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氷魔法師、氷浦真の日常  作者:
嘉瀬翼
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嘉瀬家訪問2

家宅捜索とは言ったものの、なんだかんだで遊びに来たようなもの。

刑事ドラマや実際ニュースで見られる令状れいじょうを持って徹底的てっていてきに家の中を

隅々まで調べるつもりはない。そんなことを高校生がしたらただの迷惑行為にしかならないのだから。


「それにしてもよくこんなに上手く描けるもんだよね?あんた漫画家にでもなるつもり?」

「いえ。ただ…絵を描くことが好きなだけで、そんなことは」

「そんなっ、もったいないです!嘉瀬さんならきっと素晴らしい漫画家になれますよ」

「先輩…」


「そしてぜひ、私を主人公にした漫画を描いてほしいです!」

「ちょっと何勝手にリクエストしてるんだよ?」

「その話には真さんも登場します。アリスさんも」

「それはダメっ!断固反対!!」

「真さん、どうして反対なさるんです?何がご不満なんですか?」

こいつの考えていることはだいたい想像が出来ていた。


「どうせそれ完全に恋愛ストーリーでしょ?最後にはハッピーエンドに終わるやつなんでしょ?

 嫌だよ。どうせ描いてもらうなら日常系にしなよ?それだったら…」

日常も恋愛も変わらないとは思うけど、それでも恋愛よりはまだましだと考えて桜子に提案したが

彼女は次のように僕とアリスに話したのだ。


「じゃあ、アリスさんと真さんの恋愛漫画を描いてもらうのはどうですか?」

「はっ!?何それ、嫌よ!なんで私が真と…」

アリスは桜子の言葉を聞いて一気に顔が真っ赤になった。

恋愛漫画ということもあるからいったい彼女が何を想像したのかは分からないが、とりあえず僕は

また彼女をからかうことにした。


「アリス、僕のことそんなに嫌いなの?」

「えっ…いや、そうじゃなくて。私は…」

僕の言葉を聞いて、アリスは困った顔をしている。


「僕はアリスのこと好きなんだけど」

「えっ!?ちょっと…」

「友達として、だけどね」


「くっ…まーこーとぉおおお!?????????」

騙されたことに怒りを露わにするアリスに、僕は面白いと思っていた。

ただ「好き」と言っただけなのに先程とは比べものにならないぐらいに真っ赤になっているのを

見てなんて単純なんだろうと…。だけど友達として好きというのは本当。ただ異性かどうかの違いだけ

で嘘はついていないのだ。桜子と嘉瀬は僕達を止めることなくただ遠くから見守っていた。


「楽しそうですね?嘉瀬さん」

「そっ…そうですね?(あれのどこが楽しそうなんだろう?)」


「真、いい加減にしなさいよ!?」

「アリス大きな声出すと、迷惑だよ?もっと小さな声で」

「貴方のせいでしょ?!責任取りなさいよ?」

「責任って何?結婚してほしいの?」

「そんなこと言ってないでしょ!?もう、からかうのやめなさいよ!」

「じゃあ、責任を取れってどういうことなの?説明してよ?」

「そっ、それは…それは…」


 どうやら勢いで言ってしまったらしく、僕の質問に戸惑うアリス。

 だがそれはそれで良かったかもしれない。もししっかりとした答えが出ちゃったら、それはそれで

 困るから。

「なんだ、考えてなかったんだね?」

「うるさいわね!」

「いやアリスの声の方がうるさいから。本当にその声なんとかして」

「うぅ…」


 アリスはついに戦意喪失せんいそうしつした。

 それを見ていた桜子はアリスに駆け寄り慰めはじめる。


「アリスさん泣かないでください。真さん、からかいすぎですよ?」

「別にからかってるつもりないんだけど」

むしろアリスが僕にからかってほしいような顔をするからいじめたくなるというか…。


「でも、そんな真さんも私は好きですよ?」

「…それはどういう意味で?」

「もちろん異性としてです。言わせないでください」

「いや、むしろ言いたい方でしょ?顔がニヤニヤしてるよ?」

「えっ!?本当ですか?」

「鏡見て確かめてみなよ」


桜子の気持ちは知っていたからアリスみたいに驚いたり顔を真っ赤にすることはない。

僕の気持ちを知っていながらまだ彼女は諦めていないのだ。まぁ、それは彼女らしくて良いとは

思うけれど僕は彼女の気持ちには応えられない。


「あの…もう日が暮れちゃいますけど」

「本当ですね?じゃあそろそろおいとましましょうか」

「そうだね。暗くならないうちに帰ろうか。アリス、帰るよ?」

「…えぇ」

「悪かったよ。だから元気出して。ほら、いつものバカみたいに元気なアリスはどこへ行っちゃったの?」

「誰がバカよ!?」

「あっ、元気になった」


「では、嘉瀬さん。今日はありがとうございました。また遊びに来てもいいですか?」

「あっ…はい。私の家で良ければ」



暗くならないうちに僕達は嘉瀬の家を出た。

アリスを家まで送り届けた頃には、辺りはもう暗くなっていたがなんとか氷浦の家まで無事に帰ること

が出来たのである。









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