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宇宙工場サブファイロット 05章 探索機の去来4

 管制塔は、発着場の上部に突き出して、金色のラインをうねうねと描くようにそびえており、モニタールームはその最上階にある。

 足音にナットが振り返ると、息を切らしたスペアが駆け込んで来るところだった。

 ナットはすぐに椅子をひとつずらして座り、スペアは礼を言いながら中央の椅子に座った。そして稲妻のようにパネルを叩きはじめた。まもなく彼は、相手が推進装置を持った船であること、数は一機でごく小型なこと、護衛船がないので運送業者ではなさそうだという事などを次々に突き止めた。しかし、何しろ通信プログラムがないので、相手と連絡を取り合うことが出来ない。


 奇妙なのは、相手はこちらにまっすぐ向かっては来ず、緩やかなカーブを描くような不可解な航路を取っている事だった。そして、遅れてパドとボルトが管制塔に到着した頃には、謎の移動物体はサブファイロットを離れ、レーダーの範囲から消えてしまっていた。


 そこでスペアたちは緊急にリーダー・ロボットたちを招集し、管制塔のデータを示して意見を求めた。中央会議室に並んだロボットたちの一致した意見は、対象物がサブファイロットの船かどうかは判断できない、という事だった。こちらのスキャナに対して妨害装置を動かした形跡があるが、それはこちらのスキャナタイプを知っているから可能なのであって、敵ならば知っているはずがない。が、味方なら妨害の必要はない。よって判断できないというのである。


 とはいえ、対象物は探索機と考えるのが妥当だろうとA3は答えた。不可解な航路がその証拠で、相手はステーションの防衛網ぎりぎりまで近づき、防衛システムの主砲であるマトリクスレーザー砲の射程距離限界で引き返している。レーザー砲の修理はまだ完了していないが、完了していたとしてもこの角度で侵入されると迎撃が難しい。アームを片方上げて、A3はさらに説明を続ける様子を見せたが、スペアが相手を遮り、思わず声を上げた。


「ちょっと待て、マトリクスレーザー砲と言ったのか? 戦艦に付けるようなあの巨大砲が、ここにあるって言ったのか。防衛システムだって?」

「その通りです、スペア様。」

「だけど、防衛だったら戦闘ロボットがいくらでもいるだろ。」

「確かに戦闘ロボットはおりますが、完成状態となりますと平均1500から1700体前後の戦闘ロボットしかおりません。サブファイロット防衛に専任している戦闘ロボットは、わずか459体です。」

「わずか? 459体もいて? そんなにいたら十分じゃない。」

 ナットが驚くと、A3はよどみなく答えた。

「ナット様、ロボットの数に十分という事はあり得ません。仮に、敵が1000体以上の編成だったと致します。そうなると、ステーションの安全を維持するのは極めて難しくなります。」

「1000体以上って、そんな編成あり得ないだろ。」

 思わずボルトも言うと、

「完全にあり得ます。ボルト様。一例として、小惑星スパイウットにはここからだけでも合計2751体の攻撃ロボットが納入済みで、惑星ゴルゴンは2743体、ノースポール宇宙基地が2561体です。1000体以上のロボットを配備している国家・地域は、宇宙全体の2.18%以上と予測されます。」


 この答えにスペアたちは唖然として、言葉もなく赤い巨大なロボットを見上げていた。三人から離れて壁際に立ち、ロボットたちを鋭い目で睨んでいたパドが、低くつぶやく。

「俺のステーションを攻撃したのも1000体以上いただろうよ。一応、俺のステーションにだって防衛用のロボットはいたんだからな。正確な数は知らないが。」

 ボルトははっとパドを振り返った。そして、ずらりと目の前に並んだロボットから、納品記録などを管理するロボット、大統領府付きの特殊な秘書ロボットを目で探した。巨大なリーダー・ロボットに混じって、人間より一回り小さい、小柄なサイズのロボットの姿が列の一番奥の方に見える。ボルトはそれに向かって呼びかけた。



次回更新は6月下旬の予定です。

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