小噺その③ 大悪魔サルカニちゃん弐
「シズカちゃん、ちょっと奥の事務所まで来てくれない?」
シズカっていうのは、サルカニちゃんのメイドネームなのだ。
この日もバイト先のコンカフェで、滞りなく一般市民に媚び媚びで演技して…一日マジ疲れたって感じで着替えてたんだけど、この女に呼び出されたってワケ。
「店長、なんスか?定時なんで、あがりたいんスけど…」
スタスタスタ…ガチャッ
メンドイいなぁって、足引きずりながらソファーの置いてある応接室に通される。
(だるっ…ここ来んの、面接ん時以来っけな。)
「アンタさぁ、店外で客に金取ってヤラせてるってマジ?」
「あぁ…あんま、させろさせろってしつこかったっけ、ナンボ出すねんって、言ったらさ…10万出すってっから、分かるっしょ。ここバイト代安いし。」
「一人や2人じゃないわよね。」
「あ〜、2桁はいったかな?」
「うちのタカネがそのせいで、客に襲われかけたのよ。お前もだろって、アンタのせいよ。」
「あ〜、あのブリブリのブスか…」
(この後、推しのライヴあんのよねぇ〜早よ終わらんかな…)
「ちょっと、聞いてんの?クビにするってんのよ…」
「ハァ?マジ意味が分かんないっスけど。」
(イヤ待て待て、ここクビんなったら、他行く所ねーべ。こんなボロい商売…また地下アイドルに逆戻りかよ。)
「早く荷物まとめなさい…」
「アレ、知ってんスけど…拡散してもいいんかな。」
「何、脅迫?そんなモノに…」
サルカニちゃんが店長にスマホを向けると、応接室に不適切な喘ぎ声が響き渡る。
「こ、これ…」
「そうっスよ〜、店長が面接ん時…採用の代わりに、従業員候補を喰ってるトコっす。」
「ワタシん時も、激しかったッスもんね。ま、レズには目覚めませんでしたケド。コレ公表されたら、マズイいんじゃ…」
「シズカちゃん…引き続き、お仕事ヨロピクッ。」
「う〜っす。」
んでもって、サルカニちゃんは、推しの演歌歌手、二階堂つかさ君[享年45歳]のライヴに行くのだった…駅前商店街のビールケースの上まで、あと数百メートル。
(日本人のクセに、ロックとかポップとかフザケンな…遺伝子は、演歌か民謡なんだよ。
あと、シェイクスピアより大衆演劇よね♡)




