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世紀末物語~ヒトが生まれない惑星地球~  作者: 玉井 マリト
第一章

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遭遇

 彼らの宇宙船は、月の裏側から現れた。渋く黒みがかった銀色をした球体で、徐々に地球に近づいて来た。


 地球では、アマチュア天文家らがそれに気づき始め、次第に多くの人の知るところとなった。世界中が不安と恐怖に包まれていった。

 一部の人たちは、子供が生まれない事との関連を疑い始めた。

 各国政府は、人々がパニックにならないよう、冷静さを保つよう呼びかけていたが、「攻撃して撃ち落としてしまえ」と訴える声もあった。


 世界中のテレビ局は、一日中特番を放送し続けていた。

 人々は、少しでも不安を解消するため、情報を得ようとテレビを観ていた。

 その時、世界中のテレビ画面が、ほぼ同時に乱れだし、直後3人の人間が画面に登場した。黒人男性と白人女性とアジア人の少女だった。背景は、誰も見たことが無いような、仄かに光る装置類と、その手前に薄くてやや光沢のあるレースカーテンのような半透明の幕があった。

 黒人男性は高級そうなスーツに身を包み、白人女性も同様にスーツを着込んでいた。少女はワンピースを着ていた。3人とも服の色は青を基調としていて、上品な雰囲気を醸し出している。穏やかな笑みを浮かべながら……


 テレビの視聴者の多くは思った。この3人は球体の中に居ると。


 黒人と白人の間にいる少女が言葉を発した。

「はじめまして――地球の皆さん。私たちは、あなた方がまだ知らない、遠い恒星系から時空を超えて来ました。この姿は、皆さんを驚かせないようにする為です。この地球を含む銀河系には、皆さんのような高度な文明を持った知的生命体が25種、存在します。互いに情報をやり取りし、緩やかに交流しています。私たちは銀河系人です。」


 次に黒人男性が語り始めた。

「私たちは、あなた方地球人に、26番目の銀河系人になることを、お願いしに来たのです。詳しいことは、直接お会いしてお話したいと思っています。代表者の方がいる場所に、着陸する許可を頂きたいのです。お返事はテレビ画面を通じて、行って下さい。良いお返事をお待ちしております。」


 最後に白人女性が口を開いた。

「地球では、子供が生まれない状態が続いているようですね。私たちには、それを解決する手段があります。どうか信じて下さい。その為にも、交渉の機会をお与えください。」


 3人が話し終えると、再びテレビ画面が乱れて、通常の放送に戻った。


 地球上では、ある一人の男性が銀河系人との交渉の覚悟を決めていた。彼の名は、コビナ・アニン。国連事務総長である。副事務総長のルイーザ・フレモンと共に、各国大使と意見交換を続けていた。

 コビナは、この完全に想定外の出来事に、また想定外の責任の重さに、内心非常に戸惑っていたが、感情を抑え、必死に冷静さを保っていた。

 そして、子供が生まれる世界を取り戻す手段を得るために、選択肢は交渉に応じること一択しかないと確信していた。


 急遽、臨時の国連総会が開催され、事務総長のコビナと、副事務総長のルイーザが、地球人代表となることが採択された。









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