【洒落怖】裏バイトでとんでもない船見つけたんだが/前編(初出2007年頃/まとめサイトより転載)
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そろそろ時効だと思うんで話す。割と長いから暇なやつだけ読んでくれ。
あとオチとかもないからその辺も期待しないで欲しい。俺も何がなんだか分からなかった。
それじゃ始める。
あ、間違っても特定とか勘弁な、最悪、俺が消される。
その頃は色々あって金が無くて、ゼミの先輩に誘われてとある高額バイトに手を出した。
言い訳がましいかも知れないけど、その時は裏バイトとは思わなかった。
夜の海でナマコを採る仕事って聞いて、期間とか見てもマグロ漁船よか全然マシだな程度にしか思わなかった。
漁船に乗って深夜に港を出て海上でナマコを採る仕事なんだけど、俺の役目は船上での見張りだけだった。
この時点でも「夜だから他の船とぶつかると危ない」って説明受けてそのまんま信じてた。
てか、船酔い真っ只中だった俺は何もかもそれどころじゃなかった。
胃の中身が空になるんじゃないかってくらい何度も吐いて、先輩に呆れられてた。
本当に船酔いってマジできつくて、いっそ海に飛び込んだ方がマシなんじゃないかって思った。
けど、船長がやたら怖い男で(今考えると普通にヤクザだったと思う)とても言い出せる空気じゃなかった。
とにかく苦しいのを必死に堪えながら海を見張ってて、それでも数時間経った頃にはだいぶ慣れてきてマシになった。
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嘘みたいな話だけど、それが出て来る前には辺り中に霧が出て来た。
最初はなんか、うっすらと景色が霞んでるかなっていう程度だった。まあ夜だしな。
けどそっから数分もしないうちに一気に霧が濃くなってきて、あっという間に視界が真っ白になった。
船のライトはかなり強烈なやつだったけど、その光が吸い込まれて消えていく感じ。
流石に危ないって話になって、潜ってたやつも上がってきてヒーターの前で体を温めたりしてた。
そっから15分くらい経った頃だと思う。何かが軋むような重い音が少しずつ近づいてきた。
「これ何の音だ?」って皆で顔をあわせて不気味に思ってた。船長もえらく真剣な顔になってた。
本当に突然だった。
真っ白な霧の壁を突き破るみたいに、いきなり巨大な船首が現われたんだ。
慌てて船長がエンジンをふかして回避したけど、あと一歩遅かったら衝突して全員死んでたと思う。
ギリギリでそいつをかわした後に見上げてみたら、びっくりするくらいでっかい船があった。
それもただの船じゃない。照明も消えてて、錆びておんぼろになった鉄の塊だった。
「幽霊船だ……」って誰かが呟いて、全員しばらく呆然と見つめてた。
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しばらくして船長が衛星電話でどっかに連絡を取り始めた。
そんで話が終わると戻ってきて「乗り込むぞ」って言い出した。
「中に金目のものが残ってるかも知れない」って言い出すのを聞いて、俺はそこでようやくおかしいなって思った。
俺の頭はまったく褒められたもんじゃないけど、それでも難破船を発見したら通報するって事くらいは分かる。
でも船長は乗り込んで漁ろうって言い出した。
あ、これヤバいやつだって気付いたけど、逃げ場のない海の上だし今更どうにもできなかった。
俺たちは相手の甲板に向けて縄梯子をかけて、無理やり中に乗り込むことになったんだ。
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乗り込んでみて改めて分かったけど、本当にバカみたいにデカい船だった。
俺たちが入ったのは下層の外廊下みたいなとこだと思うけど、そこだけでも普通の船じゃないって分かった。
外壁はもうボロボロで、ペンキはひび割れて剥げてたし、金属の部分も錆び付いて腐食しまくってた。
「これ、誰も乗ってないですよね」って俺が言ったら、船長に「生きてる奴はな」って返されてマジでチビりかけた。
本気で帰りたかったけど、そっからはさらに地獄だった。
その階層のデッキみたいな場所についたら船内図の案内板があったんだけど、そこで見ると何と船は10階建てだったんだ。
かなり広いから分かれて捜索するって言われて、一人ずつ懐中電灯を渡された。
正直、人生終わったと思うくらいに絶望した。
でもここで「嫌です」って逆らったら、このヤクザどもに海に投げ込まれてマジで人生終わる予感しかなかった。
だから仕方なく懐中電灯を持って船を回ることにした。
俺の担当は一番上の9階と10階。
まずそこまで上がっていくのが大変だったけど「お前は吐いてただけやろが」って言われて従うしかなかった。




