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氷魔法師、氷浦真の日常  作者:
氷浦真
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特別な日

 桜子に言われて仕方なく自分の部屋の後片付けをしていると、外はあっという

 間に夜になっていた。


 「まぁ、こんなもんかな」

 とりあえず日常で頻繁に使う物は机の引き出しの中や、すぐに出せるように

 しまっておいて、それ以外は箱に入れたまま押し入れに放り込んだ。


 「真さん、夕飯の支度が出来ましたよ」とそこへ桜子に呼ばれて

 「わかった。今行く」と返事をした後、電気を消して部屋を出た。


 この間は母親と桜子の三人だけだったが、今日は父親も一緒に食べるらしい。


 「真、こっちに座りなさい」

 

 父親が隣の席を指定した。そこは桜子がいつも座っていた席で僕は一瞬

 躊躇った。だが、隣にいた桜子に背中を押されて「真さん、座ってください」

 と言われたので、僕はその席に腰を下ろして桜子が隣の席に座った。

 

 なんか近すぎて緊張する。

 斜め左には父親、そして正面は母親がいるので余計にそう感じてしまう。

 

 夕飯を食べ終えた後、なぜかケーキが出てきた。

 「今日、誰かの誕生日なの?」と桜子に聞くとなぜかくすくすと笑われた。

 それを見て、どうして笑われているのかがよく分からなかった。


 「これは真さんのためのケーキなんですよ」

 「えっ?」

 

 僕の誕生日はまだまだ先なんだけど…なんで僕のためのケーキ?

 そう考えていると、父親が僕にこう言った。


 「今日は真が僕達の家族になった特別な日だからね。私が用意したんだよ」

 「そんな。別にいいのに…」

 「真。この人は一度こうと決めたら聞かないから、あきらめなさい」

 「真さん、意地張らないで食べましょう。すごく美味しそうですよ」

 「いや。別に意地なんて張ってないよ」


  ただ、こんなことされると…なんか。

 「とりあえず食べよう。切ってあるから各自で取りなさい」と父親に言われ

 て取ろうとしたら、「真、ケーキ取ってあげよう」と言われたので「あっ、

 ありがとうございます」と立ち上がったがすぐに椅子へと腰かけた。


 桜子と母親は自分でケーキを取って用意した小皿に乗せてすぐさま口の中

 へと入れる。


 「美味しいです」

 「本当。あなた、ケーキ屋さんできるんじゃないですか?」

 「いやいや。そんな」

 

 夫婦が楽しげな会話を聞いて僕はケーキをじっと見る。

 「これ、お父様が作ったんですよ。しかも今日に」

 「えっ?!」

 

 これを…今日、作った?

 僕は驚いた。お菓子の中でもケーキというのは作るのに時間がかかる。

 作り置きならまだ分からなくもないけど、今日作ったっていったいどうやって

 ?


 「真。早く食べないと桜子が食べてしまうよ?」

 「真さん、召し上がらないのでしたらそのケーキ私に…「あげないよ」

 

 僕は桜子にとられる前に、まだ手を付けてないケーキをパクッと食べた。

 

 「どうですか?お味の方は?」と桜子が聞く。

 「…美味しい」

 

 「ですよね!お父様、またケーキ作ってくださいね」

 「いいよ。桜子の誕生日は予定空けておくね」


 えっ?そこまでする?

 僕は二人の会話を聞いてまたしても驚いた。

 前々から思っていたけど…

 

 「今年は真が加わるから、真の誕生日の日も空けておかないとね」

 「いや、僕は…」

 「真。仕事以外でのこの人の楽しみは、家族と過ごすことが唯一の楽しみな

 んです。だから好きにさせてあげてなさい」

 

 そう言われてもな…。

 

 「そういえば、真さんの誕生日っていつなんですか?」

 「…6月6日」

 「あら、それじゃあ私の方がお姉ちゃんですね。私、4月1日なんです」

 「学年は一緒なんだから別に変わりないでしょ?」

 「そんなことはありませんよ?戸籍では私の方が早いんですからお姉ちゃん

 です」

 「桜子はお姉ちゃんというより妹の方があってると思うけど」

 「そんなことありませんよ。私だってお姉ちゃん要素ありますよ!」

 「へぇ~例えばどんなところがお姉ちゃんなの?」

 「真さんの暴走を止めるとか」

 「それのどこがお姉ちゃん要素なの?っていうか、暴走してるのって大抵

 桜子の方じゃん。好奇心旺盛だし」

 「私、暴走なんてしてませんよ!」


 「はいはい、そこまで。ケーキも食べたことですし、お風呂入って寝なさい」

 と母親はそう言って部屋を出て行って、すぐに父親も席を立った。

 

 「真さん、お風呂行きましょうか?」

 「一緒には入らないからね」

 「えぇ?!入りましょうよ」

 「断る」

 

 

 だが、その後。二人で銭湯に行くと、父親と母親が待っており

 結局四人(タオル着用)で入ることになってしまったのであった。

 

 

 

 


 

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