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4-2

次回更新は4月18日(土曜日)21時台の予定です。


今後も読みに来てくださると嬉しいです。何卒よろしくお願いします。


 御不浄決闘から1か月、そして、学園の入学式から2週間ほど経った。オレはグローブ流細剣術王都中央道場に来ていた。何しに来ていたかというと、稽古をつけに来ていた。道場主のドナルド・マクガバン先生に「どうしても」と頼まれて断れなかったからだ。


 まあ、先生には無茶苦茶お世話になったからね。決闘の場所から相手方とのあれこれとか他の道場への連絡とか全部お任せだった。しかも、決闘後の他流派への勝利報告の挨拶回りにもわざわざ付き合ってくれた。そんな報告いる?って感じだが、御不浄決闘のときの慣例だそうだ。「非才の身でありながらこの度なんとか細剣術の名誉を汚した者を誅することが出来ました。これも皆々様が先人の技を絶やすことなく受け継ぎ発展させてくださったおかげです。また、陰日向のご支援も心強くうんぬんかんぬん」ってやるんだぜ。いやいや、オレが細剣術を教わったのは婆さんだけなんだけど。ご支援って心の中でエールを送っていただけじゃねーか。マジでメンドかった。先生がいてくれなかったら、どうなったことやら。


 そういうわけで、月に2回、15日と30日の午前だけ、主にオレと同じくらいの年齢の奴らに稽古をつけに来なきゃいけないことになった。そういや、婆さんのところにいたとき、買い物によく行った肉屋の特売日が同じだったような……。それはさておき、他流が稽古をつけるなんていいのか?と思ったんだけど、こういうことはままあることらしい。流派関係なく強者の動きを見るだけでも勉強になるそうだ。当然だが、スーザン流の型なんかは教えない。主にかかり稽古と言われるオレが胸を貸す形の立会いだ。で、修正点を指摘する感じ。あと、たまにマクガバン先生とか高弟の人と立ち会って、それを見せる、いわゆる見取り稽古ってやつだ。


 もちろん、婆さんの許可も貰ってある。実は、婆さんは王都に出て来ていて、4日前に帰った。オレからの手紙が届いてすぐに向こうを出立したそうだ。ちょっと嬉しかった。「アンタが負けたら、葬式に出ないといけないからね」とか言ってたけど……。ただし、連日、ジュライフィールド家王都屋敷の練武場でボコられたのには閉口するしかなかった。強過ぎるんだって。で、そのとき、秘剣・真受を遣ったことも報告した。「どうも見ていた人には何かしらの技を遣ったことがバレたようです」と言うと、「そりゃ、見りゃわかるさ。でも、原理がバレなきゃ構わないんだよ」とあっさり言われた。まあ、そりゃそうか。ちなみに、ゲーリーも来た。婆さんと一緒になってボコってきた。そして、マクガバン先生は友達というか、ゲーリーの舎弟みたいだった。


 今日の稽古が終わり、更衣室として貸してもらっている部屋で着替えを終えた。先生に挨拶して、学園に行こうか、と思ったとき、サラがやって来た。


「デレク、ちょっといいか?」


「おう、どうした?」


 コイツとは決闘以来、よく話すようになった。もうタメ口だ。


「少し相談したいことがある」


 サラがそう言うので、先を促すと、予想外の大問題だった。


 その内容はこうだ。あの件で王党派武官系細剣閥の連中が第三王女とはしばらく距離を取りたいとなったらしい。そうなると、今まで休憩とか剣の稽古を王家のサロンでやっていた連中が困ったことになった。休憩くらいなら別にどこででもできるといえばできる。学生食堂でも空き教室でもいい。しかし、剣の稽古の場所がない。学園の武道場をレンタルできるけど、いちいち面倒くさいし、そもそもあれは平民用との認識があるので、借りづらい。


「そこでだ。デレクは王家やジュライフィールド家ではなく海賊派のサロンに入り浸っていて、そこで剣の稽古もしていると聞く。私たちもそこに混ぜてもらえないだろうか?」


 えっ?……。


 びっくりした。そんなに王女がダメなの?って感じだし。さすがにそれはマズいんじゃねーか?と思った。かなり決定的な意思表示のような気がする……。そして、サラがこう言うからにはそうなんだろうけど、一応確認した。


「家の方はいいのか?」


「ああ、大丈夫だ。というか、ウチは当主の父が言い出したし、他所の家も同じようなもんだよ」


 マジか……。パーカー家って近衛騎士団や王党派武官系細剣閥にかなり影響力のある家なんだけど。第三王女を切捨てた?王家も?うーん、確かにあのときの王女の言動はアウト寄りのグレーゾーンではあったけど……。つーか、「私たち」って1年生だけ?それとも、上級生も?……オレのせいじゃないよね?


 オレがそんなことを考えているのをどう捉えたのか、サラが続けて言った。


「ああ、海賊派への謝礼については家同士で話し合うそうだ」


「そ、そうなんだ。……でも、オレには何の権限もないからな。今度、フランクにでも聞いとくわ」


 オレがそう言うと、サラがじーっとオレの目を見てきた。……わかったよ、今すぐ行こうってことね。コイツ、せっかちなところがあるんだよな。そういうところだぞ、勝ち急いで逆撃を喰らうのは。


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