第十三夜 心の棘side千幸
読みづらいかもしれませんが、勘弁です。
えっ!?何が起こってるの?いま私は雁ヶ崎君の腕の中にいて…。…?どうなってるの?
「…赤依」
何?雁ヶ崎君?そう言いたいのに言葉が出ない。
「赤依…泣いていいよ」
何を言って…そう思ったのに、頬に温かいものが流れた。
「…っ……ふっ」
私は自分の頬を流れる涙を止められなかった。
「…今まで溜め込んでたもの全部言えば?聞いてやるよ。泣きたくなったら俺の胸を貸す。…だから話せよ」
ふと見上げた雁ヶ崎君は笑ってた。初めてみる笑顔だった。きっと明るい笑顔じゃないけど、心が暖かくなる笑顔だった。…私はポツリポツリと今まで誰にも話したことのない胸の内を喋り始めた。
「私達ヴァンプァイヤはね、20歳になるまでは人と同じように時を過ごすのだけど、20歳を過ぎれば人とは異なった時の流れを過ごすの。…小さい頃私ね、保育園に通ってたの。それは楽しかったわよ。…だけどね、小学生からは家庭教師が付くような形になって外に出ることなんてなくなったの。私には保育園に行ってたっていう強い思い出があるあらその生活が苦しくてある時お爺様に言ったの。『小学校に行きたい。保育園で一緒にいて仲の良かった子と一緒に行きたいの』そしたら思いっきり頬をぶたれたわ。そして、『お前は人間なんぞといて何が楽しい。あんな下等な生き物といたらお前がおかしくなるぞ』私はその時愕然としたわ。だって私はみんなと同じだと思ってた。…それから数日後。私は手首を切った。それからお爺様は元老の人達にその事を報告し、私は黒薔薇となった。……黒薔薇になるための教育が始まって辛かった。その時思い出したの…保育園にいた頃を…。それで、『人間の浅はかな思考と、愚かな行動のレポートを書きたいので、3年間人間の元へと行かせて下さい』本当はそんな事は思ってないのに、お爺様が喜んで私を送り出す方法を考えて、そうなったの。するとお爺様は、『ようやくお前にも人間の愚かさがわかったか。レポートの成果期待しとるぞ』それで私は貴方がいる高校に転入したの。…だけど黒薔薇である私は'残酷,がテーマで、そういう身振り素振りをしていると自分自信がわからなくなっちゃったの。本当の私なんて私にもわからないわ。…それが不安で仕方なくなるときは、黒薔薇の私になれば心が安らいだ。……ねぇ雁ヶ崎君。本当の私って…何?」
…黙ったままの雁ヶ崎君。
「ねぇ?…なんなの?」
本当の私は…
「私は一体何者なの?」
…ねぇ、答えてよ。
「私は…本当の私は……!?」
私はまた雁ヶ崎君の腕の中。
「…赤依」
「……何?」
高ぶっていた私の心は落ち着きを取り戻した。
「私は…私自身が何者なのか知りたいの。…私の存在理由が知りたいの」
「……赤依は…ただ笑ってればいいと思う…昨日さ、赤依…告白されたじゃん?その男子。赤依のこと好きになって毎日が幸せだったと思うよ?」
「…だけどそれは、私の表面だけじゃないの?」
「そうだとしても幸せなんだよ」
…雁ヶ崎君の言いたい事がわかりません。
「…赤依が近くにいるだけで、赤依が存在してるだけで苛ついてた」
苛ついてた?過去形?
「…だけどな、いまはなんかな。赤依を見てると…守りたくなるんだよ」
突然の言葉に顔が熱くなる。
「赤依を守らなくちゃって思ったんだ。……赤依の存在理由は俺の事が好きって事でいいんじゃないか?」
「…!?」
…雁ヶ崎君はそう言いながら子供みたいに笑ってた。
「雁ヶ崎君!…いきなりなに言うのよ!!」
「んー。だって俺。赤依の事好きになりつつあるもん」
なーにさらっと凄い事言ってるのよ!?しかもなんか自信満々だし。キャラ変わってるし!!
「…その間に私が嫌いになってるかも知れないわよ」
「それはないな」
「なんでよ…」
なんか心の中を見透かされてるみたい…。
「んー。なんとなく?」
なんとなくって…
「赤依…」
なんかちょっと真剣そうな雁ヶ崎君。
「なに?」
ちょっと…いや結構ドキドキしながら答えた。
なんかいい雰囲気じゃない?
ドーーーン
何かが破壊された音がその雰囲気をぶち壊した…。




