「ナット、どうした。まさかまたロボットの誤作動か?」
「違う違う。あのね、今モニタールームにいるんだけど。」
通信端末を片手にしゃべりながら、ナットは管制塔のモニタールームのキーを叩いた。彼の前に並んだ計器のひとつが、オレンジ色の警告表示を出している。
「モニタールームのレーダーがね・・・。あのね、中距離レーダーの修理は終わってたんだ。で、さっき動かしてみたらちょうど反応があったんだよ。位置は遠い。70万宇宙キロぐらいかな。端っこにぎりぎり映ってるだけだから。」
「宇宙船か?」
ボルトの声が端末から聞こえる。何とかレーダーに映った小さな影を鮮明にしようと苦心しながら、ナットはパネルを叩き続けた。
「まだ分からない。でも、隕石とかじゃないみたい。今、動きをトレースさせてる。」
「それはこっちに向かっているのか?」
ボルトの横から、パドが顔を寄せて端末に話しかけた。
「ううーんと、そうだね。まだ予想進路が出ないから何とも言えないけど、今のところこっちに向かって来てると思うよ。」
「仲間の船かな。ナット、曳航船はもう飛べるか?」スペアの声に、ナットは困ったように端末を見た。
「まだ修理は終わってないんだ。もうちょっとかかると思う。どうしよう、スペア、ボルト?」
ちょっと考え、パネルデスクを素早く一時ロックしながらスペアは答えた。
「とにかく一度みんな集まろう。ナットのいるモニタールームに集合だ。」
「了解。」
ナットが言うと、ボルトも続いた。スペアは端末をポケットにしまうと、パネルデスクからチップを抜き取ってバリケードを解き、小走りで管制塔へと向かった。
次回更新は6月5日昼12:00の予定です。




