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氷魔法師、氷浦真の日常  作者:
春日野氷麗
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まさかの勧誘


 田原先輩達がお昼の買い出しから戻って来たところで、僕は田原先輩に声を掛ける。


 「田原先輩、ちょっといいですか?」

 「うん。なになに?」

 「話があるんですけど」

 「えっ。雪村君、まさか田原さんにこ…「あぁ~影富先輩」

  

  ガシッ!(影富先輩の左頬を右手でつまむ)

  多分冗談のつもりで言ったんだと思うけど、他の人間(特に桜子や枯野)が本気に捉えてしまう

  かもしれないので、影富先輩が言い終える前に右手で阻止。


 「ひゃあっっ!??」

 「変な声出さないでください」

  確か、前にもこんなことがあったな。と思いながらも、僕は影富先輩の体温を少しばかり奪う。

 「ひたいっ…つめたぃ…」

 

 影富先輩が涙目で僕に『やめて』と訴えている。これが演技なのか、それとも本物なのかは分からな

 い。だが、周りのことも考えて僕は影富先輩の頬から手を離した。


 「はい。じゃあ、お昼にしよっか」

 僕が手を離したタイミングで田原先輩がそう言って、皆に買ってきたサンドイッチやらおにぎりなど

 を順番に渡して行く。昼食を取る場所はもうすでに決められていてまるで遠足気分だったけど、誰も

 文句を言う人間はいなかった。


 昼食が終わった後、僕は田原先輩と話をするため彼女に声を掛けた。桜子達に聞かれたくなかったの

 で場所を変えて、二人だけで話をする。

 

 「僕は田原先輩が持ってきた研究所と大学の備品を壊したんですよね?」

 「うん。まぁ~雪村が怒る気持ちも分からなくもないよ?それどころか懐かしいなぁ~って思ったね」

 「…わざとですか?」

 「ん?なにが?」

 「僕をわざと怒らせたんですか?って聞いてるんですよ」

  そう聞くと田原先輩は少しだけ間を空けて…。


 「いいやっ。そんなことはないぜっ!」と右手親指を突き立ててグーサインを出されるものの…。

 「先輩っ」

 「あぁっ、待って待って!違うのっ、話を聞いてっ」


 僕が怒っていることを察して、田原先輩は慌て始める。だけど僕は彼女に危害を加えるつもりはない。

 ただなんというか…むかついただけ。


 「最初は純粋に…ちゃんとするつもりだったんだよ。でも、あんたの顔を久し振り見たらなんだか

  すごく楽しくなってきて…つい…つい…やってしまったってわけですよっ!」

 

 バキバキバキバキバキッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 自分の周囲のみに氷を張って見せる。それを見て田原先輩は…「…すっ、すみませんでした」と

 頭を下げて謝罪する。開き直りも良いところだ。


 「僕は先輩達のおもちゃじゃないんですよ。まったく…」

 「でもたまにはいいんじゃない?研究所出てから思いっきり魔法なんて使ってないんでしょ?」

 「そうですけど、氷浦の家で毎日稽古してますから」

 

  本当ならそれだけで十分だったんだけど…。


 「あぁ~それで話は変わるんだけどさ…あんた、大学どこに行くか決まってるの?」

 「えっ…なんですか、いきなり」

 「魔法科学科のある大学に行くつもりだって、力輝ちゃんから聞いてたの覚えてたから…どうするつ

  もりなのかな~って思って」

 「…そんなこと聞いてどうするつもりですか?」

 「どうするも何も…うちの大学に来ないかって誘ってるんだけど?」

 「えっ?」


  進路の話を聞かれたので何かあるなとは思っていた。けれど…その予想が現実になるなんて、僕は

  思いもしなかった。

 

 

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