第十二夜 黒薔薇の君side千幸
俺達は無言で部屋へと向かっていた。
あの会場から大分離れた1つの扉の前に止まった。
「はいっ。ここだよ」
さっきまで先頭にいた司がこっちに笑顔を向けた。
「一様中にはキングサイズのベッド1つと、シャワーとかあるから自由に使ってね」
そう言ってこっちを変に笑いながら見てくる。
……なんかムカつくから司後でしばく。
「ありがとな。司」
「おうっ。悠真がんばれよ」
そう言って司は去って行った。…何を頑張るんだ?
司は遠くに去り、俺と赤依は部屋に入った。
「うわぁ…」
部屋の中は白で統一されており、なぜだか気分が悪くなった。
「うわっ」
隣にいる赤依も不評のようだ。
しかし他の部屋に入る訳にもいかないので仕方なくこの部屋に入った。
ベッドの上にさっさと赤依は座り、俺はソファーに寄りかかった。
「…それで話って何?」
「あぁそれはな…。本当のお前って何?」
赤依の心はどこにある。…学校にいる時の赤依は幸せそうに笑う……だけど今は義務的にしか笑わない。
「…そんなの私にもわからないよ…」
寂しそうに…辛そうに。ポツリと赤依は呟いた。
「…赤依」
「…私は!…小さい頃から自分の存在がわからなかった。なんで私が存在する必要がわからなくて…。ある時近くにナイフがあって手首を思いっきり切ったの…。そしたら……」
赤依は辛そうに顔を歪めた。俺は黙って赤依の話を聞いていた。
「…普通なら人は赤い血がでるでしょ?それなのに私が切った手首からは黒い血が流れたの…。小さかった私は驚いて、急いでお爺様の所に向かったの。…普通なら孫の私が手首を切ったのをみて心配するでしょ?それなのに私の手首から出た血の色を見て喜んだの」
いつもは凛としていて背筋を伸ばして、強いと思ってた。…けどそうじゃなかったんだな。ただ…強がってただけだったんだな。
いまにも泣き出しそうで…今にも崩れ出しそうなそんな背かを支えなくちゃいけない!…そう思ったんだ。
「赤依…」
俺はそっと優しく包み込むように赤依を抱き締めた。




