木野原崇司の推薦
「ちょっと待って。ということは、枯野さんってひょっとして魔法師一族なの?」
「いえ、違います。ただ私の親戚に木野原崇司様という方がおられまして、その方のお薦めで有栖川様
のご両親と私の両親が…「枯野さん、悪いことは言わない。今すぐご両親にお願いして、有栖川との
婚約を取り消してもらいなさい!」
木野原の推薦と聞いて僕は枯野の両肩を掴んで叫んだ。
「えっ、そっ…そんな」
「真さん。いくらなんでも失礼ですよ?」
「桜子、忘れたの?あの木野原に引っついていた有栖川なんだよ?それに写真が嫌いとかってどうみ
ても嘘っぽいじゃないか」
「ですが、本当に写真がお嫌いなのかもしれませんよ?」
「だとしても枯野さんとは相性が合わないのは確実だよ。僕は有栖川本人に会ったことがあるから
間違いない。それとも桜子は僕のことが信じられないの?」
「そんなこと言ってません!私は真さんを信じています」
「だったら僕の言うこと聞けるよね?」
「ですが、これでは姉としての立場が…「しっかりしてよ、綺麗で心優しいお姉様」
「気持ち悪い!」
「気持ち悪い言うなよ。失礼だな」
サービスしたらすぐこれなんだから。これじゃあ「真さんが壊れてしまいました」の方がまだまし
だよ。
「あの…婚約は解消出来ません」
「どうして?もしかして、何か弱みでも握られてるの?それとも…「いえ。そうじゃないんです。
私、こういう性格なものですので…両親に心配かけたくなくて…」
「あぁ~そっちね」
「枯野さん、お優しいんですね」
「いえ、そんなことは…」
両親想いなのは良いことだけど、枯野と有栖川が婚約って絶対に上手くいかなさそう。
絶対に家庭崩壊しちゃうに決まってる。
「真さん、私達で枯野さんをサポートしましょう。もし有栖川さんが枯野さんを泣かせた時には
私達が駆けつけて助けに行くんです」
「あのね桜子。僕達は正義のヒーローとかじゃないんだよ?18歳の高校三年生がそんなことして
恥ずかしくないわけ?」
「…真さんも恥ずかしいことしてたじゃないですか。文化祭の時にメイド…ひゃっ!?」
「なに?何て言ったの?もう一回言ってくれるかな?」
僕は桜子の頬を両手で包み込む。見ただけだと何しているのか分からないだろうけど、僕の手は今
魔法によってすごく冷たい。
「つめたい…つめたいです、真さん」
「離してほしい?離してほしいなら、その話をここではもうしないって約束出来る?」
「できます…できますっ!…ふぁっ」
「ったく。変な噂が流れて困るのは僕だけじゃなくて桜子もそうなんだから、もっと自覚しなよ?」
「でも…「でもじゃないの。ふくれっ面してもダメだからね」
「あっ、あの…」
「ごめんね、枯野さん。桜子が言ってることは忘れてくれていいから」
「あっ…はい。その真先輩。私からもお願いしてよろしいでしょうか。そのサポートを…」
「えっ?」
「一人では心細いので」
「えぇ~それぐらい自分で「やりましょう、真さん!私達は枯野さんの頑張りを見届ける権利が
あります」
うわぁ~正義のヒーローやる気満々。目がキラキラ輝いてる。これはもうスイッチが入った証拠。
一度スイッチが入ってしまえばもう誰にも止められない。氷浦桜子の好奇心スイッチ…。
「はぁ…分かったよ。でも、さすがに食事する場所なんかには入れないよね?僕達部外者なんだし」
「そう言えばそうですね。その場合はどうしましょうか?」
「絶対怪しまれるって~。どこで食べるか知らないけど」
金持ちのことだから、高級レストランかどこかで…。
「あの、私から父にお願いすればお二人も入れますよ?」
「「えっ?!」」




