第二試練、『雪柳』の習得
集中しろ…集中しろ…。
あともう少し。あと…もう少し…。
「真さん、ファイトです」
「…」
集中しろ…集中…。まだ、ここで終わるわけにはいかない。
「桜子、着替え…「今ですっ!」
「えっ?何」
ドシャアー!!!
「ぎゃあああああああああーーーーーー!???冷たいっ!ちょっとなんなのこれはっ!??」
「はぁ~あぁーーーもう疲れたぁ~」
「お疲れ様でした」
「ちょっと、説明しなさいよ!?」
「すみません。集中力を高める練習でアリスさんを驚かせようと…ずっと待っていたんです」
「はぁ!?」
「アリスが来るまでずっと『粉雪』作って時間を潰してたんだけど全然来ないから、予定より雪が
多くなっちゃって。仕方ないからそれを魔法で固めて久寿玉状態にして、ばれないよう
に天井付近に設置してさ~。あぁ~もう少し来るのが遅かったらやばいなって思ってひやひやしたぁ~」
「もうなんなの?人を実験台にするのやめてよね?!心臓に悪いわっ!」
「アリスの声の方が僕にとっては心臓に悪い気がするけど」
「まーこーとぉー!??いい加減にしなさいよ!?」
「はいはい、怒らないで。それより、せっかく休みの日に特訓しに来たんだからさっさと始めよう?
僕は自分のことで精一杯だけど、桜子が付いて教えてくれるからさ」
「アリスさん、頑張りましょう」
「あっ…うん。分かったわ」
今日は休日で学校は休み。
平日は朝早く起きて稽古して学校へ行っていたけど、休日は学校へ行くことはないので6時起き。
部活動見学の際に僕はアリスの練習相手になるという約束をした。でも彼女は魔法を使い慣れていない
ので基本練習、つまり一から桜子に教えてもらうところからスタートということになる。
僕はあれから『吹雪』をまともに使えるようになって、次は『雪柳』の習得。
これも吹雪のように集中力や精神力はあまり使わないけれど、魔法力をかなり使うらしくにはレベル・
ランクが高くなければとてもまともに使えることはない。実際に「ユキヤナギ」という名前のバラ科の
植物から取ってあり、調べると「手入れしなくても成長する・そして何本も枝垂れてギザギザの葉を
つける」と書かれていた。
随分前のことになるが、最初その話を聞かされた時は『吹雪』よりも簡単そうに思えた。
でも桜子は、「出すのはそう難しくないのですが…これを範囲を広げて…」と実際に彼女が見本を見せ
、説明しながら彼女はどんどん氷の管?を細くしていきあっと言う間に道場にまるで蜘蛛の巣
や樹の根のように張り巡らせてみせたのだ。
「こんな感じです」
「うわぁ~なにこれ。気持ち悪い」
「ここまではたぶん難しくない…と思います」
「思います、かよ。じゃあ難しいところってなんなの?」
「えっとですね…」と言った次の瞬間、氷の管部分から花が開花し床に目掛けて氷の棘が連続で
発射される。
「この部分ですね」
「ちょっと!?やるならやるって声掛けてからやってよ!?」
「すみません。これを発射するの結構大変なので説明を省いてしまいました」
「省くなよ、そこ大事なところでしょ!?」
「本当に申し訳ありませんでした。ですが、驚く真さんってあまり見たことがなかったのでまたやって
もいいですか?」
「凍らせるぞ、この野郎!?」
こいつは人の気も知らないで、楽しそうににこにこと…。
「真さんの魔法力なら約一週間ほどでこの家に範囲を伸ばせることは可能でしょう。ですが、これは
防御魔法ではなく攻撃魔法です。先程お見せしたものを出さないと『雪柳』を完全に習得したことに
はなりません。まず最初に真さんがやるべきことは、範囲をこの道場全体に伸ばすことからスタート
です。それが出来たら道場から少しずつ広げていき敷地内まで覆うことが出来たらゴールです。そして
いよいよここからがこの魔法の最大難関ポイント、雪柳の開花。…というふうにやっていただきます」
「分かった」
と、言ってやっては見るが…僕が最初に伸ばせられたのは自分の周りのみで、桜子のように早くそして
広がるように伸ばせることが出来なかった。
「大丈夫ですよ。私も最初は自分の周り部分しか出せませんでしたから」
そして朝の稽古で何回も練習してから約一週間と少し経った頃にやっと道場の中まで範囲を広げる
ことが出来て、現在の目標はまず道場から外へと出ること。何度もやってみて桜子が言っていたことが
少しずつ理解してきていた。管は練習すれば約一週間ほどで出せるようになる。あとは地道の練習を
続けていれば範囲も徐々に広がっていくし、解除すればあっという間に消えていくのも氷魔法らしい。
目標を達成して、残りは最大の難関ポイントのみとなった。
「あとは…開花させて、あの技を出すだけか」
「真さん、調子の方はどうですか?」
「あぁ、うん。なんとか範囲を広げられたんだけど、開花させるのどうしたらいいかなって」
「そうでしたか。てっきり、範囲を保つことが出来なくて悩んでいるのかと思っちゃいました」
「いや、それは全然大丈夫だけど」
「あっ…そうですか」
「今の間はなに?」
ひょっとして桜子は最初の頃そこで行き詰ったのかもしれない。
そうでないとさっきの間も笑顔が一瞬固まったのも説明がつく。
「そうですね。まず開花の際にかなりの魔法力を使います。そして開花したら1・2・3で発射します
が、これは遅らせたり早くしたりすることが可能です。しかし、成功した人は今の所いらっしゃいませ
ん」
「いたらその人にこつとか教えてほしかったけどね」
ぶつぶつ言ってても仕方ないので、僕は桜子と別れて一人『雪柳』の練習をお昼になるまで
やり続けたのであった。




