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氷魔法師、氷浦真の日常  作者:
春日野氷麗
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田原美咲の不気味な笑み


 語り手:春日野氷麗


 私の名前は春日野氷麗かすがのつらら。星羅魔法女学院高等部一年に在籍している16歳である。

 現在私は氷浦真の姉、氷浦桜子先輩と知人の田原美咲さん。そして、氷浦真の先輩にあたる影富岬と

 一緒にお昼の買い出しのために近くのスーパーへと来ていた。別に私抜きでも良かったのだが、田原

 さんと桜子先輩が「一緒に行こう」としつこ…いやっ。そう誘ってくれたので、私は彼女達と同行する

 ことにしたのである。


 

 「えっと…紙皿と紙コップは持ってきたんだったよね?」

 「うん。それは大丈夫だよ」

 「ふむふむ。じゃあ飲み物買う組と食べ物買う組に分かれようか」

 「じゃあ僕と氷浦さんで飲み物買いに行くよ」

 「了解。じゃあまた後でね」

 

  影富岬と桜子先輩は二人で飲み物売り場へと向かうため、カゴを持って先に歩き始めた。

 「じゃあ行こうか。氷麗ちゃん」

 「あっ、はい」

 

 二人が飲み物売り場へと向かった後、私は田原さんと一緒にお弁当売り場へとカゴを持って向かった

 のであった。

 

 「氷麗ちゃん、何か食べたいものとかある?」

 「えっ、いや…特には」

  好き嫌いはないが、これといって今一番食べたいものもなかった。


 「遠慮しなくていいよ。これでも研究所でバリバリ稼いでますからっ」

 「研究所?」

 「うん。雪村もここに来る前はそこの研究所で働いてたんだよ」

 「…雪村」

 「あっ、ごめんね。ややこしいよね」

 「いえ。大丈夫です」

  雪村は氷浦真の旧姓であることは知っていた。別に困りはしない。だが、彼女達はスーパーへ来る

  間、何かと彼のことばかりを話すので…。


 「氷浦真…先輩、とは仲が良いんですか?」

 「いいや、全然。同じ研究員でも、部署が違えば会うことも少ないしね。でも、結構目立ってたから

  名前だけは知ってたよ」

 「それは…悪目立ち、ということですか?」

 「そそ。だから嫌いな人も多かったと思う。けど~そんな彼でも恋に落ちる時は落ちるんだよなぁ~」

 「えっ!?」


 私は思わず声を上げてしまった。そのせいで何人かの客が私のことをちらっと見たりしたが、何事も

 なかったかのように通り過ぎて行った。


 「うふふっ。意外でしょ?そこがまたいいのよねぇ…本人はあくまで尊敬として好きらしいけど~

  その『尊敬としての好き』も本人が気づいてないだけだとしたら…うふふふふふっ」

 「えっ…あの…」

 「あぁっ、いけないいけない。ごめん、今のはなかったことにして」

 「あっ…はい」


  とは言ったものの…しばらくの間、私は田原さんの不気味な笑みが頭から放れなかった。

  それが完全に放れたのは、買い出しを終えて星羅陸上競技場へと帰ってからしばらくした後のこと

  となる。


 


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