出会
3ヶ月の修行を終え、街に戻ってきた。
「ただいま!最初の街!」
「ちょっ!声が大きいよ!ほら蓮のせいでめっちゃ見てくるよ」
確かに、近くにいる街の人、ほぼ全員がこちらを見ている。確かに大声を出したのは悪いが、そこまで執拗に見なくてもいいだろ。
「お、おいお前たち。3ヶ月間もどこに行っておったんじゃ」
「え、えっと。どちら様でしょうか」
「わしは町の長、名はブルガーじゃ」
「あら。あなたがまちおささんですね?」
海が『町長』を『まちおささん』というところ。
僕の好きが止まらない。
「そうじゃ。ところでほんとに何してたんじゃ?」
「あぁ。ローズさんのところへ修行に行ってたんですよ」
僕の発言にブルガーさんは戸惑った。
謎の間が生まれる。
僕らは目を合わせたままだ。
すると突然、ブルガーさんは大声をあげて笑った。
「ハッハッハ。何を言ってるんだよ。ローズ様はとっくの昔に逝去されたぞ?夢でも見てたんじゃないのか?」
あっ。そうだった。ローズさんって亡くなってる判定だった。
「町長さん。彼らは本当に修行してたんですよ」
突然、後ろから知らない声が聞こえてきた。
「あぁ。フリージアさん。こんにちは」
フリージア?知らない人だ。
「フリージアさんは200年以上生きている、エルフ族の人だよ」
「こんにちは。ブルガーさん。そして蓮くん。海ちゃん」
「な、なんで私たちの名前を?」
急に知らない人から名前を呼ばれると、さすがにビビってしまう。
「ああ、君たちのことは姉から聞いてるから」
「姉?」
「フリージアさんの姉はあのローズ様だよ」
えぇ!?
ローズの弟!?
「海。ローズさんって弟いるって言ってたっけ?」
「言ってないはずだよ」
「だよな」
頭がさまざまな情報でごちゃついている。
「フリージアさんは本当にエルフ族?」
「海ちゃんはなぜそんなことを聞くんだい?」
「耳尖ってないj...」
「ちょっと静かにしようか」
フリージアはとてつもない速さで海の口を塞いだ。
この速さ、本当に弟かもしれない。
まて、エルフ族ってことはローズもエルフ族なのか?
「違うわよ」
「ひゃっ!?」
脳内に直接話しかけてくるような声がした。
海も一緒に驚いてるから聞こえたんだろう。
「驚かしちゃってごめんね。私、念力が使えるの。だからこの距離くらいまでなら、脳内に直接話しかけることができるの」
「距離制限あるんですね」
Bluetoothかな?
「蓮。私の念力のことをBluetoothって言わないの」
聞こえてた。
このやりとりを側から見ている、町長ブルガーさんは輪に入れず気まずそうにしていた。
「私の弟、フリージアはエルフを装ってるけど、こいつも長生きする薬飲んだだけだから」
「姉さん!全部言わないでよ」
「私の弟だもん。人間に決まってるじゃない。本当バカね。この町長は」
(海、蓮、フリージア、ローズの会話は全て脳内で繰り広げられています)
町長は悪口を言われていることも知らず、まだ気まずそうにしている。
「まあ、ブルガーさん。あとは俺が責任持って面倒見ますので」
「あっ、そ、そうですか。わかりました。部屋とかは大丈夫なんですか?」
「俺の家があるので大丈夫です」
「そうですか。じゃあ、私はこれで」
「はい。さようなら」
僕らは冒険の準備をするしばらくの間、フリージアさんに面倒を見てもらうことになった。
「姉さんに温泉に行ってほしいって言われなかった?」
「そのようなこと、言われました」
「疲れてるだろうし、温泉行こうか」
やった。久しぶりのちゃんとした風呂だ。
久しぶりの風呂と入っても修行の時は、もちろん風呂に入ってた。ただシャワーだけだったし、しかも冷水だったから、ちゃとした風呂に入るのは久しぶりだ。
久しぶりの風呂には、今かつてないくらい心躍った。
「やったぁ!温泉だ!」
心なしか海のテンションも上がった気がする。
また、好きが止まらなくなった。




