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10話



 きっかけは些細なことだったのだろう。

 でも、相手への不満とか、環境からの不満とか、目に見えないストレスが溜まって二人の仲をこじらせて爆発してしまったのだ。

 なんとかしてあげたいけど、私が空回りしてなんとかなるようなものじゃないように思えた。

 それに、二人の間に土足で踏み入ることはできない、不可侵の強固な壁をずっと感じていた。

 外側でもがいても、何も解決しない。

 それに二人の問題だ。

 二人の間で生じた諍いに、第三者が割り込んでいいものではない。

 でも、この状況は耐えられない。

 どうすれば、いいんだろう。



 授業中で生徒の楽しげな声の聞こえない、静かな校舎裏でメグルは一人膝を抱えて座っていた。

 思い切ってというより、気付けば昼休みが終わり授業が始まってしまっていた。

 多分、人生二度目のサボりだ。

 いけないことをしているというのに、でも、気分は暗く沈んだまま。

 そんなメグルの背中をぽんと叩いたのは、


 「やっほ。サボりっすか」

 「――リサ」


 友人が、いつもと変わらない調子でニヒヒと笑う。

 構う気にはなれなかったのでぷいと顔を正面に戻す。

 と、首筋に冷たいものを当てられて思わず声を上げる。

 ふたたびリサを見ると、彼女は紙パックのジュースを差し出してきた。

 校内の自販機で買ってきたのだろう、よく冷えている。


 「ん。あげる」

 「……ありあと」


 ストローを刺して吸い上げ、口の中の甘さでようやく自分がいちご牛乳を飲んでいることに気づいた。 

 リサはメグルの隣に座った。スカートを直にコンクリに付けるのに特にためらう様子はないのが、彼女らしい。

 特に会話を振られることも無く、しばらく無言のまま二人ジュースを飲む。

 ジュコッ、と吸い上げ終わった音が紙パックからふいに聞こえて、メグルは小さく微笑んだ。


 「……シンタロウとイザナギさんが喧嘩した」

 「原因は?」

 「……分かんない」


 思い返してみたが、なにも分からないまま。

 ふるふると頭を振って、やりきれない気持ちを振り払おうとする。

 物凄く激しい殴り合いや言い合いがあったわけじゃない。

 ただ、気付けば二人の間が物凄く離れていて、物凄くピリピリした空気だけが溢れていた。

 両親はなにも言わない。二人がやってきたときもずっとそんな調子だった。

 きっと今度もなにもしないんだろう。いつもは茶々を入れてくるクセに。


 「…………私もうどうしたらいいか、分かんなくて」

 

 口に出して言えば、一緒に涙もポロポロと溢れてきた。

 家の中がいつもより暗くて、怖い。

 誰かが倒れたりいなくなったりしていないし、いつもどおり家族揃っているのに……息苦しい。

 

 「そっかそっか」

 

 リサがお座なりな口調とは間逆の手付きでメグルの頭を優しくなでた。

 頭を撫でられていると、気持ちが落ち着く。

 重かった頭が少しづつ軽くなっていく。

 

 「そんで? メグルはどうしたいワケ?」

 「二人を仲直りさせたい」

 「大変で損な役回りじゃんね〜」

 「うん……正直二人で解決するならそれでいいとは思う。でも、私がなんとかしたい

 ――首を突っ込みたい」


 ちょっと前までは別の世界にいて、関わることもなかった二人。

 正直シンタロウすら別の世界からやって来た他人であると思ってしまう時がある。

 それ程シンタロウもイザナギも遠い存在だった。

 二人の間に割って入れば煙たがられるかもしれない。

 余計なことをするなと拒絶されるかもしれない。

 ――でも。

 けれでもメグルにとって二人は、もう放っておけないほど近い存在になっていた。

 知らぬ顔で、関係ないと割り切れるほど他人じゃない。


 「――そっか」


 自覚してしまえば簡単なことだった。

 

 「家族が喧嘩してるなら、首を突っ込んでもいいんだ……」


 うるさいと言われても。

 放っておいてと言われても。

 

 「家族なんだもん、二人は」


 頭がスッキリしたら自然と目標が定まる。

 もう迷いはないし、あとは真っ直ぐ進むだけだ。

 不甲斐ない両親に変わって、私がぶつかってでも二人を仲直りさせる。


 「あっはっは。エンジン入った感じじゃん」

 「……ありがと、リサ」


 ポンポンと背中を優しく叩かれる。

 何から何までリサにはお見通しらしい。

 正直、リサのほうがシンタロウより年上なんじゃ、と思えてしまう。


 「んじゃ、これからどうする?」

 「取り敢えず、イザナギさんに電話して……どうしたら仲直りしてくれるか聞き出してみる」


 いつものテレビ電話にしようかと考えたけれど、それじゃダメだ。

 面と向かって話さないといけない。

 メグルの決意を感じ取ったのか、リサは立ち上がってスカートの汚れを払う。 


 「オッケー。ほんじゃもう学校、抜け出しますか」

 「あはは、リサ、アンタ不良じゃん」

 「主犯格はメグルなんだよねえ」

 「唆された方だし、私は」

 「やートゲっちい」


 

 ちょっと早い帰宅だが、弟が学校から、父がパートから帰ってくるまでまだまだ時間はある。

 話し合いになるのか説得になるのか分からないが、ともかく時間はかかるだろう。

 帰ってくる前に済ませたい。


 「なりゆきで付いてきちゃったけど。やっぱアタシは帰ろうか?」

 「ん……まあ私一人だと自信ないし」

 「そうかな~むしろアタシがいた方が話しづらくなっちゃいそうだけど」


 言われてみれば確かに、家族以外が同席してると気まずいかもしれない。

 決心したとはいえ、心細いというのもまた事実で。

 メグルの葛藤を見越したリサは、しょうがないと苦笑した。


 「わかった。んじゃあ表で待ってるから。終わったら呼んで」

 「いいの?」

 「一つ貸しね」

 「……ありがと」



 自宅に帰り着き、玄関外にリサを残して。

 メグルは息を一つ吐くと鍵を開けて入った。


 「――お義姉様?」

 「ただいま、イザナギさん」


 いつもより数時間(昼すぎ)早い帰宅に驚いた様子のイザナギが出迎えてくれた。

 帰宅すると、彼女はこうしてパタパタとスリッパを鳴らしてすぐに出迎えてくれる。

 メグルにとって、もう日常となった風景だ。

 

 「今日はちょっと早く学校が終わったから」

 「そうなんですの? 今朝はそんなこと言ってなかったから驚きましたわ」

 「まあその……突然決めたことだし」

 「??」


 誤魔化し笑いながら、メグルはイザナギに近づいた。

 手を取って、真っ直ぐに見つめる。


 「あのさ、イザナギさん――私、イザナギさんと話したくて学校抜け出してきたの」

 「どうして……」

 「ワケ、ホントは分かってるでしょ」

 「お義姉様、それは――」

 「ごめん、イザナギさん。もう首を突っ込むことにしたから」


 そのまま彼女の手を引いたまま、メグルの部屋へ。

 イザナギは抵抗する気は無いようで、大人しく引かれるがままだった。

 ベッドに座らせて、メグルも隣に座る。なんとなく、手は離せず。

 メグルは、すかさず口火を切った。

 

 「イザナギさん。私、私は二人に仲直りしてほしい」

 「お義姉様……」

 「友達としても、二人がいがみ合ってるのは見たくないし。

 ――ううん、違う」

 

 きっとここで黙ってしまえば、もう何も言えなくなってしまうような気がして。

  

 「――気づいてないかもしれないけど、今家の中、すっごく暗いんだよ」

 「それは、その……ごめんなさい……」

 「あ、謝らないで。別に責めてるわけじゃなくて。その……」

 「?」


 脳みその中、気持ちを相手に直接ぶつけられたらどんなに便利だろうと思う。

 もしかしたら、彼女のいた世界では出来たかもしれない。理力だかなんだかで。


 「――その、さ。イザナギさんが来る前の家の様子って、お母さんとお父さんがこっち弄ってきて、私とシンタロウはまあそこまで仲良くはなかったけどいがみ合ってなくて……確かに今とあんまり変わらなかったけど、でも、でもさ。

 もう私にとって――ううん家族にとってはずっと前の日常なの」

 

 でも、この世界では出来ないから。

 口と目と耳と表情と手のひらから伝わるすべてを。


 「……イザナギさんがいる今が、今がこの家の日常なの。

 でもそれは。それが普通になれたのは。

 シンタロウが帰ってきて、何かおかしくなりかけた家族を救ってくれたのは、イザナギさん、貴方のおかげなんだよ」


 すべてを相手にぶつけて気持ちを理解させる。

 理解してもらうしかない。 


 「少し図々しくて騒がしくて――でも、いつも笑顔で楽しそうなイザナギさんが居てくれたから。

 私は貴方のお蔭でシンタロウと向き合えた。家族がまた賑やかな普通になれた。

 みんなみんな、イザナギさんのおかげ、イザナギさんが来てくれたから。

 イザナギさんが笑って、楽しそうにしてて、そうじゃなきゃ調子くるっちゃうくらい、暗くなっちゃうくらいなんだよ。そうなっちゃったんだよ

 貴方がいない普通なんて、もう分かんない。

 いない前は思い出せても、想像なんてできないくらい。

 貴方は、私にとって大切な、大切な……」

 

 届いてほしい。

 私は全部ぶつけるから。


 「――大切な家族、だから」


 素直になるのは恥ずかしいけれど。

 メグルは必死に想いを、不器用ながら、真っ直ぐに、ただ伝える。


 「家族だから、私はイザナギさんに言うよ。

 シンタロウと、仲直りして」


 言い切った。

 多分、言いたいことは言えたはずだ。

 メグルは暑くなって汗が噴き出しているのに気付いて、慌てて目元をぬぐう。

 

 「あれ?」


 汗じゃなく、涙だった。

 途中から泣きだして、泣きながら喋っていたらしい。

 恥ずかしくて、顔が熱くなって、なんだか居ても立っても居られない。走り出したい気分になった。さわやかとは程遠い、逃げ出したいといった気持ちの方が強いが。


 「――お義姉様!!」

 「わ、わわっ!?」


 飛びかかるように抱きついてきたイザナギを受け止めきれず、メグルはベッドに押し倒された。

 二人折り重なった分だけコイルが沈む。

 少し室温が高くなって、下の掛布団がやけに熱い。

 強く抱きしめたまま離れないイザナギと、密着した部分が熱い。


 「お義姉様、お義姉様……ごめんなさい。私のせいで悩ませてしまって」

 「あ、謝らないでってば」

 「でも、私たち夫婦のせいで。分かっていたんです、ご家族に負担をかけてしまっていることは。でも、もうどうすればいいか私にも分からなくて」


 彼女の声が震えていた。

 イザナギもまた、メグルと同じように泣いている。

 二人、悲しいからとか切羽詰まっているからとか昂っているとか、いろんな感情が混ざり合って泣いていた。


 「シン様とお話ししたかった。けどそうしたい気持ちと許せない気持ちで混乱して。声が出なかった。そうこうしていたらどんどん向き合えなくなって、それで、それで……」

 「分かってる。分かってるから」

 「怖かったんです、向き合うのが。ただ謝れば済むだなんて思えなくて。私の方から謝るのも間違いだと思って。そのうち、些細なことだったのに、手に負えないくらい大きく転がっていって……きっと背中を押してほしかったんだって、今分かりました。私は、私は意気地なしです」

 「そんなことないよ」

 「ありがとうございます、お義姉様……」


 義妹が落ち着くまで、頭を撫でてやる。

 そうすることで気持ちが楽になると、つい先ほど実感したばかりだ。

 しばらくそのままの時間が過ぎる。

 イザナギが泣き止むまで、メグルは静かに頭を撫でた。

 まるで妹ができたみたいだ。

 涙が引っ込んだメグルは小さく笑った。


 「――落ち着いた?」

 「はい、ごめんなさいお義姉様」

 「ごめん、は無し」

 「え――はい、ありがとうございます?」

 「うん、それでいい」

 「ふふっ。はいお義姉様」


 二人が喧嘩して数日だろうか。

 その程度なのに、久しぶりに彼女の笑顔を見た気がして、メグルは安堵する。

 イザナギには笑顔で居て欲しい。それだけで場が明るくなる。楽しくなる。それに、

 

 「やっぱり、笑顔が一番似合う」

 「そんな、お義姉様ったら」

 「……あ、声出てた?」

 「はい。しっかりと聞きましたわ」


 ちょっと恥ずかしい。

 けど、今はその恥ずかしさが心地よかった。

 腕の中のイザナギと一緒にクスクスと笑い合う。

 もう大丈夫だろう。メグルはそう思えた。

 そろそろ待ちくたびれてそうな友人を招いてあげようか。


 「実はさ、表にリサが待ってるんだけど。落ち着いたようだし家に入れてもいいかな?」

 「リサさんが?」

 「私一人じゃイザナギさんに――」

 

 ぶつかれなかった、と続けようとしたメグルの唇に、イザナギが指を押し当てて留めた。

 鼻先が触れるほどの至近距離に、彼女の顔が迫る。

 なぜだか心臓が高鳴った。

 彼女の潤んだ瞳が熱を帯びて、メグルは目が離せなくなる。


 「お義姉様。二人きり(・・・・)の時は、どうか私のことはナギとお呼びください」

 「へ? きゅ、急にどうしたのイザナギさ「ナギ、とお呼び下さい。お義姉様」

 

 急なことで目を白黒させるメグルに向かって、イザナギはいたずらっ子のような、それでいてこちらを誘うような笑みを浮かべた。

 いつもとは違うその大人びた微笑みに、メグルはなぜだかドギマギする。


 「えと、ナギ……」「はい、お義姉様」

 

 むず痒い。

 リサを名前で読んだ時以上に恥ずかしいのは何故だろう。

 と言うかシンタロウすら呼んでいない名前で呼ぶのはどうなんだ。大丈夫なのか。

 メグルの悶々など気にしていない様な顔で、イザナギは真っ直ぐ見つめてくる。

 彼女の爛々とした瞳が、もっと名前を呼べと熱っぽく訴えかけてきた。


 「……ナギ」

 「はい」

 「ナギ」

 「はい、お義姉様♡」


 限界なので、リサに助けてもらおう。

 これ以上続けていたらおかしくなる。


 「ナギ、リサを呼んでもいい?」

 「どうぞ」

 「はい……」


 前言撤回。

 妹とは少し違うらしい。



 「無事攻略おめでと~メグル」

 「攻略?」


 軽い拍手と共にリサがいつもの調子で家に上がる。

 軽薄そうで別に軽いわけではないが、あまり真面目な雰囲気を見たことがないのも確かだった。

 

 「……イザナギちゃんも、いいお義姉さんと出会えてよかったね」

 「はい♡ 私は果報者です」

 「あっはっは」


 困惑するメグルをよそに二人はリビングへ向かう。

 泣きはらして目元が赤いのを気にした様子ものなく、イザナギはお茶とお菓子をテキパキと動いてリサに出す。

 完全に本調子に戻った彼女を見て、メグルはようやく安堵のため息を吐いた。


 「取り敢えず、ふたりともお疲れ」

 「こちらこそ、ありがとう。リサ」

 「私はお二人にありがとう、ですわ」

 「……お酒があったらここで乾杯してるねこれ~」


 リサの一言にクスリと笑う。

 取り敢えず3人、お茶の入ったコップで乾杯する。

 

 「んで? シンタロウ君とどうやって仲直りする?」

 「うーん、イザナギさんだけが悪いわけじゃないから、アイツにも折れてもらわないと」


 大人ぶっているが妙な部分でプライドが高い気障なシンタロウのことだ、そう簡単ではないような気がしていた。

 どうしたものかとイザナギの方に目線を向けると、意外にも彼女は落ち着き払っていた。微笑まで浮かべている。


 「私が頭を下げて済むならいくらでも下げますわ。でもそうじゃない……私もお義姉様に倣って全力でぶつかろうと思いますの」

 「頼もしいじゃん。だってさオネエサマ?」

 「からかわないでってば――ありがと、イザナギさん」


 メグルは喜べばいいのか恥ずかしがればいいのか複雑な気分を飲み干すようにお茶を飲んだ。

 冷たいお茶が喉を通った時、ふと思いついた。

 このまま終わりじゃもったいない。 


 「――でも、ただ謝って終わりじゃ面白くないし」

 「どういうことですの?」

 「二人には当分喧嘩しませんって、約束してもらうから」

 「それは……」


 迷惑をかけて怒られると思ったのだろう、シュンと項垂れるイザナギ。

 そんな気はないと先ほど伝えたはずだが……口調が強かっただろうか。

 リサの前で宣言するのは恥ずかしいが、怒っているわけではないとメグルは伝えたかった。


 「……家族を心配させたバツ、だからね」

 

 でも、やっぱり恥ずかしいのでそっぽを向く。

 視界の端でニヤニヤしているリサが見えて、メグルは顔が熱くなった。

 

 「お義姉様……分かりました。私、甘んじて罰を受けますわ」

 

 泣きそうな、震える声が聞こえて慌ててイザナギを見る。

 やっぱり強く言い過ぎたのか。

 イザナギは安らかな笑顔でメグルを見つめ返してきた。

 メグルはホッと胸をなでおろす。キチンと思いは伝わったみたいだ。


 「いやぁ~アタシそのバツをもっと面白くする案思いついちゃった」


 ニヒヒとなんとも楽しそうな笑みを浮かべているリサ。

 嫌な予感とはこういうものだろうか。

 いや、決して悪いようにはされないだろうとは信頼しているけれども。


 「結婚式で改めて誓い合うのはどう?」

 「まあ――!」


 手を合わせて、感嘆の声を上げるイザナギ。

 完全に想像の埒外、予想外の提案でメグルはあっけにとられた。

 結婚式ってそんな大げさな。


 「イザナギちゃん夫婦はこっちの世界じゃ結婚式挙げてないでしょ? だからさ、こっちでもやっちゃえばいーのよ。イザナギちゃんも名実ともに家族になれるし」

 「え、でも式場とか……」

 「そんな硬いのは二人がまた大人になった時自力で上げればいいじゃん。今回はあくまで婚前式? 身内だけで、この家でやれないいじゃんね」

 「なるほど……?」


 小さなホームパーティーを想像して、メグルは納得した。

 それなら負担もないし大げさにするほどでもない。

 重くるしい宣誓より、ロマンチックな方がいいに決まっている。


 「私、やりたいです! 結婚式やりたいですわ!」

 「うん、いいじゃん。リサ、ナイスアイディア」

 「アイディア料は式の参加権でいいよ~」

 「もちろんお呼びしますわ!」

 「ありがと~イザナギちゃん。よし、アタシがこっちの世界のやり方教えてあげる」


 楽しそうに話す二人を見ながら、メグルは一口お茶を飲む。

 なんとかなった。説得できたんだと一安心した。

 同時に、これからすごく楽しみな予定が出来たとワクワクする。

 残る意地っ張りの弟をどう説得するか考えようと思ったが、面倒になったのでやめた。

 今は、素直に喜ぼう。

 もう一口飲んで、メグルは二人の会話に加わった。


 シンタロウが帰ってきたら解決すればいい、そう頭の隅で考えながら。

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