とある少女の記憶
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私には、1つ年上のお姉ちゃんがいた。
運動も勉強もできて、なにより優しくて優秀な、大好きな私の自慢のお姉ちゃん。
よくお姉ちゃんに抱きついて甘えて、甘やかしてもらって⋯⋯そんな幸せな日々がずっと続いて欲しいと思っていたのに。
そんな日々も長くは続かず、お姉ちゃんはある日突然行方不明になってしまった。
私はまだその時はまだ9歳で、お姉ちゃんよりも学校が早く終わる私はお姉ちゃんの帰りをまだかまだかと待ちわびていた。
だけど夕方になっても、夜になっても、いつまで待ってもお姉ちゃんが帰ってくることはなく。
両親は学校に連絡をしたが、学校にはちゃんと来ていたと言うし、最後に目撃情報のあったお姉ちゃんの友人もいつもの別れ道で別れたという情報のみ。
私も幼く、お姉ちゃんは友達の家に遊びに行ってしばらく帰ってこないんだと決めつけていたけど⋯⋯次の日も、さらに次の日も⋯⋯お姉ちゃんは帰ってくることは無かった。
心のどこかではもう居ないんだとわかっていながらもそれを受け入れることができず。
でも、お姉ちゃんのいない日々が認めろといわんばかりに過ぎ去って──私はようやく姉が消えて戻ってこないという真実を受け入れた。
その後は学校に行けなくなるほど塞ぎ込んでしまい、部屋に閉じこもっては情けなく枕を濡らす日々。
そんな無意味な時間を繰り返していつの間にか3ヶ月が経過してきた。
お姉ちゃんは帰ってこず、警察もお手上げ状態で希望に寄り添うことさえも許されずで、私の絶望は絶頂へ。
ある日、『こんこん』と扉を叩くノック音が部屋に響き渡る。
『美華ちゃん?わたし!』
美華は私の本名で、魔法少女としての名前である陽葵は、正体を隠すためのもの。
『あーけーてー?』
私の古い友人である如月 春菜は、いつもこんなふうに扉越しで元気そうに声をかけてくる。
『あけてよ〜!』
あの日からというものの、毎日春菜ちゃんは私を慰めるためだけに毎日家まで来てくれて、本当に優しく私にはもったいないぐらいの友人。
その時の私の精神はボロボロで、毎日来るのにうんざりして扉越しに怒ったこともあったのに、春菜ちゃんはそれでもと私に会いに会いに来てくれて。
うんざりしてたのは本当だけど、心のどこかではきっと、その優しさが嬉しかったと思う。
私がその日、初めて扉を開けたのがその証拠だ。
春菜ちゃんはそれからと言うものの、ゲームや遊び用具をもって私の家に来ることになった。
春菜ちゃんは不思議で、近くにいると元気をもらえて、そんな春菜ちゃんと過ごす度に私の心の傷は癒えて行き、気が付けば以前のような元気さを取り戻し私はようやく立ち直れた。
私はそれから苦手だった勉強を頑張って、運動をしてみたり人に優しくなれる努力をした。
⋯⋯運動はちょっと、あんまり出来なかったけど。
そうして、数年の月日はあっという間に流れ、私は中学生になって、とあるきっかけでフリーと契約を交わしたり、実は春菜ちゃんも魔法少女だと明らかになったり、中学校での2年間はとても濃いものにできた自信がある。
そして今、私は3年生にあがった。
私は学校に行きながらも春菜ちゃん、そして中学1年生の頃お世話になり、友達になった先輩の唯華さんと一緒に魔物を討伐しながらたまに3人で遊びに行ったりする生活。
私の魔法少女としての目標は1つ。
必ず、お姉ちゃんを見つけてみせる。 それが今の私の生きる全てであり、魔法少女として努力する理由だ。
「死を告げる大鎌」
走馬灯のように過去を追憶していると、突然見知らぬ幼い少女が現れ、あっという間に私達が倒せなかった魔物を瞬殺してしまった。
局の人じゃない、こんなに小さいのに私達より遥かに強い子がいたら間違いなく私達は知っているはず。
だとしたら局に所属していない野良で活動している人ということになるけど⋯⋯
「あの⋯⋯」
心配になるほどに色白の肌で、身長が小さい目の前にいる女の子は、黒を強調とする⋯言うなればロリータのような衣装を身にまとい、両腕には小さな身体よりも大きい大鎌を持ちながら、私達を静かに見つめる。
何を考えているか全く皆目見当もつかないその顔や雰囲気に、私は思わず見とれてしまった。




