表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/46

恐れていた風呂での事故


「真さん、お昼になりましたので休憩にしましょう」

「あぁ…うん。分かった」


もう少しやろうかなって考えていたけど、今日は休みだしお昼からまたやればいいやと思い

僕は桜子達と一緒に道場を出た。


「二人共、毎日こんなことしてるのよね?」

「えぇ。平日は学校がありますから、朝五時に起きて稽古をしています」

「五時起き!?」

「アリスは何時に起きてるの?七時半とか?」

「ちょっと、それだとぎりぎりじゃない!?最悪でも七時には起きるわよ!」

さすがにそれはないとは思っていたけど、アリスをからかうのは面白い。でも、「最悪でも」ってこと

は一度その時間帯に起きたということになる。寝坊してばたばたと制服に着替えて学校へ行こうと外へ 

出てしばらくしたら「あらやだっ。靴下片方履き忘れてた!?」とか言ってまた家に戻ったりして。


これは僕の想像であって、本当に彼女がそんなことをしたとは限らないけど。


「七時に起きてしまうと、アリスさんの家からだとぎりぎりになるのではないですか?」

「そうなのよ。いつもは六時に起きるんだけど、一回だけ七時に起きたことがあって…その時は

 慌ててたせいか学校の靴下を履かなきゃいけないのに、片方を色がよく似ている靴下と間違えて

 履いて行っちゃったことがあったのよ。気が付いた時にはもう学校だったから家に帰れなくって

 仕方なくそのままってなっちゃってね」

「そうだったんですか。よく先生に見つかりませんでしたね?」

「ひやひやしちゃったけど、まぁなんとかなったわ」


履き忘れじゃなくて。良く似た色の靴下を間違えたパターンかよ。

しかも気づいた時には学校って…最悪じゃん。


「真さん、お風呂入らないんですか?」

「いや二人は先に入っていいよ。僕は後で入るから」

「えっ、いいじゃないですか。いつもどおり一緒に入りましょうよ」

「なっ!?」

「ちょっと桜子、真。どういうこと!?二人はいつも一緒に入ってるの?」

「あぁ~もう。だから後で入るって言ったのにぃ…」


こう言われることは予想が付いていたので、僕は頭を抱えていた。

僕も最初彼女と初めて会った時はこいつ何言ってるの?と思っていたが、これが彼女の普通というか

…なんというか。



「ここがうちのお風呂です」

「…銭湯?」

「やっぱりそう思うよね」

「じゃあ早速お風呂に入りましょう」

「えっ、本当に一緒に入るの?」

「心配しなくても僕は離れた場所にいるから大丈夫だよ」

「真さん、服を着るまで近寄るなって言うんですよ?ひどいと思いませんか、アリスさん」

「えっ、えっと…「アリス、こいつの言うことを真面目に聞かない方がいいよ」

「ひどいです、真さん。そんなこと言うなら近くまでいっちゃいますよ?」

「それは絶対にダメ」

「どうしてですか?私達はもう姉弟なんですから、問題はないと思いますけど」

「例え実の姉弟だったとしても、一般では小学生までだよ。一緒に入るのは」

僕は一人っ子だから兄と妹、姉と弟が何歳まで一緒に風呂に入るのかは分からない。


「とにかく、服を着るまで絶対に僕に近づかないでね。いつも言ってるけど」

「…分かりました」

「アリス、悪いけど桜子のことお願いね」

「わっ、分かったわ」


アリスが桜子を止めてくれるなら安心出来る。でも、そんな簡単に彼女は止められないということも

分かっていた。風呂に入ってから約二分で彼女は僕の近くまで来て石鹸とスポンジを手に取りごしごし

と洗い始めたのだ。


「ちょっと桜子!?服着るまで近づくなって言ったでしょ?!」

「お背中洗うのを手伝っているだけです。洗ったらすぐ離れますよ」

ダメだ。今までならなんとかなってたけど、アリスの前できつく言ったせいか完全に怒ってる。

これは彼女の思うがままにしていた方が身のためかもしれない。そう思っていた時だった。


「桜子、真に近づくなって言われ…きゃあ!??」

「危ないっ、アリスさん!」


アリスが足を滑らせて前に倒れそうになったのを桜子が受け止めるが、重さに耐えきれず後ろに倒れ

れしまう。


「ちょっと何やってるのさ、二人共」

「いったたたっ…ごめん、桜子」

「いえ。私の方こそすみませ…っ!?」

「どうしたの?桜子?」

「アリスさん、タオルが…」

「えっ?タオルって、うわぁ!????」


彼女は気づいた。自分の身体を巻いていたタオルが桜子に受け止められた際に取れてしまったことを

…。桜子に言われ、慌ててタオルをまき直した後、僕の方を鋭い目で見た。


「みっ、見た?」

「なっ…何を?」

「何って…見たの?見てないの?どっち!?」

「みっ、見てないよ」

「本当に、本当に、本当!?」

「見てないって言ってるでしょ?」

「じゃあ私の目を見てちゃんと言いなさいよ!?」

「まぁまぁ、アリスさん。真さんは見てないって言ってるんですから、大丈夫ですよ。ねっ?真さん」

「うん…」


桜子のおかげで助かったが…さすがに本当のことは言えない。

二人が倒れて声をかけた時、アリスが退こうとした一瞬ちらっと谷間の部分が見えて「まずいっ」と

思って目を逸らしてしまっただなんて。完全に見ていないとはいえ、事故とはいえ…とてもじゃないけ

ど本人には伝えられない。


いづれこうなるとは思っていたけど、まさかアリスがやってしまうとは…。

これを気に桜子も自分がこうなってしまったら恥ずかしいなと考えて自重じちょうしてほしい

と心の底から願うのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ