観覧車での有栖川と枯野
「真さん、あれはなんですか!?」
「桜子、僕達遊びに来たわけじゃないんだよ。早く二人を探さないと日が暮れちゃうよ」
「雪村の言う通りだぞ、氷浦。お前はその好奇心を自分で制御することはできないのか?」
「できません!」
「「(即答した)」」
「有栖川…いや。あんた達魔法師一族って遊園地とか行ったことあるの?」
桜子もこんな状態だし、こいつもそうだとしたらすごくめんどくさいんだけど…。
「お前達と違って俺達は忙しい。だから遊園地など行く余裕などない。有栖川が珍しいだけだ」
「確かに、ぱっと見ただけではね」
魔法師も一般人も見分けがつかないけど。魔法師と魔法師一族となれば話がややこしくなる。
「とりあえず手分けして探すしかないな」
「桜子。真面目に探してね」
「わっ、分かってますよ!けっして乗ったりなんかしません!」
「(やばい。聞いてると段々怪しくなってきた…でも信じるしかない)」
「じゃあ二人見つけたら連絡して…とその前に、木野原の連絡先知らなかった」
「すべてが終われば消去すると約束出来るなら、教えてやらなくもない」
「言われなくてもちゃんと消しますよーだ!緊急事態なんだからさっさとしてよね」
「まったく…仕方がない」
木野原と一時的に連絡先を交換した所で、僕達は手分けして二人を探しに行く。
その頃、有栖川と枯野は観覧車へと乗っていた。もちろんこれは枯野のリクエストであり、有栖川
は付いて行っているだけ。
「すごい…どんどん上に」
初めて乗る観覧車に興奮しているのか、枯野は有栖川がいることも忘れて夢中になる。それを
まるで保護者のように見守る有栖川。すると、枯野がハッとして有栖川に向かって謝罪する。
「もっ、申し訳ございません」
「いえ。構いませんよ。僕も初めて来た時もそうでしたから、お気持ちはよく分かりますよ」
「有栖川様、遊園地に来たことがあるんですか?」
「何度かありますよ。親父…いや、父上には内緒で」
「そうなんですか。すごいです」
「いや。そんな尊敬な眼差しで見られることはしてませんよ?僕は逃げてるだけなんですから」
「逃げてる?」
「いろいろとやることがあるんですよ。学校から帰っても、習い事がたくさんあって遊んでいる暇
がないんです。魔法とかならまだ良いんですけど、礼儀作法とかを学ぶのが大変で…それが嫌に
なったらこっそり家を飛び出して外に出てました。まぁ、すぐに捕まって親父に大目玉食らうん
ですけどね」と有栖川は苦笑いを浮かべる。
「お見合いとかもそうです。何度も断り続けた結果…親父にとんでもないお見合い相手を紹介させ
られてしまいましてね」
「…あの、その方はいったい」
「枯野さんだったらご存じかもしれません。春日野氷麗さんという星羅に通う
一年生なんですが」
「あっ、はい。クラスメイトで…お友達です」
「そうでしたか(あっ、やばいかもこれ…)」
「あの有栖川様」
「はい(…やっぱり何か言われ)」
「氷麗さんのことについてなんですが…」
「どうだった?」
「ダメ。いない」
「こちらもダメでした」
「あと探してないと言えば…観覧車ぐらい?高くて見れないし」
「観覧車…乗ってみたいです」
「桜子。そう言ってる場合じゃ…「いたぞ」
「っ!?どっ、どこ」
木野原は指を差して二人がいる場所を示す。そこには間違いなく有栖川と枯野の姿が。
二人も僕達を見て驚いていた。でも逃げようとはせずまっすぐにこちらに向かってくる。
「枯野さん、心配しましたよ」
「お二人共…ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」
「先輩…怒ってます?」
「いつものことだ。こんなことで怒っても仕方がない。だが…お父上はそうはいかないぞ?」
「あははっ。そうっすよね」
「有栖川様、今日はありがとうございました」
「いえいえ。こちらこそ」
「…ずいぶん仲良くなったんだな。有栖川」
「まぁ、はい」
「さてと、そろそろ帰ろう。日が暮れちゃうし」
「えぇ~せっかく来たんですから一回くらい乗り物に乗りたいです」
「…一応聞くけど何に乗りたいの?」
「あれです!」と桜子が指差した先にくるくる回るあの乗り物があった。
「…一人で乗って来なさい」
「真さんも一緒に「絶対に嫌だ!!」
「えぇ~どうしてですか。一緒に乗りましょうよ!」
「嫌だよ。一人で乗ってきなよ。僕は絶対乗らないからねっ!」
「にぎやかな奴らだな。有栖川を二人見ている気分だ」
「先輩。それはさすがにないっすよ…」




