進路希望調査票
「はぁ~すっかり忘れてたよ」
「真さん、進路でお悩みですか?」
今日のHRで担任から進路希望調査票を渡されて、自分は受験生なのだと思い知らされる。
進学に決めているものの、どこの大学へ行くとかまでは全然考えてなかった。
「真さんは進学ですか?就職ですか?」
「進学だよ。魔法科学科のある大学へ行きたいって考えてる」
「やっぱりそうですよね。ではどこの大学かってことでお悩みなんですね?」
「うん。桜子も進学だよね?僕が入院してた時、大学を卒業してから~って言ってたし」
「はい、私も進学です。星羅と同じ運営の大学に行こうと考えてます」
「ふーんーそっかぁ~」
予想は付いていたけど、やっぱり桜子はそっちの道を選ぶか。
わざわざ家から遠い大学なんて行くことないし。まぁ、その大学が家から近いのかと遠いのかまでは
把握はしていないけど。
「だったら真さんも一緒の大学に進みませんか?」
「えっ?その大学って共学なの?」
「いいえ。女子大です」
「だったら無理じゃないかっ!?一瞬期待しちゃったじゃん!」
星羅に転入できたのは、桜子の母親が理事長に話を付けてくれたおかげ。
一年間辛抱するだけのはずが、またさらに約四年間ともなるといくらなんでもきつい。
「そうですよね。すみません…」
「まったく、人をからかうのもいい加減にしてよね?」
「いえ、そんなつもりはなかったんですけど。こうやって一緒に学校生活を送れてすごく楽しくて」
「学校だけじゃなくて同じ家にも住んでますけど…」
なんだろう?この、もうすぐお別れですね?みたいな雰囲気は…。
桜子は僕に対する依存度は氷浦に来てから確実にアップしたと思われる。
でもこれを依存と言っていいのかどうかは正直分からないけれど。
「それでも真さんと一緒に学校生活を送りたいんです!例え女子大でも!」
「僕の身にもなってください、お姉様」
「お願いします!女装してください!」
試しに「お姉様」と言ってみたが、効果はなし。
それどころか女装して大学に通えと言い出され、僕は「それだけは勘弁してください」と言わざるを
得なかった。
お昼休み。アリスも加わって三人で昼食を取った後、彼女に進路調査のことを話した。
「あぁ~進路ね。私も悩んでるけど、やっぱり進学かしらね」
「留学って手もあるけど?」
「あのね、いきなり留学しても言葉通じなかったら意味ないでしょ?」
「大丈夫だよ。アリスならジェスチャーで「無理よ!」
「冗談だよ。でも、いつかイギリスに行くならそっちの方も考えないとね?」
「えぇ…そうね」
「私も留学したいです!出来たらイギリスに」
「そういえば桜子、イギリス行きたがってたよね?修学旅行の話した時」
「修学旅行?」
「そういえば、アリスさんは中学までは一般の学校に通ってたんですよね?修学旅行、どこに行きま
したか?」
進路から修学旅行の話に切り替わってしまった。
アリスは「切り替え早いわね」と思いながらも、桜子の質問に答える。
「えっと小学校の時は、京都・奈良で…中学の時は、広島だったかしら」
「やっぱり学校によって違うんですね?小学校は真さんと一緒ですが、中学は違いましたね?」
「まぁ、そんなもんでしょ?同じ県に住んでいても学校によって行き先違うし」
「そういえば、今年の三年生はどこへ行くんでしょうね?」
「えっ?あぁ…前の学校のこと言ってるの?」
「そうです」
「さぁ、どうだろうね。帰ったら沼口にメール入れて聞いておくよ」
「本当ですか!?ではよろしくお願いします!」
「はいはい」
その日のうちに、僕は沼口にメールを送ってみた。
すると『旅行先は北海道』と帰ってきたので冗談に『じゃあメロンお土産に買ってきて』と送って
見ると『OK』と返事が来た。
「えっ…本当に買うの?」




