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第13話 おかえり

 クラーケンを倒した翌日。セイルヴィアの生き残りたちは、アレグ海賊団の船でセイルヴィアへと向かった。


「……降りるぞ」


 エドガーが桟橋に足をかける。そしてそのまま、降り立った。


「……帰って……来た……」


 その言葉を皮切りに、生き残りたちは次々と故郷へと降り立って行った。


「……帰ってきた……」

「やっと……やっと……」


 嗚咽をこらえきれず、その場に膝をつく者がいた。桟橋へ額をつける老人も、静かに涙を拭う母親もいる。

 誰もが同じ景色を見ていた。青い海。潮の香り。そして、自分たちの故郷。

 エドガーは振り返る。


「おかえり」


 その一言に、堰を切ったように泣き声が広がった。



 しばらくすると、ティアマールに戻っていたシレネが海から「ねえ」と顔を出す。


「どうだった?」

「こっちも大丈夫よ」


 エドガーの言葉に、シレネは笑う。


「建物も無事だったわ」

「狩場、使えるぞ!」

「……そうか」


 エドガーはそっと目元を腕で覆う。


「あらあら。エドガー様ったら、泣き虫なんだから」


 シレネの笑い声は、潮風に溶けていった。





 避難民たちが落ち着いた頃、アレグは声を張り上げる。


「じゃあ、宴しよう……んぎゃ!」

「酒が足りないだろ。この考えなし!」

「……魚はどうにかなるが……」

「海獣の肉なら用意できるぞ」

「でも、酒が足りないだろ? 多少積み込んでいるとはいえ、うちだって大酒飲みが多いんだ」

「そうだな。買いに行かなければ」


 エドガーの言葉にアレグが手を挙げる。


「なら、おれたちが買ってくる……ぶっ!」

「安請け合いするんじゃないよ!」


 アレグ夫妻の夫婦漫才に、皆が笑い声を上げる。


「……その、お願いしてもいいだろうか。運送料はきちんと払う」

「近くの港なら、三日はかかるよ」

「肉や魚を準備するのに、ちょうどいいな」


 エドガーの言葉に、アレグは大声で笑う。


「金の話は後だ後だ。まずは祝うぞ! 運送料は酒でいい!」

「なら、いい酒を買ってきてくれ。予算はこちらが持つ」

「おうよ!」

「……まあ、そんぐらいなら」


 ミレーユは苦々しい顔をする。


「ねえねえ、お姉ちゃん」

「なあに?」

「その間に、工芸品の準備しよう?」

「工芸品……ああ、海賊さんに渡すものね」

「うん」

「よし、夜なべして作ろう!」


 港には十数年ぶりに、人々の笑い声が戻っていた。

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