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『カルナヴァル号』で自殺者発生、集団自殺か?/にちなか新聞 1998年7月21日面

 7月16日未明、博多港に寄港した大型客船『カルナヴァル号』(2万8千トン)の船内から、男女4名の遺体が運び出されていたことが分かった。

 福岡県警の発表によると、死因はいずれも自殺とみられ、同船客室にて一酸化炭素中毒により死亡したのは福岡市早良区の佐藤美智子さん(34)ら3名。また、首吊り自殺を遂げたのは、筑紫国立大学文学部で文化人類学を専門に研究していた教授、佐久間善司容疑者(42)と判明した。

 亡くなった4人はいずれも、昨年同船の進水式にて発生した係留索(もやいロープ)破断事故により家族やパートナーを失った遺族であり、現場からは遺書が押収された。

 『カルナヴァル号』は数日間、博多湾沖に停泊し海上保安庁および警察による現場検証が行われたが、事件性(他殺の可能性)は極めて低いと結論付けられた。同船は明日22日、再び博多港を出港し、済州島および香港方面への航海を再開する予定である。


■「あの子と一緒にいたい」遺書に残された悲痛な叫び


 亡くなったのは、いずれも進水式事故の犠牲者遺族。遺族らは「船好きだった故人の追悼のため、最後の思い出作りに乗船する」と周囲に話していたという。

 事前に行き先を聞いていた知人男性は「事故のショックから立ち直るための前向きな旅だと思っていた。まさか自ら命を絶つための旅だったとは……」と絶句し、後悔の念を露わにした。

 客室内に残されていた遺書には、「あの子と一緒にいたい」「もう離れない」といった悲痛なメッセージが残されていたという。


■自殺直前の奇妙な行動、なぜ遺族はブリッジへ侵入したのか


 また、首吊り自殺を遂げた佐久間容疑者は、自死に至る直前に不可解な行動をとっていたことが関係者の話で判明した。

 15日深夜、船内の見張りが手薄となる時間帯に乗務員作業服を着用して最上階の操舵室(ブリッジ)へ侵入。不審な行動をしているところを当直の航海士に発見され、その場で取り押さえられた。

 佐久間容疑者はその後、安全確保のため船内の予備客室に軟禁されていたが、監視の目を盗み、支給されたシーツを細かく割いてロープ状に結び合わせ、室内のハンガーパイプで首を吊ったという。乗組員が異変に気づいた時にはすでに心肺停止状態だった。


■下船を拒否された乗客との間でトラブルも……「この船は異常だ」


 船内で相次いで発生した異様な死に、乗り合わせた乗客らの間にも動揺が広がっている。

  一部の乗客からは「気味が悪い」「すぐに下船させてほしい」との要求が相次いだが、運航会社である「ミヤビ・クルーズ株式会社」側は、「運航上の安全に支障はなく、事件性のない個人の自殺である」として、途中下船に伴う運賃の払い戻しや代替便の手配には応じない姿勢を崩していない。

 結果として博多港にて20名以上の乗客が自主的に荷物をまとめて下船する事態となったが、下船した女性客の一人は「船内にはまだ不気味な雰囲気が漂っている。お金の問題ではない、二度とあの船には乗りたくない」と怒りと恐怖を滲ませていた。今後、乗客側は弁護士を通じて同社への損害賠償を請求する構えだ。

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