新しい家族
そして引っ越しの日がやって来た。
荷物はすでに氷浦の家に送ってもらい、あとは僕と桜子だけが残り、
伯父さんの車でいよいよ行くことになったのだ。
すると、影富先輩と沼口、あと南條の三人が見送りに来てくれた。
「雪村、マジで行くのか?」
「なに?行っちゃいけないの?」
「そうじゃねぇけどよ。…寂しいじゃねぇか」
「沼口。修行終わったら必ず連絡するから、それまでバカで元気でいてね?」
「雪村、バカは余計(泣)」
「桜子先輩、短い間?でしたけどありがとうございました。これ、私からの
プレゼントです」
「まぁ!?嬉しいです。ありがとうございます」
南條が桜子にプレゼントを渡している。中身はいったいなんなのかが気になるが
それは後にしておこう。
「雪村君。この間はきついこと言ってごめんね」
「いえ。先輩が言っていることは間違ってないので、謝らなくていいですよ」
「結局、工藤さん。目、覚まさなかったね?」
「目を覚ましたら直接伝えたかったんですけど…眠ってる本人に伝えても仕方
ないんで。手紙を書いて工藤さんに、目を覚ましてしばらくしたら見せてほし
いってお願いしてます」
「そっか。…大丈夫だといいけどね」
「工藤さんが付いてますから大丈夫ですよ」
それから数分後に、三人と別れて
僕と桜子は氷浦家へと車で向かったのだった。
そして数時間後
「ふぁ~あ。やっと着いた」
「じゃあ、私ロック解除してきますね」と桜子はあのセキュリティー頑丈な
扉の暗証番号とICキーを使って解除していった。
「できましたよ、真さん」
「なんとかならないの、この扉」
ちなみに火浦との件もあったのでさらにバージョンアップしたとのことで、
解除するのに約10分かかった。
それよりも強化魔法でも組み込んどけよ。と思うのだが。
玄関を開けると、桜子の両親がお出迎えしてくれた。
「おかえりなさい、桜子。そしてようこそ、真」
いきなり呼び捨てにされた僕は一瞬身体がびくっと震えたが「どうも。これから
よろしくお願いします」とお辞儀をすると、すぐにぎゅっと桜子の母親に抱きつかれた。
「そんな頑なにならなくてもいいんですよ。もうここは貴方の家なのですから」
「そうだよ。理由はともあれ、君はもう僕達の家族なんだから」
「…はい」
なんだろう。すごくやりずらい、この家族。
僕は自分を今よりも強くなりたいがために、氷浦の養子になりたいと言ったのに
それでもこの家族はすんなり受け止めて…なんか礼儀正しくしてることがばかば
かしくなってきちゃった。
「桜子良かったわね?真が家族になってくれて」
「はい。私、今すごく幸せです!」
「これを気に結婚の方も狙っちゃいなさい」と桜子の母親がとんでもないことを
口にして思わず僕は「えっ!?」と驚いてしまう。
「お母様、真さんには…「諦めちゃだめよ、桜子。好きな人には最後まで
アタックしないと一生後悔するわよ?お母さんが若い頃は…「母さん、
その辺にしておきなさい。真が困ってるだろ?」
桜子の父親に止められた母と娘。
僕は正直にいうと呆れて止める気にならなかったので、止めてくれて助かっ
たのだけれど…。
「真。修行について話があるから、応接室の方まで来てくれないか?」
「あっ、はい。わかりました」




