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17.シュレー村

そろそろ新章を始めたいこの頃。まだやで!

私は今、この人間を保護しながら山道を下っている。話せば長くなるのであとにするとして、私達を付け狙うかのようにゾンビ達が押し寄せてきている。その数は10~15体程。あまりこの人間から距離は離せない。魔法、ハイダークの爆発で3.4体纏めて吹き飛ばしている。吹き飛ばしているはずなのだが、いつもの経験値リザルトは流れてこない。倒しきれていなくても仕方がない。もしくは経験値がいっさいがっさい割り振られてないモンスター扱いなのか。人間倒しても経験値貰えなさそうだし、その人間がモンスター化したところで経験値が貰えなくても不平は……あるが。


そして暫くゾンビ達を吹き飛ばしながら逃げていると、木製の扉に差し掛かった。扉というより、強固なつくりの門と言った方が近い表現かもしれないが。その門は開いている。私達は飛び込むようにその門へ逃げ込んだ。


「閉めろ!閉めるんだ!」


人間に呼び掛けられ私は片側から門戸を引き、もう片側と合わせるようにして門を閉じる。そして木の板を戸に立て掛けて固定した。ひとまずは安心か。私はその場にへたりこむ。


「はぁ……はぁ……」

「ぜぇ……ぜぇ……」


人間は逃げるので精一杯らしかった。私も前世の数倍の身体能力が身に付いたが、上位魔法を放ち続けながら人間にペースをあわせて逃げていたのだ。疲れるのも当然。


「恩にきる……魔族の者よ……」

「……気にしないで。はぁ……」


魔力はほとんどすっからかんだろう。見るまでもない。周りの村人たちが騒然としている姿を見たのを最後に、意識がなくなった。



≧≦


「……うっ。うぅん。」


目を覚ますとベッドで横たわっていた。額には氷水が入った袋が置かれている。冷たいよー……。とりあえず体を起こし、辺りを確認する。薬庫かなにかだろうか?ガラス瓶がいくつも立て掛けてあり、そのなかには紫だったり緑だったりの液体が入っている。まさか魔女に売り飛ばされたんですかねぇ……もしそうだったら死霊傀儡(ネクロマンシー)極めて村に復讐してや……


ガラン。


誰か来たようだ。その子は年齢15に満たないような背の低い女の子だった。群青色の暗い艶やかな長髪にサファイアのように澄んだ青い瞳。目付きはほんわかとしていて、儚さを感じさせる。服装は軽やかな印象を持つワンピースに近いものだ。こんな娘がこの妖しい薬庫にいるのかは謎である。


「えっと……お身体は大丈夫ですか?」

「……あっ……うん。」


……


……


……


「えっと……魔族さんはこの辺りを旅されてたのですか?そして今回の騒動に……」


まぁそんな感じだ。口に出すとまた口ごもってしまうためここは頷くことにする。完全に放浪の旅だけどね。


「今回の騒動の原因なのですが……そろそろ日が沈みますね。アイツが来ます。私もそろそろ番が回ってくる頃です……」


……どういうことだ。アイツってなんだ。騒動らしい騒動はゾンビが追ってきたことくらいだぞ。詳しく話を聞くことにしよう。



≧≦


……どうやら先程のゾンビ達はあるアンデットモンスターによって召喚されているものらしい。そしてその根元は、


「恐らく、スパルトイキング・ドゥレムだと思います。」


……初めて聞く名前だな。名前からしてスパルトイの進化系であることは明白だが。姿は見ていないけど、解説を頼めるか?


スパルトイキング・ドゥレム(ランクC)

死屍累々を束ねるアンデットの王。通常のスパルトイやゾンビの倍以上の物質量を持ち、その巨体に似合う大剣を握りしめ襲い狂う。


死屍累々を束ねる……か。それにしてはランクが低い気もするが、ゾンビがEランクでスパルトイがDランクならあり得なくない話か。少し嫌な予感はするものの、スパルトイキング・ドゥレムが関わってきてるのも間違いはないはずだ。この心配が杞憂に終わってくれるなら、それほどありがたいことはない。


「突然私たちの村、シュレー村に入り込んでは小さい子供を拐ったり、抵抗する親に噛みつき殺したり。何が原因なのか、どうしてこうなったのかわからないんです……」


……ここはシュレー村というのか。にしてもアンデットにしてはやることが姑息な気もするけど……気にしたら負けだ。私は立ち上がって右腕を見せつけるように前へ出す。


「戦ってくれるんですね。ありがとうございます。私はマリン・シューラという者です。先程の貴女が助けてくれたのは私の父親、グラン・シューラです。父親は山奥の私有地にある作物をたまに取ってきては私の魔法の研究にと渡してくれるんです。」


さっきの男がこの娘の父親か。これは偶然か、父親を助けたのだから必然なのか。するとマリンがこちらを見て微笑む。


「それじゃあ、シュレー村を案内しますね。」


マリンはそう言うと、扉を開け飛び出して行ってしまった。これはついていくべきだとわかるので、マリンを見失わないように小走りで後を追う。


≧≦


シュレー村には鉄が普及しておらず、見る住居全て木造で出来ている。農具はちゃんとした鉄製のものだが、これは数年前に王国にバッサリ契約を切られてしまったらしく、鉄が手に入らなくなったとか。


「今回の戦いでは皆さん鉄製の武器で臨むそうです!私も回復役(ヒーラー)として全力を尽くします!」


マリンは目を輝かせてそういった。まるで自分達に確実たる勝算があるようだ……その源については触れないでおこう。と目をそらすと、マリンに肩をぽんと叩かれた。


「よろしくお願いいたします!魔族さん!」


……はぁ。やっぱり逃れられないかー。元人間だったし同族である人間が死ぬのを見過ごすのはなんかいけない気がするんだよな全く。恐らく今夜開戦らしい。


今日は死ぬかもしんねぇな。


次回、開戦。(。・ω・。)感想等々待っております!

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