約束
カポーン...
ふう...
ああ気持ちいい!久しぶりに入る風呂は最高だ。
修行中、湯の温もりを感じることがなかったから、今飼っていた猫が子供を産んだ時くらい感動している。
僕たちが元の世界にいたとき、海と温泉に行ったのは4年前くらい前だ。そのときは2人とも親がついていたけど、今は2人で来たから成長した感があってなんかエモい。
「でなんでフリージアさんもいるんですか?」
「俺が奢るんだから当たり前だろ?」
奢ってくれるんだ。
「ありがとうございます」
「まあ、男同士、裸の付き合いってことで、色々話そうか」
「いいですよ。男の人と話すのは町長を除いて久々ですから」
「蓮て海のこと好き?」
「おぉ、急にぶっ込みますね...。どうしてそんなことを?」
「いや、そう思っただけよ」
「えぇ。誰にも言わないですか?」
「もちろん、秘密は守るよ。男の約束だ」
「わかりました。...好きです」
...。
そっちが言えって言ったのに、なんで黙ってんだ。
「なんで黙るんですか?」
「いや、何恥ずかしがっとんのかなっと思って?」
「いやなんか、いざと言おうと思うとなんか恥ずかしいなっちゃって」
「まぁ、確かに。海好きなんやよね?やっぱりそうやと思ったんやて」
「なんで僕が海のこと好きだと思ったんですか?」
「まあ、なんとなくね。なんか、意識してる感じあったし」
まさか、そんなあからさまに態度に出てたなんて。
僕はポーカーフェイスなはずだぞ。(違います)
「で、海のどこが好きなん?」
「なんで言わなきゃいけないんですか!」
「なんでってそら気になるやん」
「えぇ...」
僕は言うのを躊躇った。男の約束を結んだ以上、言っても構わない。しかし、この人は今日初めて出会った自称エルフ。なかなか信用ならん。
...。
うわ。めっちゃこっち見つめてくる。
フリージアがすごい見つめてくる。上目遣いで見つめてくる。うう...。
ええい!もう言ってしまえ!ヤケクソだ!
「やっぱり無難に顔がタイプ」
「なんや、突然喋ったかと思ったら、面食いやないか」
「面食いなんて失礼な。そこだけじゃないですよ。とにかくかっこいいんですよ」
「 例えば?」
「まずどこを切り取ってもかっこいい。ボブよりも少し短めの髪型。二重の大きな目。引き締まった体。全てがperfetto 。あと内面もかっこいい。敵に遭遇した時もローズとの修行の時も、相手が格上だったとしても、引くことなく立ち向かっていって、そして何かを成し遂げる。意気地なしの僕には持ってない物を海は持っているのがすごく羨ましい。でもそこがたまらなくかっこいい。そんなとこに惚れたのかもしれないですね」
「なるほど...面食いとか言ってごめんね。俺も姉さん見てると、かっこいいなって思うところたくさんあったからな。強かったし。かっこいい女性を好きになる気持ちはすごくわかるわ」
「ですよね!」
初めましての成人男性と初めて分かり合えたため、このトークは長く続いた。
〜10分後〜
「ちょっと2人とも長すぎる!相当待ったんだからね」
海は少し怒り気味であり、呆れてもいた。
「ごめんごめん。ちょっと盛り上がっちゃって」
「ちょっと俺コーヒ牛乳買ってくるわ。ここで待っとって」
「ありがとうございます」
「久々の温泉気持ち良かったね。ここの温泉効能すごいらしいから、もうすでに効果出た感じするわ」
海は久しぶりの温泉にご満悦のようだ。
「確かにそうね。なんか痛みとか消えたかも。効能とかあんま覚えてないかも」
「私が入ったところは『擦り傷、切り傷、高血圧、疲労感、肌荒れ、関節リウマチ、関節痛、筋肉痛、心身の不安、メンタルの回復、その他諸々に効く』って書いてあった」
「それ本当に温泉か?」
「ボス戦行く前とかにここでセーブしておけば、いつでも戻って来れるね」
「セーブ機能とかあるの?」
「そういえばフリージアさんとなんの話して盛り上がったの」
「セーブ機能は...」
「何話してたの?」
...。
「セーブk...」
「何話してたの?」
セーブ機能...。
「...まあ、いろいろ」
「いろいろって?」
「恋バナとか?」
「恋バナとかするんだ。どんな恋バナ?」
「タイプとか」
「蓮はどんな人がタイプ?」
なんか質問多くない?
こんながっついて聞くことか?
「逆に海はどんな人がタイプ?」
「質問を質問で返さないで」
「はい」
強いな。
「海が教えてくれたら、教える」
「ケチ。ケチ。蓮のケチ。ケチ島蓮」
「ケチ島蓮?」
「何言ってんの?」
「あなたが言ったことよ?」
もうよくわかんないや。
「じゃあ。海は好きなタイプとかないの?」
「もういい」
やべ。拗ねちまった。




